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株式会社設立の教科書 条件・費用・資本金から機関設計まで
株式会社設立 人数 一人でできるか

株式会社設立に必要な人数は何人か|1人・2人・4人で何が変わるのかを機関設計から読む

株式会社の必要人数は1人です。ただし置く機関によって3人になり4人になります。人数が増えると意思決定の仕組みが変わり、毎年の登記の手間も変わります。

公開 2026年8月30日 確認日 2026年9月16日 約11分で読めます 本文 約6,100字

この記事は、何人で会社を始めるか迷っている段階の人のためのものです

一人で始めるか、共同創業者と二人で始めるか、役員を何人か立てるか。株式会社の会社設立の前に、この人数をどう決めるかで悩む人は多くいます。人数は法律の条件でもあり、会社の運営の形そのものでもあるためです。

この記事では、人数を1人・2人・4人という三つの型に整理し、それぞれで何が必要になり、何ができるようになるのかを並べます。人数は機関設計の結果として決まるという関係を押さえると、迷いが減るはずです。金額や要件は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。

01人数は「置く機関」から逆算して決まる

人数は「置く機関」から逆算して決まる

株式会社の会社設立で必要な人数を直接定めた条文はありません。あるのは、どの機関を置くとどんな人員が必要になるかという規定です。だから人数は、機関設計から逆算して決まります。

必ず置かなければならないのは株主総会と取締役だけです。株主総会は株主の集まりなので、株式を持つ人が一人いれば成立します。取締役は1人以上いればよいので、ここまでなら一人で足ります。

定款で取締役会を置くと定めると、取締役は3人以上必要になります。さらに取締役会設置会社は原則として監査役を置かなければならないため、監査役1人が加わって合計4人になります。この4人という数字は、こうして導かれたものです。

逆に、取締役会を置かずに監査役だけを置くこともできます。この場合は取締役1人と監査役1人で2人です。会計参与を置く選択肢もありますが、小規模な株式会社の会社設立で選ばれることはほとんどありません。

置く機関と必要人数の対応
人数の答えは三つしかありません。会社設立の前に、どの行を選ぶかを決めるだけです。

出典このセクションの出典:日本監査役協会|機関設計の図解(日本監査役協会/2026年9月16日 確認)

021人型|最も多く選ばれる。手続も費用も最小になる

1人型|最も多く選ばれる。手続も費用も最小になる

取締役1人だけの株式会社が、会社設立で最もよく選ばれる形です。発起人・株主・取締役・代表取締役をすべて同じ人が兼ねます。定款には取締役会を置く旨を書かず、監査役の定めも入れません。

この形の利点は、手続と費用が最小になることです。添付書類は自分の分だけで済み、印鑑証明書も1通で足ります。設立後も、役員の変更登記が発生する機会が少なく、任期満了のたびにかかる重任登記の費用も自分一人分で済みます。

定款認証の手数料でも有利になります。2024年12月から、発起人が全員自然人で3人以下、設立時発行株式の全部を発起人が引き受ける、取締役会を置かない、という要件をすべて満たすと、資本金100万円未満の場合の手数料が1万5,000円になります。一人での会社設立はこの要件に自然と当てはまります。

欠点は、代わりがいないことです。自分が動けなくなると会社の意思決定が止まります。また、対外的に「役員は代表者のみ」という登記簿になるため、取引先によっては体制を確認されることがあります。ただし、これは資本金の額や事業実績で補える種類の話です。

一人でも書面は作る株主総会議事録、就任承諾書、役員報酬の決議。相手がいなくても書面にしておくと、税務調査や融資審査の場面で自分を助けます。会社設立の直後から習慣にしておくことをおすすめします。

出典このセクションの出典:マネーフォワード|株式会社設立に必要な人数や、1人社長のメリット・デメリット(マネーフォワード/2026年9月16日 確認)

032人型|共同創業か、監査役を置くか。意味がまったく違う

2人型|共同創業か、監査役を置くか。意味がまったく違う

2人で株式会社の会社設立をする場合、大きく二つのパターンがあります。ひとつは二人とも取締役になる共同創業型、もうひとつは取締役1人に監査役1人を加える型です。前者は経営の分担、後者は監督の追加という意味を持ちます。

共同創業型で最も注意が必要なのは、出資比率です。二人で半分ずつ出すと持株比率が50対50になり、意見が割れたときに普通決議すら通りません。取締役の選任も解任も、定款変更もできなくなります。きれいに割るほど危ないというのが実務の感覚です。

どちらか一方が過半数、できれば3分の2以上を持つ形にしておくと、意思決定が止まりません。出資額に差をつけたくない場合は、出資は同額にしつつ、一方に議決権のない種類株式を割り当てるといった設計もありますが、定款が複雑になります。

監査役を置く2人型は、取締役会を置かない株式会社でも選べます。監査役は取締役の職務執行を監査する立場で、家族や第三者に就任してもらうこともあります。ただし監査役にも任期があり、任期満了ごとに重任登記が必要です。会社設立の前に、その手間を引き受けるかを考えてください。

