株主の権利と株主総会の運営|一人株主でも必要な手続がある
株主には議決権のほか、配当を受ける権利があります。一人株主でも株主総会は存在し、議事録は残す必要があります。

この記事は、株主という立場の中身を知りたい人のためのものです
株式会社の会社設立で資本金を出すと、株主になります。では株主とは何ができる立場なのか。議決権があることは分かっても、それ以外の権利はあまり説明されません。
この記事では、株主の権利を三つに整理し、株主総会の運営についても見ていきます。一人で株式会社を運営する場合でも、株主総会という機関は存在し、議事録は必要です。内容は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。
株主が持つ三つの権利

株式会社の株主が持つ権利は、大きく三つに分かれます。議決権、剰余金の配当を受ける権利、残余財産の分配を受ける権利です。
議決権は、株主総会で会社の意思決定に関与する権利です。1株につき1個が原則で、持株数に応じて票数が決まります。
剰余金の配当を受ける権利は、会社が利益を分配するときに受け取る権利です。持株数に応じて配分されます。
残余財産の分配を受ける権利は、会社が解散して清算するときに、残った財産を受け取る権利です。債権者への支払いの後に残ったものが対象です。
これらは自益権と共益権に分けられます。配当や残余財産のように自分の利益に関わるものが自益権、議決権のように会社の運営に関わるものが共益権です。
株式会社の会社設立で資本金を出すと、これらの権利を持つ株主になります。資本金は権利と引き換えに払い込むお金だとも言えます。
このほか、会計帳簿の閲覧請求権や株主総会の招集請求権など、一定の持株比率で認められる権利もあります。
株主と取締役は別の立場です。株主は会社に出資した人、取締役は経営を任された人。株式会社の会社設立では同じ人が兼ねることが多いのですが、権利の根拠はまったく違います。議決権は株主として、業務執行は取締役として行います。
以下では、それぞれの権利と、株主総会の運営を見ていきます。

出典このセクションの出典:デイライト法律事務所|株式会社とは?メリット・デメリットと設立の手続き(デイライト法律事務所/2026年9月16日 確認)
議決権|株主総会で行使する

議決権は、株主総会で会社の意思決定に関与する権利です。株式会社の会社設立で、最も実務に影響する権利です。
原則として1株につき1個の議決権があります。100株を持っていれば100票です。持株比率がそのまま議決権比率になります。
株主総会で決めるのは、取締役の選任と解任、役員報酬の決定、計算書類の承認、定款の変更などです。
決議には普通決議と特別決議があります。普通決議は過半数、特別決議は3分の2以上の賛成が必要です。
過半数で取締役を選べ、3分の2以上で定款を変えられます。この比率の意味は、会社設立の配分を決めるときに重要になります。
議決権のない株式を発行することもできます。議決権制限株式といい、配当は受けるが経営には関与しない株主を想定した仕組みです。
ただし小規模な株式会社の会社設立で、こうした種類株式を使うことはあまりありません。定款が複雑になるためです。
議決権を行使するには、株主名簿に記載されている必要があります。株式を譲り受けても、名簿の書き換えをしなければ会社に対して株主であることを主張できません。株式会社の会社設立の後、株式が動いたら名簿を更新してください。
なお、自己株式には議決権がありません。会社が自社の株式を持っている場合、その分は議決権の総数から除かれます。
出典このセクションの出典:ベリーベスト法律事務所|持株比率とは?注意すべき持株比率ライン(ベリーベスト法律事務所/2026年9月16日 確認)
配当を受ける権利

剰余金の配当を受ける権利は、会社が利益を分配するときに受け取る権利です。株式会社の会社設立で株主になると得られます。
配当は義務ではありません。利益が出ても配当しない選択ができます。中小企業では配当を行わない例が多くあります。
理由は税負担です。配当は会社の税引後の利益から支払われ、受け取る側でも配当所得として課税されます。二重に課税される構造になります。
一方、役員報酬は会社の損金になります。同じお金を受け取るなら、配当より役員報酬のほうが有利になることが多くあります。
ただし、役員報酬は毎月同額でなければならず、期中の変更もできません。利益が大きく出た年に追加で受け取りたい場合、配当という選択肢が意味を持ちます。
配当には分配可能額という制限があります。純資産額から資本金や準備金を差し引いた範囲でしか配当できません。
配当を行うには株主総会の決議が必要です。定時株主総会で計算書類を承認するときにあわせて決議するのが一般的です。
配当を出すかどうかは、株主総会の決議で決めます。株主が自分ひとりであれば自分の判断です。資本金を出した見返りを配当で受け取るか、役員報酬で受け取るか。株式会社の会社設立の後、利益が出始めてから考える論点です。
なお、会社設立から数年は利益が出ないことも多く、配当を検討する場面自体が少ないでしょう。
出典このセクションの出典:辻・本郷 税理士法人|会社設立時の資本金はいくらが適切か(辻・本郷 税理士法人/2026年9月16日 確認)
残余財産の分配を受ける権利

