本文へ移動
株式会社設立の教科書 条件・費用・資本金から機関設計まで
株式会社 株主 出資比率 持株比率

持株比率で何ができるか|過半数・3分の2・3分の1の意味を一覧で確かめる

過半数で取締役を選べ、3分の2以上で定款を変えられ、3分の1超で特別決議を止められる。比率ごとの意味を一覧にします。

公開 2026年8月23日 確認日 2026年9月16日 約10分で読めます 本文 約6,000字

この記事は、比率の数字が何を意味するのか知りたい人のためのものです

株式会社の会社設立で共同創業者と出資を分けるとき、「過半数」「3分の2」といった数字が出てきます。その比率で具体的に何ができるのかが分からないと、配分を決められません。

この記事では、持株比率ごとにできることを一覧にします。普通決議、特別決議、拒否権。それぞれどの比率で使えるのかを整理し、会社設立の時点で比率を設計する意味を確かめます。内容は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。

01持株比率と議決権比率の関係

持株比率と議決権比率の関係

持株比率は、発行済株式の総数のうち、ある株主が持つ株式の割合です。株式会社の会社設立では、出資額の比率がそのまま持株比率になります。

議決権比率は、総株主の議決権の数に対する割合です。株主総会で何票を持つかという比率になります。

通常、この二つは一致します。1株につき1個の議決権があるためです。会社設立の直後であれば、まず一致すると考えて構いません。

ずれるのは、議決権のない株式がある場合です。自己株式には議決権がなく、議決権制限株式を発行していれば、その分だけ比率が変わります。

小規模な株式会社の会社設立で、こうした種類株式を使うことはあまりありません。まずは持株比率=議決権比率と考えて設計してください。

出資比率という言葉も使われます。会社設立の時点で誰がいくら出したかの割合で、通常は持株比率と一致します。

ただし設立後に増資や株式譲渡があれば、出資比率と持株比率はずれていきます。現在の権限を見るなら持株比率を見てください。

比率は、資本金の額を各発起人の出資額で割って求めます。資本金300万円のうち200万円を出した人は約67%、100万円を出した人は約33%です。株式会社の会社設立では、この計算がそのまま議決権の配分になります。

以下では、比率ごとにできることを見ていきます。

三つの比率の言葉
株式会社の会社設立の直後であれば、三つは同じ数字になります。

出典このセクションの出典:マネーフォワード|持株比率とは?議決権比率・出資比率との違い(マネーフォワード/2026年9月16日 確認)

02過半数|普通決議を単独で可決できる

過半数|普通決議を単独で可決できる

議決権の過半数を持つと、普通決議を単独で可決できます。株式会社の会社設立で、まず目指すべき比率です。

普通決議は、議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数で成立します。定款で要件を変えることもできます。

普通決議で決められるのは、取締役の選任と解任、計算書類の承認、役員報酬の決定などです。会社の運営の中心的な事項が含まれます。

取締役を選べるということは、経営陣を決められるということです。過半数を持つ株主が、実質的に会社をコントロールします。

逆に、過半数を持たない株主は、単独では取締役を選べません。他の株主と協力する必要があります。

二人で50対50の場合、どちらも過半数を持ちません。意見が割れると取締役の選任もできず、会社の意思決定が止まります

したがって、複数人で株式会社の会社設立をするなら、誰かが過半数を持つ形にしておくのが基本です。51対49でも意思決定は止まりません。

株式会社では、資本金を多く出した人が多くの議決権を持ちます。合同会社では原則として社員一人につき1票なので、この点が大きく違います。会社形態を選ぶときの判断材料のひとつです。

なお、資本金の額と持株比率は別の話です。資本金がいくらであっても、比率の意味は変わりません。

出典このセクションの出典:ベリーベスト法律事務所|持株比率とは?注意すべき持株比率ライン(ベリーベスト法律事務所/2026年9月16日 確認)

033分の2以上|特別決議を単独で可決できる

3分の2以上|特別決議を単独で可決できる

議決権の3分の2以上を持つと、特別決議を単独で可決できます。株式会社の会社設立で、最も強い立場になる比率です。

特別決議は、議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上で成立します。

特別決議で決めるのは、定款の変更、事業の譲渡、解散、募集株式の発行(非公開会社の場合)などです。会社の根幹に関わる事項です。

定款変更ができるということは、機関設計も役員の任期も公告方法も変えられるということです。会社の形そのものを決められます。

増資も特別決議によります。非公開会社では募集事項の決定が株主総会の特別決議によるためです。新たな出資を受け入れるかを決められます

したがって、単独で会社を動かしたいなら3分の2以上を目指すことになります。過半数だけでは定款変更ができません。

たとえば、67対33であれば、67%を持つ株主が特別決議も単独で通せます。会社設立の配分としては、この程度の差をつけておくと運営が楽になります。

株式会社の資本金を増やす増資も、非公開会社では特別決議によります。3分の2以上を持っていれば、外部からの出資を受け入れるかどうかを単独で決められるということです。会社設立の配分を決めるときに意識してください。

