本文へ移動
株式会社設立の教科書 条件・費用・資本金から機関設計まで
株式会社設立費用 自分でやる場合

自分で会社設立をしてやり直しになったらいくらかかるか|補正・取下げ・変更登記の費用

自分でやると安く済む一方、間違えたときのコストは自分で負います。ただし多くは補正で直せて、費用はかかりません。何が本当に高くつくのかを確かめます。

公開 2026年9月15日 確認日 2026年9月16日 約11分で読めます 本文 約6,100字

この記事は、自分でやって失敗するのが不安な人のためのものです

株式会社の会社設立を自分でやれば報酬は浮きます。ただ、書類に不備があったらどうなるのか。せっかく買った15万円分の収入印紙が無駄になるのではないか。そう考えて踏み切れない人は少なくありません。

結論から言えば、多くの不備は補正で直せて、追加の費用はかかりません。本当に高くつくのは別のところにあります。この記事では、補正・取下げ・設立後の変更登記のそれぞれでいくらかかるのかを整理し、避けるべき失敗を明確にします。内容は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。

不備には三つの段階がある

不備には三つの段階がある

株式会社の会社設立で書類に不備があった場合、対応は三つの段階に分かれます。補正、取下げ、そして設立後の変更登記です。それぞれかかる費用がまったく違います。

補正は、申請の内容に軽微な誤りがある場合に、その場で直す手続です。法務局から連絡が来て、訂正すれば申請はそのまま進みます。追加の費用はかかりません。

取下げは、補正では直せない問題がある場合に、申請そのものを取り下げる手続です。書類を作り直して再申請することになりますが、登録免許税は再使用証明を受けて再利用できることがあります。

設立後の変更登記は、登記が通った後に内容を変える場合です。ここだけは確実に費用がかかります。商号・事業目的・本店の変更はそれぞれ3万円、資本金の変更は増加額の0.7%(最低3万円)です。

つまり、恐れるべきは補正や取下げではなく、設立後の変更です。自分で株式会社の会社設立を進める場合、この優先順位を理解しておくと不安が減ります。

以下では、三つの段階をそれぞれ詳しく見ていきます。あわせて、実際に起きやすい不備と、その避け方も整理します。

三つの段階と費用
会社設立で本当に費用がかかるのは、いちばん下の行だけです。

出典このセクションの出典:法務局|商業・法人登記の手続案内(法務局/2026年9月16日 確認)

補正|多くの不備はここで直る

補正|多くの不備はここで直る

申請書や添付書類に軽微な誤りがあった場合、法務局から補正の連絡が来ます。電話やメールで指摘され、訂正すれば申請はそのまま進みます。

補正でよくあるのは、押印の漏れ、記載の誤字、添付書類の不足、契印の漏れといった形式的なものです。株式会社の会社設立で自分でやる場合、こうした不備は珍しくありません。

訂正の方法は、法務局に出向いて直す、訂正した書類を郵送する、といった形になります。申請人が訂正印を押して直せることもあります。

追加の費用はかかりません。登録免許税も再度納める必要はなく、最初に貼った収入印紙がそのまま使われます。

補正で済むかどうかは、登記官の判断によります。同じような誤りでも、管轄や事案によって扱いが分かれることがあります。株式会社の会社設立で不安がある場合は、提出前に法務局の窓口で見てもらうと、その場で指摘を受けられます。

補正の連絡を受けるために、申請書には必ず連絡先の電話番号を書いてください。連絡がつかないと、補正できずに却下される可能性があります。

補正には期限が設けられることがあります。指定された期日までに対応しないと、申請が却下されることがあるため、連絡が来たら速やかに動いてください。

出典このセクションの出典:法務局|株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない会社の発起設立)(法務局/2026年9月16日 確認)

