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株式会社設立の教科書 条件・費用・資本金から機関設計まで
株式会社設立費用 自分でやる場合

株式会社設立を自分でやった場合の費用明細|16万7千円の内訳と、そこに乗る実費

自分でやれば報酬はゼロ。ただし法定費用16万7千円は変わらず、そこに印鑑と証明書の実費が乗ります。明細にすると総額が見えてきます。

公開 2026年9月13日 確認日 2026年9月16日 約10分で読めます 本文 約5,900字

この記事は、自分でやった場合の実額を知りたい人のためのものです

株式会社の会社設立を自分でやると安くなる。そう言われても、実際にいくらなのかが分からないと判断できません。専門家に頼んだ場合との差がどれくらいなのかも、明細がないと比べられません。

この記事では、自分で株式会社を作った場合の費用を1円単位の明細にします。法定費用、実費、機材費、交通費まで含めた総額を出し、依頼した場合と比べます。金額は2026年9月16日時点の一次情報と、一般的な相場にもとづきます。

費用は法定費用・実費・機材費・時間の四つ

費用は法定費用・実費・機材費・時間の四つ

株式会社の会社設立を自分でやった場合の費用は、四つに分かれます。法定費用、実費、機材費、そして自分の時間です。報酬がゼロになる代わりに、後ろ二つが乗ります。

法定費用は、登録免許税、定款認証の公証人手数料、定款の謄本手数料、収入印紙です。誰が手続をしても同じ額で、自分でやっても安くなりません。

実費は、会社実印の作成代、印鑑証明書の交付手数料、登記完了後の証明書の交付手数料です。これも依頼した場合と変わりません。

機材費は、電子定款を自分で作る場合にかかります。ICカードリーダーと署名対応のPDFソフトです。依頼すれば不要になる費用なので、自分でやる場合に特有のものです。

時間は金額には出ませんが、確実にコストです。定款の作成、公証役場とのやりとり、法務局への往復で、10時間から20時間程度を使います。

なお、この明細に資本金は含めません。資本金は会社に払い込んで会社の財産になるお金で、支払って消える費用とは性質が違うためです。株式会社の会社設立では、資本金と費用を別枠で用意する必要があります。

以下では、この四つを順に明細にしていきます。最後に依頼した場合と比べます。

自分でやる場合の費用の構成
株式会社の会社設立で自分でやると変わるのは、右の列だけです。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

法定費用の明細|16万7千円の内訳

法定費用の明細|16万7千円の内訳

株式会社の会社設立にかかる法定費用を、電子定款・資本金100万円未満・定款認証の軽減要件を満たす場合で明細にします。

法定費用の明細(電子定款・資本金100万円未満)
会社設立の法定費用は、登録免許税がほぼすべてを占めます。

登録免許税は15万円です。資本金が約2,143万円未満であれば、資本金の額にかかわらずこの額になります。株式会社の会社設立で最も大きい支出です。

定款認証の公証人手数料は、要件を満たせば1万5,000円です。満たさない場合は資本金100万円未満で3万円、100万円以上300万円未満で4万円、300万円以上で5万円になります。

定款の謄本手数料は1ページあたりの単価で計算されます。登記用と保管用の2通を受け取るのが一般的で、おおむね2,000円前後です。

資本金を100万円以上にすると、定款認証の手数料が4万円または5万円に上がります。自分で株式会社の会社設立を進める場合でも、この区分は変わりません。資本金の額は運転資金や許認可の要件で決めるものですが、手数料への影響も知っておくと見積もりが正確になります。

特定創業支援等事業の証明があれば、登録免許税が半額の7万5,000円になります。その場合、法定費用の合計は9万2,000円程度まで下がります。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|会社の定款手数料の改定(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

紙の定款にした場合の差|収入印紙4万円

紙の定款にした場合の差|収入印紙4万円

電子定款を作る機材がない場合、紙の定款で株式会社の会社設立を進めることになります。内容はまったく同じですが、収入印紙4万円が必要です。

法定費用の合計は20万7,000円程度になります。電子定款の場合との差は、ちょうど4万円です。

印紙は定款の原本に貼り、消印をします。貼り忘れたまま公証役場に持ち込むと、その場で指摘されます。過怠税の対象になることもあるため、忘れないでください。

なお、印紙税がかかるのは設立時の定款の原本だけです。会社が保管する謄本や、登記に添える謄本には貼る必要がありません。

4万円を避けるために機材を揃えるかどうかが、自分でやる場合の最初の判断になります。次のセクションで機材費を見ていきます。

印紙代は資本金の額とは無関係にかかります。資本金1円でも1,000万円でも4万円です。株式会社の会社設立で、定款の形だけで動く唯一の費用がこの印紙代になります。

もうひとつの選択肢として、定款の作成と電子定款での認証だけを行政書士や司法書士に依頼する方法があります。報酬が4万円を下回れば、紙の定款で自分でやるより安くなります。

