電子定款にすると印紙代4万円が不要になる仕組み|必要な機材と、頼んだ場合との比較
紙の定款には4万円の収入印紙が要り、電子定款には要りません。同じ内容なのに差が出る理由と、その4万円を取りにいく価値があるかを確かめます。

この記事は、印紙代4万円を削れるか確かめたい人のためのものです
株式会社の会社設立で、内容をまったく変えずに4万円を減らせる場所がひとつだけあります。定款を紙ではなく電子データで作ることです。
ただし、自分で電子定款を作るには機材が要ります。その機材を揃えるのに数千円から数万円かかり、設定にも時間がかかります。この記事では、仕組みと必要な機材、そして依頼した場合との比較を整理します。金額は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。
01なぜ紙の定款に4万円かかるのか

紙に印刷した定款には、4万円の収入印紙を貼る必要があります。印紙税法が定める課税文書にあたるためです。
印紙税は、契約書や領収書といった文書に課される税です。課税される文書の種類と税額が法律で定められており、定款もその対象に含まれています。
一方、電子データで作成した定款は、印紙税法上の文書にあたりません。そのため課税されず、収入印紙が不要になります。
同じ内容の定款でも、紙か電子かで扱いが変わるということです。株式会社の会社設立で、この差が4万円になります。
印紙を貼るのは、設立時の定款の原本だけです。会社が保管する謄本や、登記に添える謄本には貼る必要がありません。
貼り忘れたまま公証役場に持ち込むと、その場で指摘されます。過怠税の対象になることもあるため、紙の定款にするなら忘れないでください。
なお、印紙代は資本金の額とは無関係です。資本金1円でも1,000万円でも4万円です。会社設立で、定款の形だけで動く唯一の費用になります。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)
02自分で電子定款を作るのに必要なもの

電子定款を自分で作るには、三つのものが必要です。株式会社の会社設立で自力で進める場合、ここが最初のハードルになります。
ひとつめは電子証明書です。マイナンバーカードに搭載されている署名用電子証明書が使えます。カードの取得は無料ですが、申請から受け取りまで数週間かかることがあります。
ふたつめはICカードリーダーです。公的個人認証サービスに対応した製品が必要で、2,000円から4,000円程度で購入できます。確定申告の電子申告にも使えます。
みっつめは署名対応のPDFソフトです。無料のものから数万円のものまであります。公証役場が受け付ける形式に対応しているかを確認してください。
すでにマイナンバーカードを持っているなら、数千円で揃うこともあります。持っていない場合は、カードの交付を待つ時間が会社設立の日程に影響します。
機材を揃えても、設定に時間がかかります。署名の付け方、公証役場への送信方法など、初めてだと数時間かかることもあります。
機材は発起人の人数分そろえる必要はありません。署名は発起人ごとに必要ですが、同じカードリーダーを順番に使えば足ります。株式会社の会社設立で発起人が複数いる場合は、全員が集まれる日を作って一度に署名するのが効率的です。
なお、スマートフォンでマイナンバーカードを読み取れる場合、カードリーダーが不要になることもあります。使用するソフトの対応状況を確認してください。
出典このセクションの出典:マネーフォワード|電子定款とは?作り方・認証の流れ(マネーフォワード/2026年9月16日 確認)
03電子定款の作成から認証までの流れ

電子定款を作る流れを整理します。株式会社の会社設立で、紙の定款とは手順が変わる部分です。
まず、定款の内容をワープロソフトで作成します。ここは紙の定款と同じです。内容が固まったら公証役場に事前確認を依頼します。
事前確認で内容が確定したら、PDFに変換します。このとき、印紙は貼りません。電子データなので印紙税の対象外です。
PDFに電子署名を付けます。マイナンバーカードの署名用電子証明書を使い、署名対応のソフトで処理します。発起人が複数いる場合は全員分の署名が必要です。
署名を付けたPDFを公証役場に送信します。送信方法は公証役場によって異なり、法務省のオンラインシステムを使う場合もあります。
認証を受けたら、謄本を受け取ります。電子定款の場合も書面の謄本を交付してもらうのが一般的で、登記申請にはこれを使います。
電子定款でも、資本金の額は定款に書きます。「設立に際して出資される財産の価額は金○○円とする」という条文です。最低額で書くと公証人手数料が5万円になる点も、紙の定款と同じです。株式会社の会社設立では、資本金の額を確定させてからPDFに変換してください。
なお、テレビ電話を使ったオンラインでの認証に対応している公証役場もあります。電子定款とあわせて使えば、会社設立で公証役場に出向く必要がなくなります。
出典このセクションの出典:freee|電子定款とは?作成方法や認証手続きの流れ(freee株式会社/2026年9月16日 確認)
04機材を揃えるか、依頼するか