2人型の二つのパターン
人数は同じでも、会社設立後の運営はかなり違います。

出典このセクションの出典:ベリーベスト法律事務所|持株比率とは?注意すべき持株比率ライン(ベリーベスト法律事務所/2026年9月16日 確認)

044人型|取締役会を置くと何が得られ、何が増えるか

4人型|取締役会を置くと何が得られ、何が増えるか

取締役会を置く株式会社は、取締役3人以上と、原則として監査役1人が必要です。合計4人以上の役員をそろえることになります。株式会社の会社設立の段階でこの形を選ぶのは、複数の出資者がいる場合や、将来の資金調達を見据えている場合です。

取締役会を置くと、一定の業務執行の決定を取締役会の決議で行えるようになります。株主総会の権限は法定事項と定款に定めた事項に限られ、日常の意思決定は取締役会に移ります。株主が多数いる会社では、これが大きな意味を持ちます。

一方で、増えるものも多くあります。取締役会は原則として3か月に1回以上開催する必要があり、そのたびに議事録を作ります。役員が4人いれば、任期満了のたびに4人分の重任登記が必要です。就任・退任のたびに印鑑証明書や本人確認書類もそろえます。

株主が自分ひとり、あるいはごく少数という会社設立の段階では、取締役会を置く実益はほとんどありません。必要になってから定款変更で置くという順序で困ることはありません。逆に、最初に置いてしまうと、役員が辞めたときに人数を満たせなくなるリスクを抱えます。

取締役会を置くと増えるもの
得られるのは意思決定の仕組み、増えるのは手続です。会社設立の時点で必要かを見極めてください。

出典このセクションの出典:行政書士かんべ法務事務所|株式会社の機関設計とルール(かんべ法務事務所/2026年9月16日 確認)

05発起人の人数は、役員の人数とは別に決まる

発起人の人数は、役員の人数とは別に決まる

ここまで見てきたのは役員の人数ですが、発起人の人数はそれとは別に決まります。発起人は会社に出資し、定款に署名する人です。人数に制限はなく、1人でも複数でも構いませんし、法人が発起人になることもできます。

発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける方式を発起設立、一部を引き受けて残りの引受人を募集する方式を募集設立といいます。小規模な株式会社の会社設立では、手続が簡単な発起設立がほぼすべてです。募集設立では創立総会の開催が必要になり、手続が重くなります。

発起人の人数は、定款認証の手数料にも影響します。発起人が全員自然人で3人以下という要件が、1万5,000円の手数料区分に入っています。4人以上で会社設立をする場合や、法人が発起人に入る場合は、この区分を使えません。

出資はするが経営には関わらない、という立場も設計できます。その人は発起人であり株主ですが、取締役ではありません。逆に、出資はしないが取締役として働く人もいます。資本金を出す人と、会社を動かす人は別という前提で人数を考えると、設計の幅が広がります。

立場と人数の考え方
立場 人数の制限 会社設立での役割
発起人 制限なし(1人以上) 資本金を出し、定款に署名する
株主 制限なし 発起設立では発起人がそのまま株主になる
取締役 1人以上(取締役会設置なら3人以上) 会社の経営を担う
監査役 取締役会設置なら原則必要 取締役の職務執行を監査する

出典このセクションの出典:松尾会計事務所|発起設立と募集設立の違いや選び方の基準(松尾会計事務所/2026年9月16日 確認)

06人数が増えると、資本金と費用はどう変わるか

人数が増えると、資本金と費用はどう変わるか

人数が増えても、登録免許税は変わりません。設立登記の登録免許税は資本金の額で決まり、役員の人数には連動しないためです。資本金が約2,143万円未満なら、何人で会社設立をしても15万円です。

変わるのは定款認証の手数料と、添付書類の量です。発起人が4人以上、あるいは法人が発起人に含まれる場合、資本金100万円未満でも1万5,000円の区分は使えず、3万円になります。人数が費用に効いてくるのはここです。

添付書類は人数分必要になります。設立時取締役の印鑑証明書は取締役の人数分、就任承諾書も全員分です。監査役については本人確認証明書が必要になります。1通あたりの金額は小さいものの、集めるのに時間がかかります。

設立後の費用にも差が出ます。役員が多いほど、任期満了のたびの重任登記で登録免許税がかかります。資本金1億円以下の会社であれば1回1万円ですが、これが役員の人数にかかわらず1件分なのか複数件分になるのかは、申請のまとめ方によります。会社設立の前に、人数を増やす判断は慎重にしてください。

発起人の人数で変わる定款認証手数料(資本金100万円未満)
人数が費用に直接効いてくるのは、この定款認証の区分だけです。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|会社の定款手数料の改定(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

07迷ったときの決め方|まず1人で作り、必要になったら足す

迷ったときの決め方|まず1人で作り、必要になったら足す

人数で迷ったときの原則は、小さく始めて必要になったら足すです。役員を増やすのは株主総会の決議と変更登記でできますが、減らすのは辞任や解任という人間関係の話になります。

