株式会社の設立費用の内訳と総額|法定費用だけなら電子定款で約18万2千円から
株式会社の設立費用は「法定費用」と「それ以外」に分けると見通しがよくなります。登録免許税15万円、定款認証1万5千円〜5万円、謄本手数料という内訳を追いながら、資本金の額で総額がどこまで動くのかを確かめます。

この記事は、株式会社の設立費用を1円単位で見積もりたい人のためのものです
合同会社にするか株式会社にするかはもう決まっていて、あとは手元にいくら用意すればよいのかだけが分からない。そういう段階の人に向けて書いています。会社設立の費用は「調べると15万円と書いてあったり25万円と書いてあったりする」ことが多く、それはどこまでを費用に入れているかが記事ごとに違うからです。
ここでは、法律で必ずかかる法定費用と、事情によってかかる実費を分けて並べます。資本金は費用ではないという前提も最初に置きます。金額はすべて2026年9月16日に法務局・日本公証人連合会・中小企業庁の公開情報で確認したもので、見出しごとに出典を添えています。
01株式会社の設立費用は「必ずかかるお金」と「事情によってかかるお金」に分かれる

株式会社の会社設立でかかるお金は、大きく三つに分かれます。法律で決まっていて誰でも同じ額になる法定費用、人によって要否が変わる実費、そして専門家に頼んだときの報酬です。この三つを分けないまま合計しようとすると、総額はいつまでも出ません。
法定費用は、登録免許税・定款認証の公証人手数料・定款の謄本手数料・収入印紙代の四つです。このうち収入印紙代は紙の定款を選んだときだけかかります。実費には、会社実印の作成代、発起人の印鑑証明書、登記が終わったあとに取る登記事項証明書と会社の印鑑証明書などが入ります。
報酬は、司法書士や会計事務所に手続を任せた場合に発生します。自分で申請するなら0円ですが、そのぶん時間と差し戻しのリスクを引き受けることになります。株式会社の会社設立の記事で金額に幅があるのは、この報酬を含めているかどうかの差であることがほとんどです。

- 法定費用登録免許税、定款認証の公証人手数料、定款の謄本手数料、収入印紙代。誰が手続をしても同じ額になります。
- 実費会社実印、印鑑証明書、登記事項証明書など。枚数や個数で変わるため、見積もりでは幅を持たせます。
- 報酬司法書士や会計事務所に依頼したときの手数料。自分で進めるなら発生しません。
この記事では、まず法定費用を確定させ、次に実費の幅を出し、最後に報酬を足すという順で総額を組み立てます。株式会社の設立費用を人に説明するときも、この順番で話すと伝わりやすくなります。
出典このセクションの出典:日本公証人連合会|Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)
02登録免許税は資本金の0.7%と15万円のどちらか高いほう

株式会社の設立登記でかかる登録免許税は、資本金の額に1000分の7を掛けた額です。ただし、その計算結果が15万円に満たないときは15万円になります。つまり15万円が下限で、そこから資本金が増えるほど税額も増えていく構造です。
この下限が効くのは、資本金がおよそ2,143万円までです。15万円 ÷ 0.007 は約2,142万8,571円なので、それ未満なら計算結果が15万円を下回り、一律で15万円になります。個人が一人で会社設立をするときの資本金はこの範囲に収まることがほとんどなので、実際には「登録免許税は15万円」と覚えておいて差し支えありません。

市区町村の証明があれば半額になる場合がある
市区町村が実施する特定創業支援等事業の支援を受け、その証明書を取得してから登記を申請すると、株式会社の登録免許税は半額の7万5千円になります。中小企業庁が制度の案内を出しており、対象は創業前の人か、創業後5年未満の個人で、会社の発起人かつ代表者になる人です。
注意したいのは順番です。証明書は設立登記の申請より前に取得しておく必要があります。申請してから気づいても遡って適用はされません。支援事業の内容や期間は市区町村ごとに違うので、会社設立の日程を決める前に、本店を置く予定の自治体の窓口に問い合わせておくと確実です。
出典このセクションの出典:中小企業庁|会社設立時の登録免許税の軽減について(中小企業庁/2026年9月16日 確認)
03定款認証の手数料は資本金と会社の形で1万5千円から5万円まで動く