取下げ|登録免許税は再利用できることがある

取下げ|登録免許税は再利用できることがある

補正では直せない問題がある場合、申請を取り下げることになります。たとえば定款の内容自体に問題がある、資本金の払込みが定款認証より前だった、といったケースです。

このとき気になるのが、納めた登録免許税15万円の扱いです。株式会社の会社設立で最も大きい支出なので、無駄になると痛手です。

取り下げた場合、再使用証明を受けることができます。取下げの際に申し出ると、収入印紙に再使用証明の処理がされ、同じ登記の申請に再度使えます。

再使用ではなく現金で還付を受ける方法もあります。還付には時間がかかるため、すぐに再申請するなら再使用証明のほうが実務的です。

ただし、再使用証明にも期限があります。一定期間内に再申請しないと使えなくなることがあるため、取り下げた場合は速やかに書類を作り直してください。

取下げの手続そのものには費用がかかりません。取下書を提出し、再使用証明の申出をするだけです。株式会社の設立登記では、この仕組みがあるおかげで、思い切って自分で申請してみることができます。

つまり、取下げになっても登録免許税がそのまま消えるわけではありません。かかるのは、書類を作り直す時間と、定款を作り直す場合の認証手数料です。

出典このセクションの出典:法務局|オンライン申請のご案内(法務局/2026年9月16日 確認)

取下げになる可能性がある不備

取下げになる可能性がある不備

補正では直せず、取下げや定款の作り直しにつながる可能性がある不備があります。株式会社の会社設立で自分でやる場合、ここだけは注意してください。

ひとつは、資本金の払込みが定款認証より前だった場合です。払込みの日付は認証日より後でなければなりません。日付そのものは後から変えられないため、払い込み直すことになります。

もうひとつは、定款の絶対的記載事項が欠けている場合です。目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額、発起人の氏名・住所のいずれかが欠けていると、定款自体が無効です。

定款を作り直す場合は、再度の認証が必要になり、公証人手数料がもう一度かかります。資本金100万円未満で1万5,000円から、300万円以上で5万円です。ここが実際に痛い出費になります。

ただし、定款の絶対的記載事項の欠落は、公証役場の事前確認の段階で指摘されるのが通常です。事前確認を経ていれば、この失敗はほぼ起こりません

資本金の額が定款と払込証明書で食い違っている場合も、重い不備になります。定款に「金100万円」と書いたのに99万円しか払い込んでいない、といったケースです。株式会社の会社設立では資本金の額が三箇所に出てくるので、提出前に必ず突き合わせてください。

印鑑証明書の期限切れも取下げにつながることがあります。発行から3か月以内のものが必要なので、取り直して再申請する形になります。取り直しの手数料は1通300円前後です。

出典このセクションの出典:freee|払込証明書は会社設立登記の申請に必要(freee株式会社/2026年9月16日 確認)

設立後の変更登記|ここが本当に高くつく

設立後の変更登記|ここが本当に高くつく

株式会社の会社設立で本当に費用がかかるのは、登記が通った後に内容を変える場合です。変更登記が必要で、そのたびに登録免許税がかかります。

主な変更登記と登録免許税(2026年9月16日確認)
変更する内容 登録免許税 必要な手続
商号 3万円 株主総会の特別決議+定款変更
事業目的 3万円 株主総会の特別決議+定款変更
本店(同一管轄内) 3万円 株主総会の決議など
本店(管轄外へ) 6万円 新旧2庁分
資本金の増加 増加額の0.7%(最低3万円) 募集事項の決議など
役員の変更・重任 1万円 株主総会の決議

たとえば、事業目的に許認可の文言を入れ忘れて後から追加する場合、3万円かかります。会社設立の前に所管官庁に確認しておけば、この3万円は不要でした。

資本金を後から増やす場合も同様です。許認可の要件を満たすために増資するなら、増加額の0.7%(最低3万円)がかかります。最初から要件を満たす額にしておけば不要です。

役員の変更登記は1万円です。取締役の任期が満了して同じ人が続ける重任の場合も同額がかかります。株式会社の会社設立で役員の任期を最長10年にしておけば、この登記の回数を減らせます。

