会社設立をオンラインで完結させる|定款認証から登記、設立後の届出まで
定款認証も登記申請も設立後の届出も、オンラインでできます。ただし準備が要ります。どこまで完結できるのかを確かめます。

この記事は、平日の日中に動きにくい人のためのものです
公証役場も法務局も、平日の日中しか開いていません。勤務先を休まずに株式会社の会社設立を進めたい。そう考えると、どこまでオンラインでできるのかが気になります。
結論から言えば、定款認証も登記申請も設立後の届出も、オンラインで進められます。ただし準備が要りますし、すべてが完結するわけではありません。この記事では、四つの仕組みに分けて整理します。内容は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。
オンラインでできる四つの場面

株式会社の会社設立でオンライン化できるのは、四つの場面です。定款の電子化、テレビ電話による認証、登記のオンライン申請、設立後の届出です。
株式会社の定款の電子化は、PDFに電子署名を付ける作業です。これにより収入印紙4万円が不要になります。金銭的な効果が最も大きい部分です。
テレビ電話による認証は、公証役場に出向かずに定款認証を受ける仕組みです。対応している公証役場であれば利用できます。
登記のオンライン申請は、法務省の登記・供託オンライン申請システムを使います。申請用総合ソフトをインストールして送信します。
設立後の届出は、法人設立ワンストップサービスを使います。マイナポータル上で、税務署や年金事務所への届出をまとめて電子申請できます。
これらを組み合わせれば、会社設立の大部分をオンラインで進められます。ただし資本金の払込みは自分で行う必要があり、通帳の記録も用意します。
オンライン化しても、決めごとの内容は変わりません。商号、事業目的、本店所在地、資本金の額、機関設計。株式会社の会社設立で決めるべきことは同じで、変わるのは提出の方法だけです。
以下では、四つの場面をそれぞれ見ていきます。必要な準備と、窓口手続との違いを整理します。

出典このセクションの出典:法務省|商業・法人登記のオンライン申請について(法務省/2026年9月16日 確認)
定款の電子化|印紙代4万円が不要に

定款をPDFにして電子署名を付けると、印紙税法上の文書にあたらなくなり、収入印紙4万円が不要になります。株式会社の会社設立でオンライン化する最大の理由です。
必要なのは、電子証明書、ICカードリーダー、署名対応のPDFソフトです。マイナンバーカードの署名用電子証明書が使えます。
発起人が複数いる場合、全員の電子署名が必要になります。全員がマイナンバーカードと環境を持っている必要があるということです。
実務では、発起人のうち一人が代表して署名し、他の発起人からは委任を受けるという方法が取られることもあります。取扱いは公証役場に確認してください。
機材を持っていない場合、揃えるのに数千円から数万円かかり、設定にも時間がかかります。一度きりの会社設立のために揃えるかという判断になります。
定款の作成と電子定款での認証だけを行政書士や司法書士に依頼するという方法もあります。報酬が4万円を下回れば、実質的な負担は増えません。
電子定款でも、資本金の額は定款に明記します。「設立に際して出資される財産の価額は金○○円とする」という条文で、最低額で書くと公証人手数料が5万円になる点も紙と同じです。株式会社の会社設立では、資本金を確定させてからPDFに変換してください。
なお、電子定款であっても公証人の認証は必要です。電子化で省けるのは印紙代だけです。
出典このセクションの出典:freee|電子定款とは?作成方法や認証手続きの流れ(freee株式会社/2026年9月16日 確認)
テレビ電話による定款認証

株式会社の定款について、テレビ電話を使った認証に対応している公証役場があります。株式会社の会社設立で、公証役場に出向く必要がなくなる仕組みです。
利用するには、電子定款であることが前提です。紙の定款では対面での認証になります。
手順は、事前確認で内容を固め、電子署名を付けたPDFを送信し、指定された日時にテレビ電話で本人確認を受けるという流れです。
本人確認の方法は公証役場によって異なります。マイナンバーカードによる電子的な確認のほか、身分証明書を画面に提示する方法が取られることもあります。
予約の取り方も役場によって異なります。電話で日時を決める場合もあれば、メールでやりとりする場合もあります。株式会社の会社設立では、事前確認のやりとりのなかで認証の日程も決めていくのが通例です。
対応状況は公証役場ごとに違うため、事前に確認してください。本店所在地と同じ都道府県内であれば、どの公証役場でも構いません。
出向く時間が省けるため、平日の日中に動きにくい人には効果が大きくなります。会社設立の日程も、公証役場への移動を見込まずに組めます。
認証の当日は、資本金の額や発起人の氏名について確認を受けることがあります。定款の内容を把握していないと答えられないため、テレビ電話であっても内容を理解したうえで臨んでください。株式会社の会社設立では、専門家に任せきりにしていると、この場面で戸惑うことがあります。
なお、認証を受けた後の謄本は、郵送で受け取るか窓口で受け取ることになります。この受け取りだけは物理的な手続が残ります。
出典このセクションの出典:丸の内公証役場|会社・法人等の定款認証(丸の内公証役場/2026年9月16日 確認)
登記のオンライン申請

