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株式会社設立の教科書 条件・費用・資本金から機関設計まで
株式会社設立 費用 最低 いくらから

株式会社を作るのに手元にいくら要るか|法定費用・実費・資本金・運転資金を足し上げる

資本金1円で株式会社は作れますが、手元の現金が1円でよいわけではありません。法定費用・実費・運転資金を足すと、現実に必要な額が見えてきます。

公開 2026年9月4日 確認日 2026年9月16日 約10分で読めます 本文 約5,900字

この記事は、手元の資金で株式会社を作れるか判断したい人のためのものです

資本金1円から株式会社を作れる。この説明は法律上は正しいのですが、手元の現金が1円でよいという意味ではありません。会社設立の法定費用は発起人が個人として負担しますし、会社を動かすには運転資金が要ります。

この記事では、株式会社を作るために手元に用意すべき金額を、法定費用・実費・資本金・当面の運転資金の四つに分けて足し上げます。自分の事業の数字を当てはめれば、必要額が出せる形にしました。金額は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。

必要な資金は四つに分かれる

必要な資金は四つに分かれる

株式会社を作るのに手元に必要なお金は、四つに分かれます。法定費用、実費、資本金、当面の運転資金です。それぞれ性質が違うので、まとめて数えると混乱します。

法定費用は、登録免許税と定款認証手数料、謄本手数料、収入印紙です。誰が手続をしても同じ額がかかり、支払って消えます。株式会社の会社設立では約16万7千円が下限です。

実費は、会社実印の作成代、印鑑証明書の交付手数料、登記完了後の証明書の交付手数料です。金額は小さいものの、合わせて1万円程度を見込んでおく必要があります。

資本金は、会社に払い込むお金です。支払って消えるものではなく、会社の財産として残ります。ただし会社の財産なので、個人の生活費には使えません。

運転資金は、資本金の一部として会社に入れるか、売上が立つまでの生活費として個人が持っておくかのどちらかです。株式会社の会社設立の直後は売上がないことが多いため、ここを見誤ると苦しくなります。

以下では、この四つを順に見ていきます。最後に足し上げて、現実的な必要額を出します。

四つの資金の性質
会社設立の資金計画は、この三つを分けて数えるところから始まります。

出典このセクションの出典:辻・本郷 税理士法人|会社設立の資本金の決め方とは?(辻・本郷 税理士法人/2026年9月16日 確認)

法定費用|約16万7千円は個人が負担する

法定費用|約16万7千円は個人が負担する

株式会社の会社設立にかかる法定費用は、登録免許税15万円、定款認証の公証人手数料1万5,000円から5万円、定款の謄本手数料2,000円前後です。紙の定款なら収入印紙4万円が加わります。

電子定款を使い、資本金100万円未満で定款認証の軽減要件を満たした場合、合計は16万7,000円程度になります。これが下限です。

重要なのは、この費用を資本金から支払うことはできないという点です。定款認証も登記申請も会社が成立する前の手続なので、会社の財産は存在しません。発起人が個人として立て替える形になります。

設立後に、この費用を創立費として会社の費用に計上し、会社から発起人に精算することはできます。ただしそれは会社ができてからの話で、手続の時点では個人の現金が必要です。

特定創業支援等事業の証明があれば、登録免許税が半額の7万5,000円になり、法定費用は9万2,000円程度まで下がります。ただし証明の取得には時間がかかることがあります。

なお、専門家に依頼する場合は報酬が加わります。司法書士に登記まで依頼した場合で6万円から10万円程度が目安です。これも会社設立の前に支払うことが多いため、手元の資金として見込んでおく必要があります。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

実費|印鑑と証明書で1万円程度

実費|印鑑と証明書で1万円程度

法定費用のほかに、株式会社の会社設立では実費がかかります。金額は小さいものの、用意していないと手続が止まります。

会社実印の作成代は、素材と店によりますが数千円から2万円程度です。登記で必ず必要なのはこの1本だけで、銀行印や角印は後から作れます。安く済ませたいなら、まず実印だけを作ってください。

印鑑証明書は1通300円前後です。定款認証で発起人全員分、登記申請で設立時取締役全員分が必要になります。ひとりで会社設立をする場合でも、2通取得しておくと確実です。

登記完了後には、登記事項証明書と会社の印鑑証明書を取得します。法人口座の開設、税務署への届出、年金事務所への届出でそれぞれ必要になるため、複数枚用意することになります。

これらを合計すると、1万円程度を見込んでおけば足ります。法定費用16万7,000円と合わせて約18万円が、株式会社の会社設立そのものに必要な現金です。

このほか、交通費や郵送費も細かくかかります。公証役場と法務局への往復、証明書の取得のための市区町村への往復。大きな額ではありませんが、平日の日中に動く必要がある点も含めてコストです。