商号を変える場合は、会社実印の作り直しも必要になります。印鑑の作成代と改印届の手続が加わるため、実質的な負担はさらに大きくなります。

つまり、自分で株式会社の会社設立を進めるうえで最も避けるべきなのは、内容が固まらないまま登記を通してしまうことです。書類の不備より、こちらのほうが高くつきます。

出典このセクションの出典:マネーフォワード|役員(取締役や監査役)の任期は10年?(マネーフォワード/2026年9月16日 確認)

やり直しを避けるための確認点

やり直しを避けるための確認点

やり直しを避けるには、二段階で確認します。ひとつは登記申請の直前、もうひとつは定款を作る前です。

登記申請の直前に確認するのは、形式的な点です。日付の前後関係、押印、契印、金額の一致、添付書類の過不足。これらを一覧で点検してから提出します。

  • 定款の認証日 → 払込日 → 申請日の順になっているか
  • 印鑑証明書が発行から3か月以内か
  • 定款・払込証明書・申請書の資本金の額が一致しているか
  • 会社実印を押すべき箇所に会社実印を押したか
  • 複数ページの書類に契印をしたか
  • 申請書に連絡先の電話番号を書いたか

定款を作る前に確認するのは、内容に関わる点です。ここを飛ばすと、設立後の変更登記につながります

事業目的に許認可の文言が必要かを所管官庁に確認する。資本金の額が許認可の要件を満たすかを確認する。商号が他社の商標を侵害しないかを確認する。本店の住所で法人登記ができるかを賃貸契約で確認する。

これらはいずれも、株式会社の会社設立の前にしかできない確認です。登記が通ってから気づくと、3万円以上の変更登記が必要になります。

自分で進める場合は、公証役場の事前確認を積極的に使ってください。定款の内容を第三者に見てもらえる唯一の機会であり、無償で行われるのが通例です。

出典このセクションの出典:弥生|商業・法人登記申請書の書き方とダウンロード方法(弥生株式会社/2026年9月16日 確認)

不安なら部分的に依頼するという選択

不安なら部分的に依頼するという選択

やり直しのリスクが気になるなら、部分的に依頼する方法があります。株式会社の会社設立は工程が分かれているので、不安な部分だけを任せられます。

定款の作成だけを行政書士や司法書士に依頼する方法があります。電子定款で認証を受けてもらえば、収入印紙4万円がかからず、報酬が4万円を下回れば実質的な負担は増えません。

定款の内容を第三者が確認するため、絶対的記載事項の欠落や事業目的の表現といった、取下げにつながる不備を避けられます

登記申請の書類だけをチェックしてもらう形もあります。作成は自分で行い、提出前に見てもらうという依頼です。事務所によって対応は異なりますが、相談してみる価値はあります。

会計ソフト事業者の設立支援サービスを使う方法もあります。画面の案内に沿って情報を入力すると書類ができるため、記載漏れが起きにくくなります。株式会社の会社設立で電子定款に対応しているサービスなら、印紙代も抑えられます。

逆に、登記申請の代理だけを依頼し、定款は自分で作るという組み合わせもあります。ただし電子定款が使えないと印紙代4万円がかかるため、費用面では中途半端になりがちです。

どこまで任せるかは、自分の時間の価値と、失敗したときの手戻りをどう見るかで決まります。会社設立は一度きりの手続なので、迷うなら相談してみるのが早道です。

出典このセクションの出典:司法書士法人まちたま|自分でやる場合と依頼した場合の費用の比較(司法書士法人まちたま/2026年9月16日 確認)