残余財産の分配を受ける権利は、会社が解散して清算するときに、残った財産を受け取る権利です。
清算では、まず会社の債務を弁済します。取引先への未払金、借入金、税金など。債権者への支払いが先です。
支払った後に財産が残っていれば、株主に分配されます。持株数に応じて配分されるのが原則です。
残らなければ、株主は何も受け取れません。出資した資本金が戻ってこないということです。これが有限責任の裏返しです。
株式会社の会社設立で払い込んだ資本金は、会社が続く限り会社の財産です。株主が返還を請求することは原則としてできません。
解散するには、株主総会の特別決議が必要です。議決権の3分の2以上の賛成が要ります。
清算の手続には時間と費用がかかります。清算人の選任、債権者への公告、決算報告の承認、清算結了の登記。登記も複数回必要です。
解散するときも、資本金の額がそのまま戻ってくるわけではありません。会社の財産が減っていれば、その分だけ受け取れる額も減ります。株式会社に払い込んだ資本金は、事業に使われるお金だということです。
つまり、会社設立が簡単なぶん、たたむときには手間がかかるということです。始める前に知っておいてください。
出典このセクションの出典:デイライト法律事務所|株式会社とは?メリット・デメリットと設立の手続き(デイライト法律事務所/2026年9月16日 確認)
株主総会の運営

株主総会は、株式会社の最高の意思決定機関です。会社設立の後、定期的に開催することになります。
定時株主総会は、毎事業年度の終了後、一定の時期に開催します。計算書類の承認や、役員の選任などを行います。
臨時株主総会は、必要に応じて開催します。定款変更や増資を決めるときなど、期中に決議が必要になった場合です。
招集は、原則として取締役が行います。株主に通知を出し、日時と場所、議題を知らせます。
非公開会社では、招集通知は会日の1週間前までに出すのが原則です。定款でさらに短縮することもできます。
株主全員の同意があれば、招集の手続を省略できます。株主が自分ひとりなら、実質的に招集の手続は不要です。
決議があったら、議事録を作成します。開催の日時と場所、議事の経過、決議の結果、出席した役員の氏名などを記載します。
決議の方法も定款で調整できます。書面による決議や、株主全員が同意した場合のみなし決議という方法もあります。株式会社の会社設立で株主が少ない場合、こうした簡略化の仕組みを使うと運営が楽になります。
議事録は本店に10年間備え置きます。株式会社の会社設立から続く記録として、まとめて保管してください。
出典このセクションの出典:デイライト法律事務所|株式会社とは?メリット・デメリットと設立の手続き(デイライト法律事務所/2026年9月16日 確認)
一人株主の場合の実務

ひとりで株式会社の会社設立をした場合、株主も取締役も自分です。株主総会は実質的に自分の意思決定になります。
それでも、株主総会という機関は存在します。役員報酬の決定も、計算書類の承認も、定款の変更も、株主総会の決議事項です。
招集の手続は、株主全員の同意があれば省略できます。自分ひとりなら、自分が同意すれば足ります。
重要なのは議事録です。決議したことを書面に残すことで、後から証明できるようになります。
特に役員報酬は、会社設立から3か月以内に決める必要があります。議事録がないと、いつ決めたかを証明できません。
税務調査では、役員報酬が定期同額給与の要件を満たしているかが確認されます。議事録があれば説明が容易になります。
融資の審査でも、会社の運営が適切に行われているかを見られます。議事録の有無は、その一つの材料になります。
雛形を一度作っておけば、翌年からは日付と数字を変えるだけで済みます。定時株主総会の議事録、役員報酬の決議、計算書類の承認。株式会社の会社設立の初年度に整えておくと、その後の手間が大きく減ります。
形式的に見えても、会社設立の直後から議事録を作る習慣をつけてください。数年後に自分を助けます。
出典このセクションの出典:GVA法人登記|一人会社とは?(GVA TECH/2026年9月16日 確認)
株主名簿を作る

