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発起設立の流れを書類ベースで追う|誰がいつ何を作るのか

発起設立は、書類を順番に作っていく作業です。誰がどの立場で何を作るのかが分かると、日付の前後関係も自然に整理できます。

公開 2026年9月9日 確認日 2026年9月16日 約10分で読めます 本文 約6,000字

この記事は、書類の関係が整理できない人のためのものです

発起設立の書類は、それぞれ独立しているようで、実は順番と立場でつながっています。誰がどの立場で何を作るのかが見えると、日付の前後関係も自然に整理できます。

この記事では、株式会社の会社設立の書類を、作る順番と作る人の立場で追いかけます。ひとりで設立する場合でも、書面上は立場を分けて作ることになります。内容は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。

書類は三つの立場で作られる

書類は三つの立場で作られる

株式会社の発起設立で作る書類は、三つの立場に分かれます。発起人、設立時取締役、設立時代表取締役です。

発起人が作るのは、定款と、設立時取締役の選任を証する書面です。会社ができる前の段階で、会社の骨格を決める立場です。

設立時取締役が作るのは、就任承諾書と、出資の履行などの調査報告書です。選ばれた側として意思を示し、確認する立場です。

設立時代表取締役が作るのは、払込みを証する書面と、登記申請書、印鑑届書です。会社の代表者として対外的な手続を行う立場です。

ひとりで会社設立をする場合、この三つをすべて自分が兼ねます。それでも書面上は立場を分けて作ることになります。

立場が分かれている理由は、それぞれ異なる意思表示や確認をしているためです。定款への署名は発起人の意思、就任承諾は取締役の意思です。

押す印鑑も立場によって変わります。発起人と設立時取締役は個人の実印、代表取締役は会社実印です。

立場が分かれていることは、責任の所在が分かれていることでもあります。定款の内容に問題があれば発起人の責任、出資の履行の調査を怠れば設立時取締役の責任。株式会社の会社設立では、書面ごとに誰が責任を負うのかも決まっています。

以下では、書類を作る順番に沿って、誰がどの立場で何を作るのかを追いかけます。

立場と作る書類
株式会社の会社設立では、同じ人でも立場ごとに書面を作ります。

出典このセクションの出典:法務局|株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない会社の発起設立)(法務局/2026年9月16日 確認)

順番1|定款を作る(発起人)

順番1|定款を作る(発起人)

最初に作るのが定款です。株式会社の会社設立で、すべての書類の基準になる文書です。

作るのは発起人です。絶対的記載事項として、目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名と住所を書きます。

あわせて、発行可能株式総数を定めます。株式の譲渡制限、役員の任期、公告方法、事業年度も、この段階で決めて書き込みます。

発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨も記載します。これにより発起設立であることが明確になり、定款認証の軽減要件のひとつも満たせます。

各発起人が引き受ける株式の数と払込金額も、定款に記載するのが一般的です。資本金の額と一致していることを確認してください。

設立時取締役を定款で直接定めておけば、後で選任を証する書面を作る必要がなくなります。会社設立の書類を一枚減らせます。

定款には発起人が署名または記名押印します。紙の定款なら個人の実印、電子定款なら電子署名です。

定款は3通作るのが一般的です。公証役場に保存される原本、会社が保管する謄本、登記申請に添える謄本。電子定款であれば電子データと書面の謄本という形になります。株式会社の会社設立では、認証の申込みのときに必要な通数を伝えます。

作成日は、認証日より前の日付にします。この日が、株式会社の会社設立の書類の日付の起点になります。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|Q2. 株式会社の定款の記載事項(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

順番2|定款の認証を受ける

順番2|定款の認証を受ける

作った定款は、公証役場で認証を受けます。株式会社の会社設立で、外部機関が関わる最初の場面です。

事前確認で内容を固めてから、認証の日を予約します。当日は発起人全員が出向くのが原則で、委任状があれば代理人でも可能です。

持ち物は、定款、発起人全員の印鑑証明書(発行から3か月以内)、実印、手数料、実質的支配者となるべき者の申告書です。

認証を受けると、定款が効力を持ちます。この認証日が、以後の日付の基準になります。

設立時取締役の選任も、就任承諾も、資本金の払込みも、すべてこの日以降の日付でなければなりません。

認証後に定款の内容を変えるには、再度の認証が必要になります。会社設立では、認証が後戻りのコストが上がる区切りです。

謄本を受け取ります。登記用と保管用の2通が基本です。金融機関に提出する予定があれば、もう1通あると便利です。

認証の際には、資本金の額についても確認されることがあります。定款に具体的な額を書いているか、最低額の書き方になっていないか。株式会社の会社設立では、この書き方ひとつで公証人手数料が変わるため、公証役場も確認する項目です。