出典このセクションの出典:freee|会社設立に必要な印鑑届出書とはどういうもの?(freee株式会社/2026年9月16日 確認)

資本金|いくら入れるかは運転資金から逆算する

資本金|いくら入れるかは運転資金から逆算する

資本金は会社に払い込むお金で、会社の財産になります。株式会社の会社設立では法律上の下限がなく、1円でも設立できます。ただし、会社の口座はこの金額から始まります。

設立直後に家賃、仕入れ、外注費、通信費といった支出が発生します。資本金が少ないと、これらを代表者個人が立て替えることになります。立替は会社から見れば借入金で、決算書に残り続けます。

よく示される目安は、当面の固定費の3か月から6か月分です。固定費が月20万円の事業なら、60万円から120万円ということになります。売上が立つまでの期間が長い事業ほど、多めに見る必要があります。

一方で、資本金1,000万円以上にすると設立1期目から消費税の納税義務が生じます。1,000万円未満なら原則として1期目と2期目は免税なので、この線は越えないのが一般的です。

資本金100万円未満にすると定款認証の手数料が1万5,000円になる可能性がありますが、運転資金として足りないなら意味がありません。会社設立の費用を1万5,000円削るために、毎月の資金繰りを苦しくするのは合理的ではありません。

許認可が必要な業種では、業法が資本金の額を要件にしていることがあります。この場合は要件を満たす額が必要になるため、所管官庁に先に確認してください。

出典このセクションの出典:辻・本郷 税理士法人|会社設立の資本金の決め方とは?(辻・本郷 税理士法人/2026年9月16日 確認)

運転資金|会社に入れるか、個人で持つか

運転資金|会社に入れるか、個人で持つか

株式会社の会社設立で見落とされやすいのが、代表者自身の生活費です。会社の口座と個人の口座は別なので、会社にお金があっても自由には使えません。

個人が受け取れるのは役員報酬です。しかし役員報酬は、会社設立から3か月以内に決めて、以後は毎月同額を支払う必要があります。売上が立たないうちから報酬を出せば、会社の資金は減っていきます。

逆に、役員報酬を低く抑えれば会社の資金は残りますが、個人の生活費が足りなくなります。会社に入れるか個人で持つかを、事業の立ち上がりの見込みに応じて決める必要があります。

一般的には、売上が立つまでの生活費は個人の貯蓄で賄い、会社には事業の支出を賄う額を入れる、という分け方がされます。資本金の額を決めるときは、この切り分けを先に考えてください。

なお、役員報酬を支払うと社会保険の適用事業所になり、保険料の約半分を会社が負担します。報酬額に応じて保険料も変わるため、会社設立の前に概算を出しておくと計画が立てやすくなります。

立ち上がりに時間がかかる事業では、日本政策金融公庫の創業融資や自治体の制度融資を検討する方法もあります。ただし法人として申し込めるのは会社ができてからです。

出典このセクションの出典:GMOあおぞらネット銀行|会社設立に必要な要件は?(GMOあおぞらネット銀行/2026年9月16日 確認)

実際に足し上げてみる

実際に足し上げてみる

四つの資金を足し上げて、株式会社の会社設立に必要な手元資金を計算します。固定費の水準を変えた三つのケースで見てみます。

必要な手元資金の目安(2026年9月16日確認)
ケース 法定費用+実費 資本金(固定費3か月分) 合計の目安
自宅で一人・固定費が月5万円 約18万円 15万円 約33万円
小さな事務所・固定費が月20万円 約18万円 60万円 約78万円
店舗あり・固定費が月50万円 約18万円 150万円 約168万円

これに加えて、売上が立つまでの生活費が個人側で必要です。生活費が月25万円で3か月分なら75万円。合計はさらに大きくなります。

資本金1円で株式会社を作れるという説明と、実際に必要な現金には大きな開きがあることが分かります。法定費用だけでも18万円は必要です。

逆に言えば、自宅で一人で始める事業なら、30万円台から株式会社の会社設立は可能です。固定費が小さい事業ほど、必要な手元資金も小さくなります。

特定創業支援等事業の証明が取れれば、法定費用が7万5,000円下がります。手元資金が限られている場合は、この制度が使えるかを先に確認する価値があります。

自己資金で足りない場合は、創業融資という選択肢があります。ただし会社設立の費用そのものは自己資金で賄う必要があるため、最低でも18万円は用意しておいてください。

出典このセクションの出典:弥生|資本金の平均額はどれくらい?(弥生株式会社/2026年9月16日 確認)