出典このセクションの出典:freee|電子定款とは?作成方法や認証手続きの流れ(freee株式会社/2026年9月16日 確認)

電子定款の機材費|数千円から数万円

電子定款の機材費|数千円から数万円

電子定款を自分で作るには、電子証明書、ICカードリーダー、署名対応のPDFソフトの三つが必要です。株式会社の会社設立で自分でやる場合、ここが最初のハードルになります。

電子証明書は、マイナンバーカードに搭載されている署名用電子証明書が使えます。マイナンバーカードの取得は無料で、すでに持っている人も多くいます。

ICカードリーダーは、公的個人認証サービスに対応したものが必要です。2,000円から4,000円程度で購入できます。確定申告の電子申告にも使えるため、無駄にはなりません。

署名対応のPDFソフトは、無料のものから数万円のものまであります。無料のソフトでも電子署名が付けられるものがありますが、公証役場が受け付ける形式に対応しているかを確認してください。

すでにマイナンバーカードを持っているなら、数千円で揃うこともあります。持っていない場合は、カードの交付に数週間かかるため、会社設立の日程に影響します。

機材を揃えても設定に時間がかかります。署名の付け方、公証役場への送信方法など、初めてだと数時間かかることもあります。時間のコストも含めて判断してください。

出典このセクションの出典:マネーフォワード|電子定款とは?作り方・認証の流れ(マネーフォワード/2026年9月16日 確認)

実費の明細|印鑑と証明書で1万円程度

実費の明細|印鑑と証明書で1万円程度

法定費用のほかにかかる実費を明細にします。株式会社の会社設立では、印鑑と証明書が中心になります。

実費の明細(目安)
項目 金額の目安 必要な時期
会社実印(代表者印) 3,000円〜20,000円 払込証明書への押印・印鑑届書
発起人の印鑑証明書 1通300円前後 定款認証のとき
設立時取締役の印鑑証明書 1通300円前後 登記申請のとき
登記事項証明書 1通数百円 登記完了後。口座開設や届出で複数枚
会社の印鑑証明書 1通数百円 登記完了後。印鑑カードの交付を受けてから
交通費・郵送費 数百円〜数千円 公証役場・法務局・市区町村への往復

会社実印は、素材と店によって金額が大きく変わります。柘植なら3,000円程度から、チタンなら1万円以上になることもあります。登記の要件は大きさだけなので、素材で通るかどうかは変わりません。

印鑑証明書は、定款認証と登記申請の両方で必要です。ひとりで会社設立をする場合でも、それぞれ1通ずつ必要なので2通取得しておくと確実です。

登記完了後の証明書は、法人口座の開設、税務署への届出、年金事務所への届出でそれぞれ必要になります。複数枚まとめて取得すると、窓口に行く回数が減ります。

登記完了後には印鑑カードの交付申請も行います。手数料はかかりませんが、申請書の提出が必要です。カードがないと会社の印鑑証明書を取れないため、株式会社の会社設立の後、早めに手続してください。

これらを合計すると、1万円程度を見込んでおけば足ります。法定費用と合わせて約18万円が、自分でやった場合の総額になります。

出典このセクションの出典:freee|会社設立に必要な印鑑届出書とはどういうもの?(freee株式会社/2026年9月16日 確認)

時間のコストを数える

時間のコストを数える

自分で株式会社の会社設立をする場合、金額には出ませんが時間がかかります。工程ごとにどれくらいかかるかを見てみます。

定款の作成に2時間から5時間。テンプレートを自社の設計に合わせて直す作業です。事業目的の表現や機関設計を考える時間も含みます。

公証役場とのやりとりに2時間から5時間。事前確認の依頼、修正、再送信を数回繰り返します。加えて、認証当日に公証役場へ出向く時間が半日程度です。

登記書類の作成に2時間から4時間。法務局の記載例をもとに申請書と添付書類を作り、綴じて契印する作業です。

法務局への往復が半日程度。印鑑証明書の取得で市区町村へも行きます。公証役場も法務局も平日の日中のみなので、勤務先を休む必要がある人もいます。

合計すると10時間から20時間程度です。時間単価を3,000円と置けば3万円から6万円、5,000円と置けば5万円から10万円に相当します。依頼した場合の報酬と近い水準になります。

出典このセクションの出典:司法書士法人まちたま|自分でやる場合と依頼した場合の費用の比較(司法書士法人まちたま/2026年9月16日 確認)

依頼した場合と明細で比べる

依頼した場合と明細で比べる

自分でやった場合と、司法書士に依頼した場合の費用を明細で比べます。いずれも資本金100万円未満、取締役会を置かない、発起人1人という前提です。

自分でやる場合と依頼する場合の比較(2026年9月16日確認)
項目 自分(電子) 自分(紙) 依頼
登録免許税 15万円 15万円 15万円
定款認証手数料 1万5千円 1万5千円 1万5千円
謄本手数料 2千円 2千円 2千円
収入印紙 0円 4万円 0円
実費(印鑑・証明書) 1万円 1万円 1万円
機材費 2千〜数万円 0円 0円
報酬 0円 0円 6万〜10万円
総額の目安 約18万円〜 約22万円 約24万〜28万円