なお、電子定款であっても認証は必要です。電子化で省けるのは収入印紙4万円だけで、認証の工程はなくなりません。

出典このセクションの出典:丸の内公証役場|定款認証/必要書類(丸の内公証役場/2026年9月16日 確認)

順番3|設立時取締役を選び、就任を承諾する

順番3|設立時取締役を選び、就任を承諾する

定款の認証が済んだら、設立時取締役を選任します。株式会社の会社設立で、会社を動かす人を決める場面です。

選ぶのは発起人です。複数いる場合は、議決権の過半数で決めます。議決権は引き受けた株式の数によります。

選任したことを証する書面を作り、発起人が個人の実印を押します。本店所在場所を決めた旨を同じ書面にまとめることもあります。

定款で設立時取締役を直接定めている場合、この書面は不要です。定款に書き込むほど添付書類が減るという関係です。

選ばれた人は、就任承諾書を作ります。就任を承諾する旨、日付、住所、氏名を書き、個人の実印を押します。

住所は印鑑証明書の記載と一致させてください。マンション名や部屋番号まで、省略せずに書きます。

日付は、選任された日以降にします。選任される前に承諾することはできません。同じ日でも構いません。

監査役を置く場合は、設立時監査役の選任と就任承諾書も必要になります。監査役については印鑑証明書ではなく、住民票の写しなどの本人確認証明書を添えるのが通常です。株式会社の会社設立では、機関設計によって書類の数が変わります。

ひとりで会社設立をする場合、自分で自分を選任し、自分で承諾することになります。書面としては作成します。

出典このセクションの出典:法務局|株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない会社の発起設立)(法務局/2026年9月16日 確認)

順番4|資本金を払い込む(発起人)

順番4|資本金を払い込む(発起人)

次に、発起人が資本金を払い込みます。株式会社の会社設立で、会社の財産を作る場面です。

払込先は発起人個人の口座です。会社はまだ存在しないため、会社名義の口座は作れません。

払込日は定款の認証日より後でなければなりません。認証より前に入金してしまうと、払込みとして認められない可能性があります。

すでに残高がある場合も、入金または振込の記録が必要です。残高があるだけでは払込みの証明になりません。

金額は、定款に記載した設立に際して出資される財産の価額と一致させます。1円でも違うと差し戻されます。

発起人が複数いる場合は、それぞれが自分の名義で払い込みます。誰がいくら入れたかが通帳で分かる形にしてください。

払込みが済んだら、通帳の表紙、表紙の裏、入金が記帳されたページをコピーします。ネット銀行なら画面を印刷します。

払込みの記録は、日付と金額と名義が読み取れる形で残します。ATMの明細だけでは口座名義人が分からないため、通帳やインターネットバンキングの画面を使ってください。株式会社の会社設立で、資本金が確かに払い込まれたことを示す唯一の証拠になります。

この時点では、まだ払込証明書は作りません。次の順番で、代表取締役として作成することになります。

出典このセクションの出典:freee|払込証明書は会社設立登記の申請に必要(freee株式会社/2026年9月16日 確認)

順番5|払込証明書を作る(代表取締役)

順番5|払込証明書を作る(代表取締役)

払込みが済んだら、払込みを証する書面を作ります。株式会社の会社設立で、立場が発起人から代表取締役に変わる場面です。

作成するのは設立時代表取締役です。取締役が1名なら、その人が当然に代表取締役になります。

記載するのは、払込みがあった金額の総額、払い込まれた設立時発行株式の数、1株あたりの払込金額、作成日、商号、代表取締役の氏名です。

押すのは会社実印です。個人の実印ではありません。この書面から、会社の代表者として作る書類になります。

日付は、払込みがあった日以降にします。複数回に分けて払い込んだ場合は、最終の払込日以降です。

作成したら、通帳のコピーと綴じます。左端をホチキスで留め、各ページのつなぎ目に会社実印で契印します。

綴じ方の不備で差し戻されることが多いため、法務局の記載例の見本を見ながら作業してください。

1株あたりの払込金額は、資本金の総額を設立時発行株式の数で割った額です。定款に1株の金額を定めていれば、それと一致します。株式会社の会社設立では、この数字も書面に出てくるため、計算が合っているかを確認してください。

なお、設立時取締役による調査報告書が必要になる場合もあります。現物出資がある場合などです。会社設立の内容に応じて確認してください。

出典このセクションの出典:freee|払込証明書は会社設立登記の申請に必要(freee株式会社/2026年9月16日 確認)

順番6|登記を申請する(代表取締役)

順番6|登記を申請する(代表取締役)