電子定款で削れるのは4万円です。株式会社の会社設立で、この4万円を取りにいくためにいくらかけるかという判断になります。
すでにマイナンバーカードとICカードリーダーを持っているなら、追加の費用はほぼかかりません。ソフトも無料のものが使えれば、実質0円で4万円が削れます。
持っていない場合、カードの取得に数週間、リーダーの購入に数千円、ソフトの準備と設定に数時間。一度きりの会社設立のために揃えるのは割に合わないことがあります。
そこで選ばれるのが、定款の作成と電子定款での認証だけを行政書士や司法書士に依頼する方法です。報酬の目安は3万円から5万円程度です。
報酬が4万円を下回れば、紙の定款で自分でやるより安くなります。加えて、定款の内容を専門家が確認するため、事前確認の往復も減ります。
会計ソフト事業者が提供する設立支援サービスのなかにも、電子定款に対応しているものがあります。画面の案内に沿って進められるため、費用と手間の両方を抑えられます。
依頼する場合でも、商号や事業目的、資本金の額を決めるのは自分です。専門家が代わりに決めてくれるわけではありません。株式会社の会社設立では、決めごとを固めてから依頼するほうが、やりとりが短く済みます。
なお、登記申請は自分で行うこともできます。定款だけを依頼して、登記は自力で。株式会社の会社設立では、この組み合わせがよく選ばれています。
出典このセクションの出典:司法書士法人まちたま|自分でやる場合と依頼した場合の費用の比較(司法書士法人まちたま/2026年9月16日 確認)
05費用を並べて比べる

四つのパターンで費用を比べます。いずれも資本金100万円未満、取締役会を置かない、発起人1人という前提です。
| パターン | 印紙代 | 報酬・機材費 | 法定費用の合計 |
|---|---|---|---|
| 紙の定款・自分で作る | 4万円 | 0円 | 約20万7千円 |
| 電子定款・機材あり | 0円 | 0円 | 約16万7千円 |
| 電子定款・機材を購入 | 0円 | 数千円〜 | 約16万7千円+機材費 |
| 電子定款・定款作成を依頼 | 0円 | 3万〜5万円 | 約16万7千円+報酬 |
最も安いのは、機材をすでに持っていて自分で電子定款を作る場合です。法定費用16万7,000円で済みます。
機材を購入する場合も、数千円程度であれば紙の定款より安くなります。カードリーダーは確定申告にも使えるため、無駄にはなりません。
依頼する場合は、報酬が4万円を下回れば紙の定款より安くなります。5万円なら1万円の持ち出しですが、事前確認の往復が減る分の価値もあります。
株式会社の会社設立で費用を抑えたいなら、まず手元の機材を確認してください。マイナンバーカードがあるかどうかが最初の分かれ目です。
なお、資本金の額が大きい場合は定款認証の手数料も上がりますが、印紙代は4万円で変わりません。資本金にかかわらず、電子定款の効果は同じです。
出典このセクションの出典:弥生|会社設立費用はいくら?株式会社・合同会社の法人設立費用を比較解説(弥生株式会社/2026年9月16日 確認)
06電子定款の注意点

電子定款を自分で作る場合、いくつか注意点があります。株式会社の会社設立で手が止まりやすい部分です。
ひとつめは署名の形式です。公証役場が受け付ける電子署名の形式が決まっているため、使用するソフトが対応しているかを確認してください。
ふたつめは発起人全員の署名です。発起人が複数いる場合、全員が電子署名を付ける必要があります。全員がマイナンバーカードと環境を持っている必要があるということです。
実務では、発起人のうち一人が代表して電子署名を付け、他の発起人からは委任を受けるという方法が取られることもあります。取扱いは公証役場に確認してください。
みっつめは保存です。電子定款のデータは会社で保管します。紙の謄本も受け取りますが、原本は電子データなので、失わないよう複数の場所に保存してください。
よっつめは、認証後の修正ができない点です。紙の定款と同じく、認証を受けた後に内容を変えるには再認証が必要になります。会社設立の前に内容を固めてください。
いつつめは、資本金の額を含む内容の確定です。電子署名を付けた後で数字を直すと、署名からやり直しになります。株式会社の会社設立では、事前確認を終えて内容が固まってから署名する順序を守ってください。
なお、電子定款であっても公証人の認証は必要です。電子化で省けるのは印紙代だけで、認証の工程そのものはなくなりません。
出典このセクションの出典:小谷野税理士法人|個人事業主の法人成りに最適なタイミング3つ(小谷野税理士法人/2026年9月16日 確認)
07合同会社との比較