電子定款で自分でやった場合が最も安く、約18万円です。依頼した場合との差は6万円から10万円になります。

紙の定款で自分でやった場合は約22万円で、依頼した場合との差は2万円から6万円に縮まります。機材がない人にとっては、差はそれほど大きくないということです。

ここに自分の時間10時間から20時間が乗ります。時間単価によっては、依頼したほうが合理的になることもあります。

依頼する場合でも、資本金の払込みは自分で行います。発起人個人の口座に入金し、通帳をコピーする作業は代行できません。株式会社の会社設立を全部任せたつもりでも、この工程だけは自分の手が必要です。

一方で、自分でやると株式会社の会社設立の手続が分かります。設立後も役員の重任登記や本店移転の登記が発生するため、一度経験しておくとその後が楽になります。

出典このセクションの出典:ベンチャーサポート|司法書士に依頼すべき人・自分で進めてよい人(ベンチャーサポート/2026年9月16日 確認)

自分でやる場合の費用でよく聞かれること

自分でやる場合の費用でよく聞かれること
設立費用は会社の経費にできますか?
株式会社の会社設立のために支出した費用のうち一定のものは、創立費・開業費として会社の費用に計上できます。ただし領収書の要件があるため、準備段階から保管しておいてください。詳しくは税理士にご確認ください。
ICカードリーダーは何を買えばよいですか?
公的個人認証サービスに対応した製品を選んでください。対応機種は公的個人認証サービスのポータルサイトで確認できます。確定申告の電子申告にも使えるため、会社設立の後も活用できます。
印鑑は安いもので大丈夫ですか?
登記の要件は大きさだけで、素材の指定はありません。辺の長さが1センチメートルの正方形に収まるものや、3センチメートルの正方形に収まらないものは登録できません。安いものでも要件を満たせば登記は通ります。
交通費はどれくらい見ておけばよいですか?
公証役場へ1往復、法務局へ1〜2往復、市区町村へ1往復が最低限です。オンライン申請や郵送を使えば減らせます。株式会社の会社設立では、平日の日中に動く必要がある点も含めて計画してください。

質問に共通しているのは、細かい支出をどこまで見込むかという点です。株式会社の会社設立では、法定費用以外は一つひとつが小さいため、見落としがちです。明細にしておくと、当日に慌てずに済みます。

出典このセクションの出典:弥生|会社設立費用はいくら?株式会社・合同会社の法人設立費用を比較解説(弥生株式会社/2026年9月16日 確認)

まとめ|自分でやると約18万円。差は報酬分

まとめ|自分でやると約18万円。差は報酬分

株式会社の会社設立を自分で進めた場合、電子定款を使い、資本金100万円未満で定款認証の軽減要件を満たすなら、法定費用16万7,000円に実費1万円程度を加えて約18万円です。

紙の定款にすると収入印紙4万円が加わり、約22万円になります。この4万円を避けるために機材を揃えるなら、数千円から数万円の機材費と設定の時間がかかります。

法定費用

16万7千円。登録免許税15万円が大半。創業支援の証明があれば9万2千円に。

実費

1万円程度。会社実印、印鑑証明書、登記完了後の証明書。

機材費

数千円〜。電子定款を自分で作る場合のみ。

時間

10〜20時間。平日の日中に動ける必要がある。

司法書士に依頼した場合との差は、報酬分の6万円から10万円程度です。紙の定款で自分でやるなら差は2万円から6万円に縮まるため、機材がない人は依頼も十分に合理的な選択になります。

自分でやると手続の中身が分かるという利点もあります。会社設立の後も登記は発生するため、一度経験しておく価値はあります。

なお、この記事の金額は2026年9月16日時点の公開情報と一般的な相場にもとづきます。登録免許税も公証人手数料も改定されることがあり、報酬の相場も事務所によって幅があります。実際に支払う前に、法務局・日本公証人連合会の公式ページと、依頼先の見積もりをご確認ください。

出典このセクションの出典:freee|会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の維持費(freee株式会社/2026年9月16日 確認)

明細が出たら、自分の時間の価値と合わせて判断してください

自分で株式会社の会社設立をした場合の費用は、明細にすると約18万円から22万円です。専門家に依頼した場合との差は、報酬分の6万円から10万円程度になります。

ここに乗らないのが自分の時間です。10時間から20時間程度を使うことになるため、その時間を本業に充てたときの価値と比べる視点も必要です。金額は改定されるため、実際に支払う前には法務局・日本公証人連合会の公式ページでご確認ください。

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