最後に、登記申請書と印鑑届書を作り、書類一式を法務局に提出します。株式会社の会社設立の最終工程です。

登記申請書には、商号、本店、登記の事由、登記すべき事項、課税標準金額、登録免許税、添付書類、申請年月日、申請人を書きます。

押すのは会社実印です。複数ページになる場合は、つなぎ目にも会社実印で契印します。

印鑑届書には、会社実印と代表取締役個人の実印の両方を押します。会社実印を登録するための書類です。

登録免許税は、収入印紙を台紙に貼って納付します。消印はしません。法務局側で処理するためです。

申請年月日は、法務局に提出する日です。この日が会社の成立日になります。設立日を指定したい場合は、その日に提出します。

添付書類を順に綴じます。申請書、収入印紙の台紙、登記すべき事項、定款、選任を証する書面、就任承諾書、印鑑証明書、払込証明書という順が一般的です。

申請書には連絡先の電話番号も書きます。補正が必要になったときに法務局から連絡が来るためです。株式会社の会社設立では、この番号がないと補正できずに却下される可能性があります。日中つながる番号にしてください。

提出前に、日付の前後関係と資本金の額をまとめて確認してください。会社設立で差し戻される主な原因です。

出典このセクションの出典:法務局|株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない会社の発起設立)(法務局/2026年9月16日 確認)

発起設立の流れでよく聞かれること

発起設立の流れでよく聞かれること
同じ日付で作ってもよい書類はありますか?
選任を証する書面と就任承諾書は同じ日付でも構いません。選任と承諾が同じ日に行われたという扱いです。株式会社の会社設立では、認証日以降であれば問題ありません。
調査報告書はいつも必要ですか?
現物出資がある場合や、一定の要件に当たる場合に必要です。金銭のみの出資であれば不要とされることが多くあります。法務局の記載例で、自分の場合に必要かを確認してください。
会社実印はいつまでに用意しますか?
払込証明書への押印で必要になるため、払込みの後、登記申請までに用意します。商号が決まったら発注できるので、定款を作っている間に手配しておくと工程が止まりません。
書類を作り直したくなったら?
認証前の定款であれば自由に直せます。認証後は再認証が必要になることがあります。その他の書類は、登記申請前であれば作り直せます。株式会社の会社設立では、定款の認証が区切りになります。

質問に共通しているのは、どの書類がどの段階に属するかという点です。株式会社の会社設立では、定款の認証を境に、後戻りのコストが変わります。認証前に内容を固めてください。

出典このセクションの出典:契約ウォッチ|株式会社の設立とは?発起人・資本金や手続きの流れ(契約ウォッチ/2026年9月16日 確認)

まとめ|立場と順番が分かれば、日付も整う

まとめ|立場と順番が分かれば、日付も整う

株式会社の発起設立は、書類を順番に作っていく作業です。発起人、設立時取締役、設立時代表取締役という三つの立場で、それぞれ書類を作ります。

  1. 定款を作る(発起人)絶対的記載事項と、発行可能株式総数など。個人の実印を押す。
  2. 認証を受ける公証役場へ。この日が以後の日付の基準になる。
  3. 選任と就任承諾(発起人・設立時取締役)認証日以降の日付で。個人の実印を押す。
  4. 資本金を払い込む(発起人)認証日より後。発起人個人の口座へ。
  5. 払込証明書を作る(代表取締役)会社実印を押す。通帳コピーと綴じて契印。
  6. 登記を申請する(代表取締役)申請日が会社の成立日になる。

日付は、定款の作成日 → 認証日 → 選任日 → 就任承諾の日 → 払込日 → 払込証明書の作成日 → 申請日の順になります。この順が崩れると差し戻されます

押す印鑑も立場によって変わります。発起人と設立時取締役は個人の実印、代表取締役は会社実印です。印鑑届書だけは両方を押します。

ひとりで会社設立をする場合、三つの立場をすべて自分が兼ねます。書面上は奇妙に感じますが、それぞれの立場で意思表示をしているという建て付けです。

資本金の額は、定款・払込証明書・登記申請書・登記すべき事項の四箇所に出てきます。提出前にまとめて突き合わせてください。

なお、この記事の様式と取扱いは2026年9月16日時点の公開情報にもとづきます。様式は改定されることがあるため、実際の手続の前に法務局の記載例で最新のものをご確認ください。

出典このセクションの出典:法務局|株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない会社の発起設立)(法務局/2026年9月16日 確認)

順番が分かれば、日付の整合も自然に取れます

書類を作る順番が理解できれば、日付の前後関係も迷いません。定款の認証 → 選任 → 就任承諾 → 払込み → 払込証明書 → 登記申請。この順で日付を並べれば整合します。

ひとりで株式会社の会社設立をする場合、すべての立場を自分が兼ねます。書面上は奇妙に感じますが、それぞれの立場で意思表示をしているという建て付けです。様式は改定されることがあるため、実際の手続の前に法務局の記載例でご確認ください。

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