手元資金が足りないときの選択肢

手元資金が足りないときの選択肢

計算してみて手元資金が足りない場合、いくつかの方向があります。株式会社の会社設立を諦める前に、順に検討してみてください。

ひとつは時期をずらすことです。個人事業として始めて売上を作り、資金が貯まってから法人にする。会社設立は急がなくても、条件が整ったときにいつでもできます。

ふたつめは特定創業支援等事業の証明を取ることです。登録免許税が半額になり、法定費用が7万5,000円下がります。支援の受講に時間はかかりますが、費用面の効果は大きくなります。

みっつめは会社形態を変えることです。合同会社なら法定費用の下限は約6万円で、株式会社より10万円ほど安く済みます。ただし株式による資金調達や事業承継の選択肢は狭くなります。

よっつめは資本金を抑えつつ、運転資金を個人で持つことです。会社の支出が少ない事業であれば、資本金を小さくしても運営できます。ただし立替が増えるため、精算の記録を残す必要があります。

創業融資は、会社ができてから申し込みます。日本政策金融公庫の新規開業資金や、自治体の制度融資があります。自己資金の割合が審査に影響することが多いため、手元資金をすべて会社設立に使い切らないようにしてください。

出典このセクションの出典:中小企業庁(中小企業庁/2026年9月16日 確認)

必要な手元資金についてよく聞かれること

必要な手元資金についてよく聞かれること
資本金は設立後すぐに使ってよいですか?
使えます。資本金は会社の財産なので、事業のための支出に充てて構いません。ただし個人の生活費に使うと役員貸付金になります。株式会社の会社設立の後は、会社と個人の口座を明確に分けてください。
設立費用を会社のお金で払えますか?
会社が成立する前の支出なので、資本金から直接払うことはできません。発起人が個人として立て替え、設立後に創立費として精算する形になります。領収書は準備段階から保管してください。
資本金は借りたお金でもよいですか?
法律上の制限はありませんが、見せ金と判断されると問題になります。また創業融資の審査では自己資金の割合が見られるため、借入れで資本金を作ると評価が下がることがあります。株式会社の会社設立では、自己資金で用意するのが基本です。
設立後に資本金を増やせますか?
増資できます。ただし変更登記が必要で、増加額の0.7%(最低3万円)の登録免許税がかかります。会社設立の時点で必要額を見込んでおくほうが、結果的に安く済みます。

質問に共通しているのは、会社のお金と個人のお金の境目に関するものです。株式会社は自分とは別人格なので、この境目は設立の瞬間から生まれます。資金計画を立てるときも、どちらの財布から出すのかを意識してください。

出典このセクションの出典:freee|1円株式会社の作り方は?(freee株式会社/2026年9月16日 確認)

まとめ|法定費用と実費で約18万円、あとは事業規模しだい

まとめ|法定費用と実費で約18万円、あとは事業規模しだい

株式会社を作るのに手元に必要なお金は、法定費用・実費・資本金・運転資金の四つに分かれます。このうち固定で必要なのは、法定費用と実費の合計約18万円です。

  • 法定費用約16万7千円。電子定款・資本金100万円未満の場合の下限。創業支援の証明があれば約9万2千円。
  • 実費約1万円。会社実印、印鑑証明書、登記完了後の証明書。
  • 資本金当面の固定費の3〜6か月分が目安。1,000万円未満に抑えるのが一般的。
  • 生活費売上が立つまでの分。個人の貯蓄で持つのが基本。

自宅で一人で始める事業なら30万円台から、小さな事務所を借りる事業なら80万円前後、店舗を持つ事業なら160万円以上というのが、一つの目安になります。

資本金1円で株式会社を作れるという説明は法律上は正しいものの、手元の現金が1円でよいわけではありません。法定費用は発起人が個人として負担するため、最低でも18万円は必要です。

手元資金が足りない場合は、時期をずらす、創業支援の証明を取る、会社形態を見直す、資本金を抑えて運転資金を個人で持つ、といった方向があります。会社設立を急がないなら、条件を整えてから登記するほうが有利です。

なお、この記事の金額は2026年9月16日時点の公開情報にもとづく目安です。登録免許税や公証人手数料は改定されることがあり、必要な運転資金は事業によって大きく異なります。資金計画は税理士や金融機関の窓口でも相談してみてください。

出典このセクションの出典:辻・本郷 税理士法人|会社設立の資本金の決め方とは?(辻・本郷 税理士法人/2026年9月16日 確認)

必要額が出たら、足りない分をどう埋めるかを考えてください

株式会社の会社設立に必要な手元資金が出たら、次はそれを用意できるかという話になります。自己資金で足りなければ、日本政策金融公庫の創業融資や自治体の制度融資という選択肢があります。

ただし、融資は会社ができてからでないと法人としては申し込めません。会社設立の費用そのものは自己資金で賄う必要があります。資金計画は事業ごとに違うので、具体的な数字は税理士や金融機関の窓口で相談してみてください。制度は改定されるため、金額は公式ページでご確認ください。

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