なお、定款で特別決議の要件を加重することもできます。3分の2より厳しくすることは可能ですが、緩めることはできません。

出典このセクションの出典:ベリーベスト法律事務所|持株比率とは?注意すべき持株比率ライン(ベリーベスト法律事務所/2026年9月16日 確認)

043分の1超|特別決議を単独で阻止できる

3分の1超|特別決議を単独で阻止できる

議決権の3分の1を超えて持つと、特別決議を単独で阻止できます。株式会社の会社設立で、少数株主が持てる最も重要な権限です。

特別決議は3分の2以上の賛成が必要なので、3分の1を超える議決権があれば、賛成が3分の2に届きません。

つまり、定款変更も事業譲渡も解散も止められます。拒否権を持つということです。

増資も止められます。非公開会社では募集事項の決定が特別決議によるため、新たな出資の受け入れに反対できます。

持分が薄まることを防ぎたい少数株主にとって、この比率は重要な意味を持ちます。会社設立の配分を決めるときに意識してください。

逆に、主導する側から見れば、他の株主に3分の1超を渡すと単独では定款変更ができなくなります。

たとえば66対34であれば、34%を持つ株主が拒否権を持ちます。67対33なら拒否権はありません。1%の差で意味が変わります

拒否権を持つ株主がいると、株式会社の意思決定に時間がかかります。定款変更のたびに説明と合意が必要になるためです。会社設立の時点で誰に何%を渡すかは、将来の機動力を決める判断でもあります。

なお、資本金の額が大きくても小さくても、この比率の意味は同じです。株式会社の会社設立では、金額ではなく割合が権限を決めます。

出典このセクションの出典:ベリーベスト法律事務所|持株比率とは?注意すべき持株比率ライン(ベリーベスト法律事務所/2026年9月16日 確認)

05その他の比率でできること

その他の比率でできること

過半数や3分の2以外にも、意味を持つ比率があります。株式会社の会社設立で少数株主になる場合に関係します。

議決権の3%以上を持つと、株主総会の招集を請求できます。取締役が招集しない場合、裁判所の許可を得て自ら招集することもできます。

同じく3%以上で、会計帳簿の閲覧・謄写を請求できます。会社の内部情報を確認する権利です。

議決権の1%以上を持つと、株主総会の議題を提案する権利があります。取締役会設置会社では、6か月前からの保有が要件になることもあります。

1株でも持っていれば、株主総会に出席して議決権を行使できます。また、計算書類の閲覧を請求することもできます。

株式会社の会社設立で、少数株主に何%を渡すかを決めるときは、これらの権利も考慮してください。

たとえば3%を渡すと、帳簿を見る権利が生まれます。関係が良好なうちは問題ありませんが、対立すると使われることがあります。

こうした少数株主の権利は、会社を監督する仕組みでもあります。株式会社では所有と経営が制度として分かれているため、経営に関わらない株主が情報を得る手段が用意されています。会社設立の時点で株式を渡す相手を選ぶときは、この点も踏まえてください。

なお、定款でこれらの要件を緩和することもできます。会社設立の時点で株主の権利をどう設計するかという論点です。

出典このセクションの出典:ベリーベスト法律事務所|持株比率とは?注意すべき持株比率ライン(ベリーベスト法律事務所/2026年9月16日 確認)

06会社設立時の配分をどう決めるか

会社設立時の配分をどう決めるか

株式会社の会社設立で持株比率を配分するときの考え方を整理します。比率ごとの意味を踏まえて決めてください。

ひとりで設立するなら、すべて自分が持ちます。迷う要素はありません。

二人で設立するなら、どちらかが過半数、できれば3分の2以上を持つ形が無難です。50対50は避けてください。

たとえば67対33なら、67%を持つ人が特別決議も単独で通せ、33%の人は拒否権を持ちません。主導権が明確になります。

66対34なら、34%の人が拒否権を持ちます。重要な決定に相手の同意が必要になるということです。

どちらがよいかは、関係と事業の性質によります。対等に決めたいなら後者、速く決めたいなら前者です。

三人以上でも同じ考え方です。誰か一人が過半数を持つか、少なくとも二人の合意で過半数になる構成にしておくと、意思決定が止まりません。

出資はしないが働く人がいる場合、その人に株式を渡す必要はありません。株式会社では役員報酬という形で報いる方法があります。会社設立の時点で全員に株式を配ってしまうと、関係が変わったときに調整が効かなくなります。

なお、出資額を同じにしつつ議決権に差をつけることもできますが、種類株式の設計が必要で定款が複雑になります。会社設立の段階では出資額で差をつけるほうが単純です。

出典このセクションの出典:小谷野税理士法人|出資比率とは?(小谷野税理士法人/2026年9月16日 確認)