株式会社の定款は、公証役場で公証人の認証を受けなければ効力を持ちません。合同会社にはこの工程がなく、ここが両者の会社設立費用の差になっています。手数料は日本公証人連合会が公表しており、資本金の額で三段階に分かれます。
| 資本金の額等 | 手数料 | 備考 |
|---|---|---|
| 100万円未満 | 3万円 | 下の軽減要件を満たすと1万5千円 |
| 100万円以上300万円未満 | 4万円 | — |
| 300万円以上 | 5万円 | 定款に『◯◯万円以上』と最低額だけ書いた場合も5万円 |
2024年12月1日からは、これとは別に1万5千円という区分が設けられました。適用されるのは次の三つをすべて満たす場合です。発起人の全員が自然人で3人以下であること、設立時発行株式の全部を発起人が引き受ける旨が定款に書かれていること、そして取締役会を置く旨の記載がないこと。
- 発起人が全員個人で、人数は3人以内か
- 発起人が設立時発行株式を全部引き受ける旨を定款に書いたか
- 取締役会を置かない設計にしたか
- 資本金の額が100万円未満に収まっているか
ひとりで株式会社を作り、資本金を100万円未満にし、取締役会を置かないという形であれば、この1万5千円が使えます。会社設立の費用をできるだけ抑えたい場合に効いてくる要件なので、定款を書き始める前に確認しておく価値があります。
出典このセクションの出典:日本公証人連合会|会社の定款手数料の改定(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)
04紙の定款に貼る4万円の収入印紙は、電子定款なら消える

紙に印刷した定款は印紙税法上の課税文書にあたり、4万円の収入印紙を貼る必要があります。一方、PDFなどの電子データで作成した定款は課税文書にあたらないため、印紙代がかかりません。株式会社の会社設立で、内容をまったく変えずに4万円を減らせる唯一の場所がここです。

自分で電子定款を作るには機材がいる
電子定款には電子署名が必要で、マイナンバーカードなどの電子証明書、ICカードリーダー、署名に対応したPDFソフトが要ります。これを一度きりの会社設立のために揃えると、数千円から数万円と数日の準備期間がかかります。4万円を浮かせるために3万円を使うのでは意味が薄れます。
士業事務所や会計ソフトの設立支援サービスは電子定款に対応しているため、依頼すれば機材を揃えずに印紙代を回避できます。報酬が4万円を下回るなら、頼んだほうが安くなるという判断も成り立ちます。株式会社の設立費用を比べるときは、印紙代と報酬を並べて見るのが実際的です。
出典このセクションの出典:freee|電子定款とは?作成方法や認証手続きの流れ(freee株式会社/2026年9月16日 確認)
05法定費用以外にかかるお金は、印鑑と証明書と口座まわり

法定費用の次に見積もるのが実費です。株式会社の会社設立では、次のような支出が発生します。金額そのものは大きくありませんが、取る枚数で総額が変わるため、余裕を持って見ておくと安心です。
| 項目 | 目安の金額 | いつ必要になるか |
|---|---|---|
| 会社実印(代表者印) | 3千円〜2万円程度 | 印鑑届書を出すとき。素材と彫り方で幅がある |
| 発起人・取締役の印鑑証明書 | 1通300円程度 | 定款認証と登記申請のとき。発行から3か月以内のもの |
| 登記事項証明書 | 1通数百円 | 銀行口座の開設や各種届出のとき。複数枚必要になりやすい |
| 会社の印鑑証明書 | 1通数百円 | 契約や口座開設のとき。印鑑カードの交付を受けてから |
印鑑は実印のほかに銀行印と角印を作るセットが売られていますが、登記の場面で必ず要るのは実印だけです。会社設立の時点で全部を揃える必要はありません。事業の内容が固まってから追加しても遅くはありません。
証明書の類は、登記が完了して初めて取れるものが多いという点にも注意が必要です。銀行口座の開設や年金事務所への届出で使うため、登記完了の連絡を受けたら何枚必要かを数えてからまとめて取ると、窓口に行く回数が減ります。
出典このセクションの出典:freee|会社設立に必要な印鑑届出書とはどういうもの?(freee株式会社/2026年9月16日 確認)
06資本金は費用ではない。総額の見積もりに混ぜないこと

会社設立の見積もりで最も混乱しやすいのが資本金の扱いです。資本金は発起人が会社に出資するお金で、払い込んだあとも会社の財産として残ります。手数料のように支払って消えるものではないので、設立費用の合計には入れません。
とはいえ無関係でもありません。すでに見たとおり、登録免許税は資本金の0.7%、定款認証手数料は資本金の額で段階が変わります。つまり資本金は費用の計算の入力値です。費用の合計には入れないが、費用を決める前に額を決めておく必要がある、という関係になります。