株式会社の設立登記は、法務省の登記・供託オンライン申請システムを使ってオンラインで申請できます。株式会社の会社設立で、法務局に出向かずに済む仕組みです。
利用するには、申請用総合ソフトをインストールし、電子証明書を用意します。マイナンバーカードの署名用電子証明書が使えます。
システムの利用時間は決まっており、平日の一定時間帯に限られます。24時間いつでも送信できるわけではない点に注意してください。
登録免許税は、電子納付(ペイジー)で納められます。収入印紙を購入して貼る必要がなくなります。
添付書類のうち、電子化できないものは別途郵送するか窓口に持参します。印鑑証明書などが該当することがあるため、事前に確認してください。
なお、オンライン申請の場合、印鑑届書の提出は任意とされています。ただし会社の印鑑証明書は実印を登録していないと取得できないため、実務では提出するのが一般的です。
オンライン申請でも、登録免許税の額は同じです。株式会社の場合は資本金の0.7%と15万円の高いほう。電子納付が使えるため収入印紙を買いに行く必要はありませんが、税額そのものは変わりません。
処理日数は窓口申請と変わりません。会社設立でオンライン申請を使う効果は、移動と待ち時間が省けることにあります。
出典このセクションの出典:法務局|オンライン申請のご案内(法務局/2026年9月16日 確認)
法人設立ワンストップサービス

法人設立ワンストップサービスは、マイナポータル上で法人設立に関する手続をまとめて電子申請できる仕組みです。デジタル庁が運営しています。
定款認証、設立登記、設立後の届出を、行政機関に出向かずに完結させることを目指した仕組みです。株式会社の会社設立で、複数の窓口をまわる手間が減ります。
設立後の届出では、税務署への法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書などが対象になります。
年金事務所への健康保険・厚生年金保険の新規適用届も対象です。設立から5日以内という期限が最も短い手続なので、電子申請の効果が大きくなります。
利用するには、マイナンバーカードとマイナポータルの利用環境が必要です。法人としての電子証明書が求められる手続もあります。
対象となる手続の範囲は拡大されてきています。会社設立の前に、どの手続が対象になるのかを確認してください。
法人番号の通知も設立後に届きます。国税庁から指定され、法人番号公表サイトに商号・本店所在地とともに掲載されます。株式会社の会社設立では、この番号が各種手続で使われるため、届いたら控えておいてください。
なお、都道府県税事務所や市区町村への届出は、自治体によって電子申請の対応状況が異なります。すべてが一度に済むとは限りません。
出典このセクションの出典:法人設立ワンストップサービス(デジタル庁/2026年9月16日 確認)
オンラインで完結しない部分

株式会社の会社設立では、オンラインで完結しない部分もあります。株式会社の会社設立で、どうしても自分の手が必要になる工程です。
ひとつめが資本金の払込みです。発起人個人の口座に入金し、通帳の記録を用意します。ネット銀行を使えば画面の印刷で済みますが、入金の操作は自分で行う必要があります。
ふたつめが印鑑証明書の取得です。マイナンバーカードがあればコンビニ交付が使えますが、取りに行く必要はあります。
みっつめが会社実印の作成です。印章店に発注し、受け取ります。オンライン申請では印鑑届書が任意ですが、会社の印鑑証明書を取るには登録が必要です。
よっつめが法人口座の開設です。金融機関の審査があり、書類の提出や面談を求められることもあります。会社設立の後、実務が動き出すのはこの口座が開いてからです。
資本金の払込みは、定款の認証日より後でなければなりません。この順番はオンラインでも変わりません。株式会社の会社設立では、認証が終わったことを確認してから入金してください。
いつつめが登記事項証明書の取得です。オンラインで請求できますが、受け取りは郵送か窓口になります。
つまり、オンライン化で省けるのは移動と待ち時間です。会社設立の工程そのものがなくなるわけではありません。
出典このセクションの出典:起業応援ナビ|会社設立時の資本金の払込方法(GMOあおぞらネット銀行/2026年9月16日 確認)
どこまでオンラインにするかの判断