07設立後に比率が変わる場面

設立後に比率が変わる場面

持株比率は、株式会社の会社設立の後に変わることがあります。主な場面は二つです。

ひとつめは増資です。新株を発行して第三者が引き受けると、既存株主の持分が薄まります。これを希薄化といいます。

たとえば100株中70株を持っていた人が、新たに100株発行されて引き受けなければ、200株中70株で35%に下がります。

3分の2を持っていた人が、増資で3分の2を割ることがあります。増資の際は、比率への影響を確認してください。

既存株主に持株比率に応じて割り当てる株主割当てなら、比率は変わりません。希薄化を避けたい場合に使われる方法です。

ふたつめは株式譲渡です。株主が他の株主や第三者に株式を売れば、比率が変わります。

会社設立の時点で全株式に譲渡制限を付けていれば、譲渡には会社の承認が必要です。意図しない相手が株主になることを防げます。

なお、相続でも比率が変わることがあります。株主が亡くなると株式が相続人に承継されるためです。定款に売渡請求の定めを置く方法もあります。

出典このセクションの出典:GVA法人登記|会社設立時の資本金はいくらにするべき?(GVA TECH/2026年9月16日 確認)

08持株比率についてよく聞かれること

持株比率についてよく聞かれること
100%持っていると何ができますか?
すべての決議を単独で行えます。定款変更も解散も自由です。ひとりで株式会社の会社設立をした場合はこの状態で、株主総会は自分の意思決定そのものになります。
51%と67%では何が違いますか?
51%では普通決議を単独で通せますが、定款変更などの特別決議はできません。67%なら特別決議も単独で通せます。会社設立で共同創業する場合、この差は実務上大きな意味を持ちます。
少数株主の権利を制限できますか?
法定の権利を定款で奪うことはできません。ただし議決権制限株式を発行するなど、株式の内容で調整する方法はあります。株式会社の会社設立では定款の設計が複雑になるため、専門家への相談をおすすめします。
従業員に株式を渡すとどうなりますか?
その人が株主になり、議決権を持ちます。1%以上で議題提案権、3%以上で帳簿閲覧請求権が生まれます。会社設立の後に渡す場合は、比率と権利の関係を確認してから決めてください。

質問に共通しているのは、比率が権限に直結するという点です。株式会社の会社設立では、資本金をいくら出すかという話が、そのまま誰が決めるかという話になります。

出典このセクションの出典:マネーフォワード|持株比率とは?議決権比率・出資比率との違い(マネーフォワード/2026年9月16日 確認)

09まとめ|過半数・3分の2・3分の1超が三つの境目

まとめ|過半数・3分の2・3分の1超が三つの境目

株式会社の持株比率は、議決権の比率です。比率ごとにできることが会社法で決まっています。

持株比率でできること(2026年9月16日確認)
比率 できること
100% すべての決議を単独で行える
3分の2以上 特別決議を単独で可決(定款変更・事業譲渡・解散・増資)
過半数 普通決議を単独で可決(取締役の選任・解任、計算書類の承認)
3分の1超 特別決議を単独で阻止(拒否権)
3%以上 株主総会の招集請求、会計帳簿の閲覧請求
1%以上 株主総会の議題提案権

複数人で株式会社の会社設立をするなら、誰かが過半数、できれば3分の2以上を持つ形が無難です。50対50は意思決定が止まります。

66対34と67対33では、拒否権の有無が変わります。1%の差で意味が変わるため、配分は慎重に決めてください。

設立後も、増資や株式譲渡で比率は変わります。増資の際は希薄化の影響を確認し、譲渡制限を付けて意図しない移転を防いでください。

持株比率は、会社設立で後戻りが最も難しい部分のひとつです。関係が良好なうちに決め、定款と払込みで一致させてください。

なお、この記事の内容は2026年9月16日時点の会社法にもとづきます。条文や取扱いは改正されることがあるため、実際の設計にあたっては司法書士や弁護士など、その業務を扱える専門家にご相談ください。

出典このセクションの出典:ベリーベスト法律事務所|持株比率とは?注意すべき持株比率ライン(ベリーベスト法律事務所/2026年9月16日 確認)

比率が決まったら、定款と登記に反映させてください

持株比率は、各発起人が引き受ける設立時発行株式の数で決まります。定款に記載し、実際の払込みも一致させてください。書面と実態がずれると、後から争いになります。

比率の設計は、株式会社の会社設立で後戻りが最も難しい部分のひとつです。関係が良好なうちに決め、書面にしておいてください。判断に迷う場合は、司法書士や弁護士への相談も検討してください。

この記事は、株式会社の会社設立を決めるうえで役に立ちましたか?

押しても個人が特定される情報は送信していません。判断に迷う論点があれば、法務局・公証役場や司法書士・税理士にもあわせてご確認ください。

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

掲載順は優劣を示すものではありません。各サイトの運営者・掲載内容は当サイトとは無関係で、内容の正確性を保証するものでもありません。会社設立の手続や費用、株式会社の資本金の扱いは改定されることがあるため、実際に手を動かす前に法務局・公証役場・国税庁など所管の公式ページで最新の情報をご確認ください(当サイトのリンク確認日:2026年9月16日)。

あわせて読んでおきたい記事