本文へ移動
株式会社設立の教科書 条件・費用・資本金から機関設計まで
株式会社設立 費用 最低 いくらから

株式会社設立の費用は最低いくらから|下限は9万2千円、条件をすべて満たした場合

株式会社の設立費用の下限は、条件をすべて満たせば約9万2千円です。ただしその条件は五つあり、どれかひとつ欠けるだけで数万円変わります。

公開 2026年9月2日 確認日 2026年9月16日 約11分で読めます 本文 約6,100字

この記事は、手元の資金で株式会社を作れるかを確かめたい人のためのものです

株式会社の会社設立にいくら要るのか。調べると20万円台の数字が並び、手元の資金では足りないのではと不安になる。そういう段階の人に向けて書いています。

結論を先に言えば、条件をすべて満たせば法定費用は約9万2千円まで下がります。ただし条件は五つあり、どれかひとつ欠けるだけで数万円変わります。この記事では、下限に至る条件を一つずつ積み上げながら確認します。金額は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。

下限を決める五つの条件

下限を決める五つの条件

株式会社の会社設立費用を最低額にするには、五つの条件を満たす必要があります。電子定款、資本金100万円未満、発起人が自然人3人以下、取締役会を置かない、特定創業支援等事業の証明です。

電子定款にすると収入印紙4万円がかかりません。資本金100万円未満で他の三つを満たすと、定款認証の公証人手数料が1万5,000円になります。特定創業支援等事業の証明があると、登録免許税が半額の7万5,000円になります。

五つすべてを満たした場合の法定費用は、登録免許税7万5,000円+定款認証1万5,000円+謄本手数料2,000円で、9万2,000円程度です。株式会社の設立費用として示されている数字のなかで、これが実質的な下限になります。

逆に、証明がなく紙の定款で資本金が300万円の場合は、15万円+5万円+4万円+2,000円で24万2,000円程度。条件の有無で15万円の差が生まれる計算です。

以下では、五つの条件を一つずつ見ていきます。それぞれ何を満たせばよいのか、満たせない場合はいくら上がるのかを確認します。

なお、この五つはいずれも法定費用に関する条件です。専門家に依頼するかどうかは別の話で、依頼すればその報酬が上乗せされます。

すべての条件を満たした場合の内訳
株式会社の会社設立費用の下限、約9万2千円の内訳です。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

条件1|電子定款にする|印紙代4万円が消える

条件1|電子定款にする|印紙代4万円が消える

紙に印刷した定款は印紙税法上の課税文書にあたり、4万円の収入印紙を貼る必要があります。電子データで作成した定款は課税文書にあたらないため、印紙代がかかりません。

株式会社の会社設立で、内容をまったく変えずに4万円を削れる唯一の場所がここです。資本金の額とも、機関設計とも無関係に効きます。

自分で電子定款を作るには、マイナンバーカードなどの電子証明書、ICカードリーダー、署名対応のPDFソフトが必要です。揃えると数千円から数万円かかり、設定にも時間がかかります。

一度きりの会社設立のために機材を揃えるのは割に合わないことが多くあります。行政書士や司法書士に定款の作成と電子定款での認証だけを依頼し、報酬が4万円を下回れば、そのほうが安くなります。

会計ソフト事業者が提供する設立支援サービスのなかにも、電子定款に対応しているものがあります。費用を抑えつつ書類作成の負担も減らしたい場合の選択肢です。

なお、電子定款であっても定款認証そのものは必要です。株式会社では認証を省略できません。電子データを公証役場に送信し、認証を受ける形になります。

出典このセクションの出典:freee|電子定款とは?作成方法や認証手続きの流れ(freee株式会社/2026年9月16日 確認)

条件2〜4|定款認証を1万5千円にする三つの要件

条件2〜4|定款認証を1万5千円にする三つの要件

定款認証の公証人手数料は、資本金の額で三段階に分かれています。資本金100万円未満で3万円、100万円以上300万円未満で4万円、それ以外で5万円です。

2024年12月1日からは、これとは別に1万5,000円の区分が設けられました。適用されるのは、次の三つをすべて満たす場合です。発起人の全員が自然人であり、かつその数が3人以下であること。定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載があること。定款に取締役会を置く旨の記載がないこと。

資本金100万円未満という条件とあわせて四つを満たすと、手数料が1万5,000円になります。ひとりで株式会社を作り、資本金を100万円未満にし、取締役会を置かない設計にすれば、自然と当てはまります。

逆に、発起人に法人が入っている場合、発起人が4人以上いる場合、取締役会を置く場合は、この区分を使えません。資本金100万円未満でも3万円になります。

定款の書き方にも注意が必要です。資本金欄に具体的な額ではなく「金100万円以上」のような最低額を書くと、手数料は一律5万円になります。会社設立を急いで文言を借り物で済ませると、ここで数万円の差がつきます。

なお、この要件は公証人手数料だけに関わるもので、登録免許税には影響しません。株式会社の登録免許税は資本金の額だけで決まります。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|会社の定款手数料の改定(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