合同会社の定款にも、紙で作れば4万円の収入印紙が必要です。電子定款にすれば不要になるのも同じです。
違うのは定款認証です。合同会社の定款は公証人の認証を受ける必要がありません。公証人手数料がかからないという差があります。
つまり、合同会社では電子定款にしても認証の工程はなく、印紙代4万円だけが削れます。株式会社では印紙代に加えて認証の手数料もかかります。
法定費用の下限で比べると、株式会社が約16万7,000円、合同会社が約6万円です。差の主な内訳は登録免許税と定款認証の手数料です。
電子定款の効果は、どちらの会社形態でも4万円で同じです。会社形態を選ぶ判断材料にはなりません。
なお、合同会社でも電子定款を作るには同じ機材が必要です。株式会社の会社設立と同様に、機材を揃えるか依頼するかの判断になります。
会社形態の選択は、資本金の扱いや意思決定の仕組み、将来の資金調達で決めてください。印紙代は判断材料になりません。
出典このセクションの出典:freee|会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の維持費(freee株式会社/2026年9月16日 確認)
08電子定款についてよく聞かれること

- 無料のPDFソフトでも電子署名を付けられますか?
- 付けられるものもありますが、公証役場が受け付ける形式に対応している必要があります。事前に公証役場に確認するか、対応が明記されているソフトを選んでください。株式会社の会社設立では、ここで手が止まることがあります。
- マイナンバーカードがなくても作れますか?
- 商業登記電子証明書やその他の電子証明書を使う方法もありますが、取得に費用と時間がかかります。マイナンバーカードが最も手軽です。持っていない場合は、定款作成を依頼するほうが早いこともあります。
- 電子定款でも謄本は紙でもらえますか?
- もらえます。登記申請には書面の謄本を使うのが一般的です。会社で保管する分とあわせて2通受け取ることが多くあります。
- 印紙を貼ってしまった場合はどうなりますか?
- 紙の定款に印紙を貼った後で電子定款に切り替えることはできません。貼った印紙の還付を受けられる場合もありますが、手続が必要です。株式会社の会社設立では、紙にするか電子にするかを先に決めてください。
質問に共通しているのは、機材と形式の壁です。電子定款の仕組みは単純ですが、実際に作るには環境の準備が要ります。株式会社の会社設立で急いでいる場合は、依頼するほうが確実なこともあります。
出典このセクションの出典:マネーフォワード|電子定款とは?作り方・認証の流れ(マネーフォワード/2026年9月16日 確認)
09まとめ|4万円を取りにいく価値は、機材の有無で決まる

紙の定款には4万円の収入印紙が必要で、電子定款には不要です。印紙税は紙の文書に課される税で、電子データは対象外だからです。
株式会社の会社設立で、内容をまったく変えずに4万円を削れる唯一の場所がここです。資本金の額とは無関係に効きます。
必要な機材
電子証明書(マイナンバーカード)、ICカードリーダー、署名対応のPDFソフト。
機材がある場合
実質0円で4万円が削れる。取りにいく価値は十分。
機材がない場合
カードの取得に数週間、リーダーに数千円、設定に数時間。
依頼する場合
定款作成のみで3万〜5万円程度。4万円を下回れば紙より安い。
すでにマイナンバーカードとICカードリーダーを持っているなら、迷わず電子定款にしてください。カードリーダーは確定申告にも使えるため、購入しても無駄になりません。
持っていない場合は、定款の作成だけを依頼するという選択が現実的です。報酬が4万円を下回れば、紙の定款で自分でやるより安くなります。
なお、電子定款でも公証人の認証は必要です。電子化で省けるのは印紙代だけで、会社設立の工程そのものは変わりません。
この記事の金額は2026年9月16日時点の公開情報にもとづきます。印紙税法や公証人手数料は改定されることがあるため、実際の手続の前に公式ページでご確認ください。
出典このセクションの出典:freee|電子定款とは?作成方法や認証手続きの流れ(freee株式会社/2026年9月16日 確認)
機材の有無で、取りにいく価値が変わります
電子定款で削れるのは4万円です。すでにマイナンバーカードとICカードリーダーを持っているなら、取りにいく価値は十分にあります。持っていないなら、揃える費用と手間と比べてください。
定款の作成だけを行政書士や司法書士に依頼するという選択もあります。報酬が4万円を下回れば、実質的な負担は増えません。株式会社の会社設立では、この折衷案がよく選ばれています。制度は改定されることがあるため、実際の手続の前に公式ページでご確認ください。
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