資本金を1,000万円以上にすると、設立1期目から消費税の納税義務が生じます。1,000万円未満であれば、原則として1期目と2期目は免税事業者になれます。会社設立の費用を数万円削る話と、消費税を2期分負担するかどうかの話では、後者のほうが金額の桁が大きくなることが珍しくありません。
出典このセクションの出典:辻・本郷 税理士法人|会社設立時の資本金はいくらが適切か(辻・本郷 税理士法人/2026年9月16日 確認)
07自分でやった場合と、専門家に頼んだ場合の総額を並べる

ここまでの内訳を足して、株式会社の会社設立にかかる総額を三つの型で並べます。いずれも資本金100万円未満、取締役会を置かない、発起人は本人ひとり、という前提です。実費は控えめに見積もっています。
| 進め方 | 法定費用 | 報酬 | 総額の目安 |
|---|---|---|---|
| 自分で紙の定款を作る | 21万7千円程度 | 0円 | 約22万円 |
| 自分で電子定款を作る | 16万7千円程度 | 機材代 数千円〜 | 約17万〜20万円 |
| 士業・支援サービスに頼む | 16万7千円程度 | 5万〜10万円程度 | 約22万〜27万円 |
表を見ると、自分で電子定款を用意できるかどうかが最大の分かれ目だと分かります。機材を持っている人なら自力が最も安くなります。持っていない人が一度きりのために揃えるなら、支援サービスに頼んだほうが結果的に近い金額で、時間も差し戻しのリスクも減ります。
報酬の相場には幅がある
司法書士に設立登記を依頼した場合の報酬は、おおむね6万円から10万円程度で案内されていることが多いようです。会計事務所の設立支援では、顧問契約とあわせることで設立手数料を抑える形も見られます。株式会社の会社設立を頼むときは、報酬に何が含まれるのか(定款作成のみか、登記申請まで代理するのか、設立後の届出も入るのか)を先に確認してください。
出典このセクションの出典:司法書士法人まちたま|自分でやる場合と依頼した場合の費用の比較(司法書士法人まちたま/2026年9月16日 確認)
08まとめ|株式会社の設立費用は、資本金と定款の形で決まる

株式会社の会社設立にかかるお金は、法定費用・実費・報酬の三層でできています。法定費用のうち登録免許税15万円はほとんどの場合で動かず、動くのは定款認証手数料と印紙代です。つまり総額を左右するのは資本金の額と、定款を紙にするか電子にするかという二つの選択です。
- 資本金の額を決める登録免許税と定款認証手数料の段階が決まります。消費税の扱いも同時に決まります。
- 定款を紙にするか電子にするか決める印紙代4万円の有無が決まります。自力で電子化できるかも含めて考えます。
- 取締役会を置くかどうか決める定款認証1万5千円の要件に関わります。ひとりの株式会社なら置かないのが一般的です。
- 実費を枚数で見積もる印鑑と証明書。登記完了後に必要な枚数を数えてから取ります。
- 自力か依頼かを決める報酬を足して総額を出します。時間と差し戻しのリスクも一緒に比べます。

なお、ここに書いた金額はすべて2026年9月16日時点の公開情報にもとづくものです。登録免許税も公証人手数料も改定されることがあり、実際に支払う時期によって変わる可能性があります。会社設立の直前には、法務局・公証役場・中小企業庁の公式ページで必ず確認してください。金額の判断に迷う場合は、司法書士や税理士など、その業務を扱える専門家に相談することをおすすめします。
出典このセクションの出典:弥生|会社設立費用はいくら?株式会社・合同会社の法人設立費用を比較解説(弥生株式会社/2026年9月16日 確認)
見積もりが出たら、次は資本金の額を決める番です
ここまでで、株式会社の会社設立にかかる法定費用の輪郭はつかめたはずです。電子定款を選べるかどうかで4万円、定款認証の要件を満たせるかどうかで1万5千円から3万5千円が動きます。まず決めるべきは資本金の額で、そこが決まれば登録免許税も定款認証手数料も自動的に決まります。
費用を抑えることだけを目的に資本金を小さくすると、設立後の資金繰りや取引先からの見え方で困ることがあります。会社設立の総額を出したあとは、当サイトの資本金の決め方の記事や、法務局・公証役場の窓口相談もあわせて使ってみてください。金額や制度は改定されるので、実際に払う直前にもう一度、公式ページで確認することをおすすめします。
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