特に取締役会は、いったん置くと3人体制を維持し続ける必要があります。誰かが辞任して2人になると、法律上の要件を欠いた状態になります。会社設立の時点で人が揃っていても、数年後も揃っている保証はありません。

共同創業者がいる場合も、必ずしも全員を取締役にする必要はありません。出資してもらって株主になってもらい、取締役は代表者一人という形も取れます。経営への関与は雇用契約や業務委託でも表現できます。

役員を増やす一番の理由は、対外的な信用であることが多いのですが、取引先が実際に見るのは登記簿の役員欄よりも、資本金の額と事業の実態であることのほうが多いようです。人数を増やす前に、その人数が何を解決するのかを言葉にしてみてください。

  • いま人数を増やす理由を説明できるか
  • 増やした人が辞めたときに要件を欠かないか
  • 重任登記の費用と手間を引き受けられるか
  • 出資比率と役員構成を分けて考えたか
  • 定款認証の手数料区分から外れないか

出典このセクションの出典:ドリームゲート|【株式会社設立】の全手順とメリット・デメリット(ドリームゲート/2026年9月16日 確認)

08人数についてよく聞かれること

人数についてよく聞かれること
従業員を雇う予定がなくても株式会社を設立できますか?
できます。従業員の人数は株式会社の会社設立の要件にまったく関係しません。取締役1人だけの会社が普通に存在します。ただし役員報酬を支払う場合は、従業員がいなくても社会保険の適用事業所になります。
家族を取締役にするメリットはありますか?
役員報酬を分散でき、所得税の面で有利になる場合があります。ただし実態のない役員に報酬を出すと、税務上否認されることがあります。また役員が増えれば重任登記の手間も増えます。資本金の額とあわせて、税理士に相談したうえで判断してください。
設立後に取締役を1人から3人に増やしたら、取締役会になりますか?
なりません。取締役会は定款で置く旨を定めたときに設置される機関です。取締役が3人になっただけでは取締役会設置会社にはならず、引き続き各取締役が業務を執行します。
発起人と設立時取締役は同じ人でなければいけませんか?
同じである必要はありません。発起人が出資して株主になり、その発起人が別の人を設立時取締役に選ぶこともできます。誰が資本金を出すかと、誰が経営するかは別に決められます。

人数の質問は、突き詰めると役割の質問であることがほとんどです。株式会社の会社設立では、出資する人・経営する人・監督する人・代表する人がそれぞれ別に決まります。何人必要かを考える前に、誰にどの役割を持たせたいのかを整理すると答えが出やすくなります。

出典このセクションの出典:弥生|株式会社設立の人数は何人から?(弥生株式会社/2026年9月16日 確認)

09まとめ|必要人数は1人。3人と4人は、置く機関から生まれる数字

まとめ|必要人数は1人。3人と4人は、置く機関から生まれる数字

株式会社の会社設立に必要な人数は1人です。取締役会を置かず、監査役も置かなければ、発起人・株主・取締役・代表取締役をすべて同じ人が兼ねられます。従業員の要件もありません。

3人という数字は取締役会を置いたときの取締役の最低人数、4人はそれに監査役を加えた数です。どちらも会社法が人数を要求しているのではなく、機関を置いた結果として必要になる数字です。

三つの型のまとめ
構成 向いている場合
1人型 取締役1人 一人で始める。手続と費用が最小
2人型 取締役2人、または取締役+監査役 共同創業、または監督を加えたい場合
4人型 取締役3人+監査役1人 出資者が複数、資金調達を見据える場合

迷ったら1人型から始めてください。役員は後から増やせますし、取締役会も定款変更で置けます。逆に、置いた機関を外したり役員を減らしたりするほうが、手続としても人間関係としても難しくなります。

資本金の額と人数は独立に決められます。一人の株式会社でも資本金を厚くすることはできますし、複数人でも少額から始められます。会社設立の費用のうち人数に連動するのは定款認証の手数料区分だけで、登録免許税は資本金だけで決まります。

なお、この記事の要件と金額は2026年9月16日時点の会社法および法務局・日本公証人連合会の公開情報にもとづきます。制度は改正されるため、実際に手続を進める前に公式ページで最新の内容をご確認ください。共同創業者との持株比率や、家族を役員にする場合の税務上の扱いは個別性が高い論点です。司法書士・税理士など、その業務を扱える専門家にご相談ください。

出典このセクションの出典:小谷野税理士法人|株式会社を設立する条件とは?(小谷野税理士法人/2026年9月16日 確認)

人数が決まったら、その人たちの立場を決めてください

何人で株式会社を始めるかが決まったら、次はその人たちをどの立場に置くかという話になります。出資する人、経営する人、代表する人は、それぞれ別に決められます。全員を取締役にする必要はありませんし、全員が株式を持つ必要もありません。

特に、株式を誰がどれだけ持つかは後戻りが効きにくい決定です。会社設立の前に、持株比率と役員構成を紙に書いて確認しておくことをおすすめします。共同創業者がいる場合は、司法書士や弁護士に相談して、株主間の取り決めもあわせて検討しておくと安心です。

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