やり直しの費用についてよく聞かれること

やり直しの費用についてよく聞かれること
補正の連絡はどうやって来ますか?
申請書に記載した連絡先に、電話やメールで来ます。連絡がつかないと補正できずに却下される可能性があるため、株式会社の会社設立の申請書には必ず日中つながる番号を書いてください。
取り下げると設立日は変わりますか?
変わります。会社の成立日は登記を申請した日なので、取り下げて再申請すれば、再申請の日が成立日になります。設立日を特定の日にしたい場合は、この点に注意してください。
定款を作り直すと認証手数料は再度かかりますか?
かかります。認証を受けた定款の内容を変える場合、設立前であれば再度の認証が必要になることがあります。資本金100万円未満で1万5,000円から、300万円以上で5万円です。事前確認を経ていれば、この失敗はほぼ起こりません。
設立後に商号を変えるといくらですか?
変更登記に登録免許税3万円がかかります。加えて会社実印の作り直しと改印届の手続が必要です。株式会社の会社設立の前に商号を固めておくのが最も安く済みます。

質問に共通しているのは、どこからが取り返しがつかないのかという点です。答えは、登記が通った後です。それまでは補正や取下げで直せますが、通ってしまえば変更登記になります。

出典このセクションの出典:法務局|株式会社設立登記申請書(取締役会設置会社の発起設立)(法務局/2026年9月16日 確認)

まとめ|補正は無料、変更登記は3万円から

まとめ|補正は無料、変更登記は3万円から

株式会社の会社設立を自分で進めて書類に不備があった場合、多くは補正で直せます。追加の費用はかからず、登録免許税も再度納める必要はありません。

取下げになった場合も、再使用証明を受ければ収入印紙を再利用できます。実際にかかるのは、書類を作り直す時間と、定款を作り直す場合の認証手数料です。

  • 補正費用なし。押印漏れ、誤字、添付書類の不足など。
  • 取下げ再使用証明で印紙を再利用できる。定款の作り直しには認証手数料。
  • 設立後の変更登記商号・目的・本店は3万円、資本金の増加は増加額の0.7%(最低3万円)。
  • 予防定款を作る前に許認可と商標を確認。提出前に日付と押印を点検。

本当に高くつくのは、登記が通った後に内容を変えることです。事業目的の文言の入れ忘れ、資本金の額の不足、商号の重複。どれも会社設立の前に確認しておけば避けられるものばかりです。

自分で進めるのが不安なら、定款の作成だけを依頼するという選択もあります。電子定款で認証を受けてもらえば印紙代4万円が浮くため、報酬が4万円を下回れば負担は増えません。

なお、この記事の金額と扱いは2026年9月16日時点の公開情報にもとづきます。登録免許税や手続の扱いは改正されることがあるため、実際の手続の前に法務局の公式ページでご確認ください。個別の事案については、法務局の窓口相談や司法書士など、その業務を扱える専門家にご相談ください。

出典このセクションの出典:法務局|商業・法人登記の手続案内(法務局/2026年9月16日 確認)

恐れるべきは差し戻しではなく、設立後の変更です

自分で株式会社の会社設立を進めるうえで、書類の不備を過度に恐れる必要はありません。法務局から連絡が来て、直して再提出すれば済むことがほとんどです。費用もかかりません。

本当にお金がかかるのは、登記が通った後に内容を変えることです。商号、事業目的、本店、資本金。どれも変更登記に登録免許税がかかります。会社設立の前に内容を固めることが、結局は最も安上がりです。判断に迷う部分は、法務局の窓口相談や司法書士への相談も使ってみてください。

この記事は、株式会社の会社設立を決めるうえで役に立ちましたか?

押しても個人が特定される情報は送信していません。判断に迷う論点があれば、法務局・公証役場や司法書士・税理士にもあわせてご確認ください。

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

掲載順は優劣を示すものではありません。各サイトの運営者・掲載内容は当サイトとは無関係で、内容の正確性を保証するものでもありません。会社設立の手続や費用、株式会社の資本金の扱いは改定されることがあるため、実際に手を動かす前に法務局・公証役場・国税庁など所管の公式ページで最新の情報をご確認ください(当サイトのリンク確認日:2026年9月16日)。

あわせて読んでおきたい記事