条件5|特定創業支援等事業の証明を取る

条件5|特定創業支援等事業の証明を取る

市区町村が実施する特定創業支援等事業の支援を受け、その証明書を取得してから登記を申請すると、株式会社の登録免許税は半額の7万5,000円になります。中小企業庁が制度の案内を出しています。

削減額は7万5,000円で、五つの条件のなかで最も大きくなります。会社設立の費用を抑えたいなら、まずこの制度が使えるかを確認する価値があります。

対象は、創業前の人または創業後5年未満の個人で、会社の発起人かつ代表者となる人です。支援の内容は市区町村によって異なり、複数回のセミナー受講や個別相談、経営・財務・人材育成・販路開拓の知識習得が要件になっていることがあります。

注意すべきは順番です。証明書は設立登記の申請より前に取得する必要があります。申請してから気づいても遡って適用されません。

支援事業の期間は数か月に及ぶこともあります。株式会社の会社設立を急いでいる場合は間に合わないこともあるため、日程を決める前に本店を置く予定の自治体の窓口に問い合わせてください。

なお、この制度は登録免許税のほかにも、創業関連保証の特例や日本政策金融公庫の融資制度の要件緩和といった効果があることがあります。費用の軽減だけでなく、資金調達の面でも確認する価値があります。

出典このセクションの出典:中小企業庁|会社設立時の登録免許税の軽減について(中小企業庁/2026年9月16日 確認)

条件が欠けるといくら上がるか

条件が欠けるといくら上がるか

五つの条件のうち、どれが欠けるといくら上がるのかを整理します。株式会社の会社設立費用を抑えるときに、どの条件を優先すべきかが見えてきます。

条件が欠けた場合の差額(2026年9月16日確認)
欠ける条件 上がる額 備考
特定創業支援等事業の証明がない +7万5千円 登録免許税が15万円に戻る
電子定款にできない +4万円 収入印紙が必要になる
資本金100万円以上300万円未満 +2万5千円 定款認証が4万円に
資本金300万円以上 +3万5千円 定款認証が5万円に
発起人が4人以上または法人 +1万5千円 定款認証が3万円に(資本金100万円未満の場合)
取締役会を置く +1万5千円 同上

削減額が大きい順に、創業支援の証明、電子定款、資本金の額となります。まず証明が取れるかを確認し、次に電子定款の手段を検討するという順序が効率的です。

資本金の額は、費用だけで決めるものではありません。運転資金として必要な額、許認可の要件、消費税の扱いを踏まえて決めてください。3万5,000円の差より、設立後の資金繰りのほうが事業に効きます。

発起人の人数と機関設計も同様です。共同創業者がいて発起人が4人になるなら、1万5,000円の差で人数を減らすべきではありません。会社設立の費用は一度きり、体制は続きます。

つまり、自由に選べるのは電子定款にするかどうかと、創業支援の証明を取るかどうかの二つです。この二つを押さえれば、11万5,000円が動きます。

出典このセクションの出典:弥生|会社設立にかかる登録免許税とは?(弥生株式会社/2026年9月16日 確認)

法定費用以外に必要なお金

法定費用以外に必要なお金

これまで見てきたのは法定費用だけです。株式会社の会社設立には、このほかに実費がかかります。金額は小さいものの、忘れていると当日に手が止まります。

会社実印の作成代は、素材と店によりますが数千円から2万円程度です。登記で必ず必要なのはこの1本だけで、銀行印や角印は後から作れます。

発起人と設立時取締役の印鑑証明書は、1通300円前後です。定款認証と登記申請の両方で必要なので、ひとりで会社設立をする場合でも2通取得しておくと確実です。

登記完了後には、登記事項証明書と会社の印鑑証明書を取得します。法人口座の開設や各種届出で複数枚必要になることが多く、合わせて数千円を見込んでおいてください。

これらを合計すると、実費として1万円程度が必要になります。法定費用の下限9万2,000円に加えると、株式会社の会社設立に必要な現金はおよそ10万円強という計算です。

そして資本金は、この費用とは別に用意する必要があります。資本金は会社の財産になるお金で、法定費用のように支払って消えるものではありません。設立直後の運転資金でもあります。

出典このセクションの出典:freee|会社設立に必要な印鑑届出書とはどういうもの?(freee株式会社/2026年9月16日 確認)

安く作ることと、無理なく続けることは別の話

安く作ることと、無理なく続けることは別の話

ここまで株式会社の会社設立費用を下げる方法を見てきましたが、削ることだけを目的にすると、設立後に困ることがあります。

最も危ないのが、資本金を薄くしすぎることです。資本金100万円未満にすれば定款認証の手数料は下がりますが、会社の口座はその金額から始まります。家賃や仕入れを支払えない状態では、代表者の立替が続きます。

立替は会社から見れば借入金です。決算書に役員借入金として計上され、金額が大きくなると金融機関の審査で説明を求められます。数万円の節約のために、毎月の資金繰りを苦しくするのは合理的ではありません。

もうひとつは、時間を犠牲にすることです。電子定款の機材を揃えるのに何日もかけたり、創業支援の証明を待って設立を数か月遅らせたりすると、その間に得られたはずの売上を失います。