株式会社は、株主名簿を作成する義務があります。会社設立の後、忘れられがちな書類のひとつです。
記載するのは、株主の氏名または名称と住所、持っている株式の数、株式を取得した日などです。
株主名簿は本店に備え置きます。株主や債権者は、請求すれば閲覧できます。
ひとりで株式会社の会社設立をした場合でも、株主名簿は必要です。自分の氏名と住所、持株数を記載します。
株式を譲渡したときは、株主名簿を書き換えます。名簿に記載されないと、会社に対して株主であることを主張できません。
相続で株式が移った場合も、名簿の書き換えが必要です。相続人が株主として権利を行使するための前提になります。
株主名簿は登記事項ではありません。登記簿には株主の情報は載らないため、会社が自分で管理することになります。
株主名簿の管理を第三者に委託することもできます。株主名簿管理人といい、定款で定めて登記します。株主が多数いる会社で使われる仕組みで、株式会社の会社設立の段階で必要になることはほとんどありません。
会社設立の直後に作成し、変動があるたびに更新してください。定款や議事録とあわせて保管しておくと管理しやすくなります。
出典このセクションの出典:デイライト法律事務所|株式会社とは?メリット・デメリットと設立の手続き(デイライト法律事務所/2026年9月16日 確認)
株主の権利についてよく聞かれること

- 株主総会を開かなかったらどうなりますか?
- 定時株主総会を開催しないこと自体に直接の罰則が定められているわけではありませんが、計算書類の承認ができず、役員の任期満了時の選任もできません。株式会社の会社設立の後、最低でも年1回は開催してください。
- 議事録に押印は必要ですか?
- 法令上、出席した取締役の署名または記名押印が必要とされる場合があります。会社の実務としては、代表取締役が記名押印する形が一般的です。登記に使う議事録では、押印の要否を法務局に確認してください。
- 配当と役員報酬はどちらが有利ですか?
- 一般には役員報酬のほうが有利とされます。役員報酬は会社の損金になりますが、配当は税引後の利益から支払われるためです。ただし個別の事情で変わるため、税理士にご相談ください。
- 株主名簿を作っていない場合は?
- 早めに作成してください。株式会社の会社設立の後、株式の譲渡や相続が発生したときに、名簿がないと権利関係を証明できません。資本金の額と発行済株式数から、誰が何株を持っているかを整理して記載します。
質問に共通しているのは、形式をどこまで守るかという点です。株式会社の会社設立では、一人の会社でも法律上の機関と手続は存在します。記録を残しておくことが、後で自分を助けます。
出典このセクションの出典:デイライト法律事務所|株式会社とは?メリット・デメリットと設立の手続き(デイライト法律事務所/2026年9月16日 確認)
まとめ|議決権・配当・残余財産。記録を残す習慣を

株式会社の株主が持つ権利は、議決権、剰余金の配当を受ける権利、残余財産の分配を受ける権利の三つです。会社設立で資本金を出すと得られます。
- 議決権1株につき1個。過半数で取締役を選べ、3分の2以上で定款を変えられる。
- 配当義務ではない。中小企業では役員報酬として支払う形が多い。
- 残余財産解散・清算のとき。債権者への支払いの後に残ったものが対象。
- 株主総会一人株主でも存在する。議事録を作成し、10年間備え置く。
ひとりで株式会社の会社設立をした場合、株主も取締役も自分です。それでも株主総会という機関は存在し、議事録を残すことに実益があります。
特に役員報酬は、会社設立から3か月以内に決める必要があります。議事録がないと、いつ決めたかを証明できません。
株主名簿も作成が必要です。誰が何株を持っているかの記録で、株式の譲渡や相続のときに権利関係を示す前提になります。
会社設立の直後から、議事録と株主名簿を作る習慣をつけてください。定款とあわせて保管しておくと、数年後に自分を助けます。
なお、この記事の内容は2026年9月16日時点の会社法および国税庁の公開情報にもとづきます。条文や税制は改正されることがあるため、実際の判断にあたっては最新の情報をご確認ください。配当と役員報酬の比較は個別性が高い論点です。税理士など、その業務を扱える専門家にご相談ください。
出典このセクションの出典:デイライト法律事務所|株式会社とは?メリット・デメリットと設立の手続き(デイライト法律事務所/2026年9月16日 確認)
議事録を残す習慣を、設立直後から作ってください
一人で株式会社を運営していると、株主総会の手続は形式的に見えます。それでも議事録を残すことには実益があります。役員報酬の決定を証明でき、税務調査や融資審査の場面で自分を助けます。
会社設立の直後から習慣にしておけば、最初の決算で慌てません。年間の手続をカレンダーに入れておくと、期限の見落としも防げます。判断に迷う部分は、税理士への相談も検討してください。
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