株式会社のオンライン手続には準備が要ります。株式会社の会社設立で、どこまでオンラインにするかは準備の手間と効果を比べて決めます。
すでにマイナンバーカードを持ち、確定申告の電子申告をしている人なら、追加の準備は少なくて済みます。電子定款も登記申請も、既存の環境で進められます。
マイナンバーカードがない場合、取得に数週間かかります。会社設立を急いでいるなら、一部だけオンラインにするという選択が現実的です。
たとえば、定款の作成と電子定款での認証だけを専門家に依頼し、登記申請は窓口で行う。これでも印紙代4万円は削れます。
逆に、平日の日中にまったく動けない人であれば、オンライン化の効果は大きくなります。公証役場と法務局の両方に出向かずに済むためです。
設立後の届出については、法人設立ワンストップサービスを使う価値が高くなります。期限が短く、提出先も複数あるためです。
司法書士に依頼する場合、オンライン申請は事務所側で行われます。自分で環境を用意する必要がなく、株式会社の会社設立の日程も短くなります。オンライン化のメリットを、準備なしで受け取る方法だと言えます。
なお、会計ソフト事業者の設立支援サービスを使うと、これらの手続の一部が自動化されることもあります。会社設立の手段として検討する価値があります。
出典このセクションの出典:創業手帳|法人登記のオンライン申請とは?(創業手帳/2026年9月16日 確認)
オンライン手続についてよく聞かれること

- マイナンバーカードは必須ですか?
- 電子定款とオンライン申請では、電子証明書が必要です。マイナンバーカードが最も手軽ですが、商業登記電子証明書など他の方法もあります。株式会社の会社設立では、まずマイナンバーカードの有無を確認してください。
- スマートフォンだけでできますか?
- マイナポータルを使う手続はスマートフォンでも可能です。ただし電子定款の作成や登記のオンライン申請には、パソコンと専用ソフトが必要になることが多くあります。
- オンラインだと費用は安くなりますか?
- 電子定款により印紙代4万円が削れます。登録免許税や公証人手数料は変わりません。会社設立の費用としては、印紙代の分だけ安くなります。
- 途中で窓口に切り替えられますか?
- 工程ごとに選べます。定款認証はオンライン、登記申請は窓口といった組み合わせも可能です。株式会社の会社設立では、無理にすべてをオンラインにする必要はありません。
質問に共通しているのは、準備の壁です。オンライン手続の仕組みは整っていますが、電子証明書とソフトの準備が最初のハードルになります。株式会社の会社設立で急いでいる場合は、一部だけ使うという選択も合理的です。
出典このセクションの出典:弥生|法人登記をオンライン申請するには?(弥生株式会社/2026年9月16日 確認)
まとめ|移動と待ち時間が省ける。処理日数は変わらない

株式会社の会社設立でオンライン化できるのは、定款の電子化、テレビ電話による認証、登記のオンライン申請、設立後の届出の四つです。
- 定款の電子化印紙代4万円が不要に。金銭的な効果が最も大きい。
- テレビ電話認証公証役場に出向かずに済む。対応状況は役場ごとに異なる。
- オンライン登記申請移動と待ち時間が省ける。処理日数は変わらない。
- ワンストップサービス設立後の届出をまとめて。期限が短い手続に効果的。
完結しないのは、資本金の払込み、印鑑証明書の取得、会社実印の作成、法人口座の開設です。これらは自分の手が必要になります。
オンライン化で省けるのは移動と待ち時間です。会社設立の工程そのものがなくなるわけではなく、法務局の処理日数も変わりません。
準備の手間と効果を比べて、どこまでオンラインにするかを決めてください。マイナンバーカードを持っているかどうかが最初の分かれ目になります。
なお、この記事の内容と対応状況は2026年9月16日時点のものです。制度もシステムも変わるため、実際の手続の前に法務省・デジタル庁・公証役場の公式ページでご確認ください。
出典このセクションの出典:法務省|商業・法人登記のオンライン申請について(法務省/2026年9月16日 確認)
準備の手間と、削れる移動時間を比べてください
オンライン手続には準備が要ります。電子証明書、カードリーダー、ソフトの設定。一度きりの会社設立のために揃えるかどうかという判断になります。
すでにマイナンバーカードを持ち、確定申告の電子申告をしている人なら、追加の準備は少なくて済みます。そうでない場合は、一部だけオンラインにするという選択もあります。制度と対応状況は変わるため、実際の手続の前に公式ページでご確認ください。
この記事は、株式会社の会社設立を決めるうえで役に立ちましたか?
押しても個人が特定される情報は送信していません。判断に迷う論点があれば、法務局・公証役場や司法書士・税理士にもあわせてご確認ください。