株式会社の会社設立費用は、事業全体から見れば一度きりの支出です。年間の売上や固定費と比べれば大きな額ではないことも多くあります。削る努力は、事業の立ち上がりを妨げない範囲にとどめてください。

逆に、資金が本当に限られている場合は、合同会社という選択肢もあります。合同会社の法定費用の下限は約6万円で、株式会社より10万円ほど安く済みます。ただし株式による資金調達や事業承継の選択肢は狭くなります。

出典このセクションの出典:小谷野税理士法人|株式会社の資本金、最低額はいくら?(小谷野税理士法人/2026年9月16日 確認)

設立費用の下限についてよく聞かれること

設立費用の下限についてよく聞かれること
資本金1円で株式会社を作れば、費用も最低になりますか?
定款認証の手数料は資本金100万円未満の区分になりますが、これは1円でも99万円でも同じです。登録免許税も下限の15万円が適用されるため、資本金を1円にしても費用は下がりません。会社設立の費用とは別に法定費用を支払う必要があるため、資本金1円でも手元に10万円以上は必要です。
創業支援の証明はどこで取れますか?
本店を置く予定の市区町村です。産業振興課や商工課といった部署が窓口になっていることが多く、商工会議所と連携している自治体もあります。支援の内容と期間は自治体によって異なるため、株式会社の会社設立の日程を決める前に問い合わせてください。
設立費用を会社の経費にできますか?
会社設立のために支出した費用のうち一定のものは、創立費・開業費として会社の費用に計上できます。ただし領収書の要件があるため、準備段階から保管しておいてください。詳しくは税理士にご確認ください。
合同会社ならいくらから作れますか?
法定費用の下限は約6万円です。登録免許税が6万円で、定款認証が不要なためです。創業支援の証明があれば登録免許税が3万円になります。ただし株式会社とは意思決定の仕組みや将来の選択肢が違うため、費用だけで選ばないでください。

質問に共通しているのは、資本金と設立費用を混同しているという点です。株式会社の会社設立では、資本金は会社に入るお金、法定費用は支払って消えるお金です。この二つを分けて考えると、必要な現金の額がはっきりします。

出典このセクションの出典:ベンチャーサポート|株式会社の最低資本金はいくら?(ベンチャーサポート/2026年9月16日 確認)

まとめ|下限は約9万2千円。ただし条件が五つそろった場合

まとめ|下限は約9万2千円。ただし条件が五つそろった場合

株式会社の会社設立にかかる法定費用の下限は、条件をすべて満たした場合で約9万2,000円です。条件は、電子定款、資本金100万円未満、発起人が自然人3人以下、取締役会を置かない、特定創業支援等事業の証明の五つです。

  • 電子定款にできる手段があるか(機材または依頼)
  • 資本金を100万円未満にできるか(運転資金と許認可の要件を確認)
  • 発起人は自然人3人以下か
  • 取締役会を置かない設計か
  • 本店を置く自治体で特定創業支援等事業の証明を取れるか

削減額が大きいのは、創業支援の証明(7万5,000円)と電子定款(4万円)です。この二つを押さえれば、11万5,000円が動きます。まずこの二つを確認してください。

証明がない場合の下限は約16万7,000円です。これが一般的に示される株式会社の設立費用の目安に近い数字になります。ここに実費1万円程度と、依頼する場合は報酬が加わります。

なお、資本金はこの費用とは別に用意する必要があります。費用を削ることばかりに気を取られて資本金を薄くすると、設立後の資金繰りが苦しくなります。一度きりの支出と、続く資金繰りを分けて考えてください。

この記事の金額は2026年9月16日時点の公開情報にもとづきます。登録免許税も公証人手数料も改定されることがあるため、実際に支払う前に法務局・日本公証人連合会・中小企業庁および市区町村の公式ページで最新の内容をご確認ください。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|会社の定款手数料の改定(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

下限が分かったら、そこに実費と資本金を足してください

株式会社の会社設立にかかる法定費用の下限は分かりました。ただし、これは法定費用だけの金額です。会社実印、印鑑証明書、登記完了後の証明書といった実費が別に1万円程度かかります。

そして資本金は、この費用とは別に用意する必要があります。資本金は会社の財産になるお金で、法定費用のように支払って消えるものではありません。設立直後の運転資金でもあるため、法定費用を削ることばかりに気を取られないでください。制度は改定されるので、実際に支払う直前には公式ページでご確認ください。

この記事は、株式会社の会社設立を決めるうえで役に立ちましたか?

押しても個人が特定される情報は送信していません。判断に迷う論点があれば、法務局・公証役場や司法書士・税理士にもあわせてご確認ください。

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

掲載順は優劣を示すものではありません。各サイトの運営者・掲載内容は当サイトとは無関係で、内容の正確性を保証するものでもありません。会社設立の手続や費用、株式会社の資本金の扱いは改定されることがあるため、実際に手を動かす前に法務局・公証役場・国税庁など所管の公式ページで最新の情報をご確認ください(当サイトのリンク確認日:2026年9月16日)。

あわせて読んでおきたい記事