株式会社設立を自分でやるか頼むか|工程を5つに割って、部分的に任せる考え方
自分でやるか頼むかは、全か無かの選択ではありません。工程を5つに割れば、自分でやる部分と任せる部分を組み合わせられます。

この記事は、どこまで自分でやるかを決めかねている人のためのものです
株式会社の会社設立を調べていると、「自分でやれば安い」「専門家に頼めば確実」という二つの主張に挟まれます。どちらも正しいのですが、全部を自分でやるか全部を任せるかの二択として語られるために、決めきれなくなります。
実際には、会社設立の工程は五つに分かれていて、それぞれ独立して判断できます。定款作成だけを頼む、登記申請だけを頼む、設立後の届出だけを頼む。この記事では、工程ごとの選択肢と費用を並べて、自分に合う組み合わせを見つけられるようにします。金額は2026年9月16日時点の目安です。
SECTION 01会社設立の工程は五つ。それぞれ独立して判断できる

株式会社の会社設立を「自分でやるか頼むか」で考えると決められません。工程を分けて、それぞれについて自分でやるかを判断すると答えが出ます。
株式会社の会社設立の工程は五つです。決めごとの整理、定款の作成と認証、資本金の払込み、登記申請、設立後の届出。このうち払込みは必ず自分で行います。他人の口座に払い込むことはできないためです。
決めごとの整理も、基本的には自分で行います。商号や事業目的、資本金の額は事業の中身に関わるので、他人が決められるものではありません。ただし、判断材料の提供として相談に乗ってもらうことはできます。
残る三つ、定款の作成と認証、登記申請、設立後の届出は、依頼できる工程です。それぞれ担当する資格者が違い、費用も違います。
定款の作成は行政書士または司法書士、登記申請の代理は司法書士、税務の届出は税理士、社会保険の届出は社会保険労務士の業務です。誰に何を頼めるかが資格で決まっている点は押さえておいてください。

出典このセクションの出典:ベンチャーサポート|司法書士に依頼すべき人・自分で進めてよい人(ベンチャーサポート/2026年9月16日 確認)
SECTION 02組み合わせ1|全部自分でやる

株式会社の設立で、すべての工程を自分で行う方法です。株式会社の会社設立にかかるのは法定費用と実費だけで、専門家への報酬はかかりません。
電子定款を自分で作れる場合、株式会社の法定費用の下限は16万7千円程度です。マイナンバーカードなどの電子証明書、ICカードリーダー、署名対応のPDFソフトが必要で、揃えると数千円から数万円かかります。
機材がなく紙の定款にすると、収入印紙4万円が加わって約20万7千円になります。この場合、司法書士に頼んだ場合との差は報酬分だけになり、思ったほど安くならないことがあります。
時間のコストもあります。定款の作成、公証役場とのやりとり、法務局への往復で、10時間から20時間程度は見ておく必要があります。平日の日中に動ける人でないと日程が伸びます。
一方で、手続の中身が分かるという利点があります。設立後も役員の重任登記や本店移転の登記が発生するので、一度経験しておくとその後が楽になります。
向いているのは、時間に余裕があり、電子定款の機材を持っているか調達できる人、そして資本金や事業目的の判断に迷いがない人です。
出典このセクションの出典:法務局|商業・法人登記の手続案内(法務局/2026年9月16日 確認)
SECTION 03組み合わせ2|定款だけ頼んで、登記は自分でやる

定款の作成と電子定款での認証だけを行政書士や司法書士に依頼し、資本金の払込みと登記申請は自分で行う方法です。株式会社の会社設立でよく選ばれる折衷案です。
利点は、株式会社の電子定款により収入印紙4万円がかからないことです。機材を自分で揃える必要もありません。報酬が4万円を下回れば、紙の定款を自分で作るより安くなります。
定款の内容についても専門家が確認するため、事業目的の表現や機関設計の整合性で公証役場とやりとりする手間が減ります。自分でやる場合に最も時間を読みにくい工程を外注できる形です。
登記申請は自分で行います。法務局が様式と記載例を公開しているため、定款が固まっていれば書き写す作業に近くなります。差し戻されやすいのは日付と綴じ方なので、そこだけ念入りに確認します。
依頼する際は、定款の作成だけなのか、公証役場での認証手続の代理まで含むのかを確認してください。認証の代理まで含めば、公証役場に出向く必要がなくなります。
注意点として、定款作成を依頼しても、資本金の額や事業目的を決めるのは自分です。許認可の要件確認も自分で行う前提であることが多いので、範囲を確認しておいてください。
出典このセクションの出典:司法書士法人まちたま|自分でやる場合と依頼した場合の費用の比較(司法書士法人まちたま/2026年9月16日 確認)
SECTION 04組み合わせ3|登記まで全部頼む

株式会社の定款作成から登記申請まで、司法書士に一括で依頼する方法です。株式会社の会社設立で自分がやるのは、決めごとと資本金の払込みだけになります。
株式会社の設立を依頼した場合の報酬の目安は6万円から10万円程度とされることが多いようです。事務所によって幅があり、定款作成のみか登記申請の代理まで含むか、設立後の届出の案内があるかで変わります。
電子定款を使うため収入印紙4万円はかかりません。法定費用16万7千円に報酬を足して、総額はおよそ22万円から27万円が目安になります。
利点は確実さと速さです。書類の不備で差し戻される心配がほぼなく、公証役場や法務局とのやりとりも任せられます。本業に時間を使いたい人にとっては合理的な選択です。
もうひとつの利点は、設立後を見据えた設計の相談ができることです。役員の任期をどうするか、譲渡制限を付けるか、公告方法を何にするか。後の手間に効いてくる項目を、経験にもとづいて提案してもらえます。
依頼する場合は、複数の事務所から見積もりを取り、含まれる範囲を確認してください。登記完了後の登記事項証明書の取得や、印鑑カードの交付申請が含まれるかどうかも事務所によって異なります。
出典このセクションの出典:ベンチャーサポート|司法書士に依頼すべき人・自分で進めてよい人(ベンチャーサポート/2026年9月16日 確認)
SECTION 05組み合わせ4|会計事務所の設立支援を使う

会計事務所や税理士法人が提供する株式会社の設立支援を使う方法です。顧問契約を前提に、株式会社の会社設立のサポートを低額または無料で行う形が多く見られます。
利点は、設立後の税務まで一貫して見てもらえることです。役員報酬の設定、青色申告の承認申請、消費税の判定といった論点を、期限前に指摘してもらえます。会社設立の直後は期限のある手続が集中するため、この価値は小さくありません。
資本金の額についても、消費税や法人住民税の均等割を踏まえた助言を受けられます。自分で決めると見落としやすい部分なので、設立前に相談できるのは利点です。
注意点は、登記申請の代理は司法書士の業務であることです。会計事務所が設立支援と称していても、登記そのものは提携する司法書士が行うか、自分で申請する形になります。誰が何をするのかを確認してください。
もうひとつの注意点は、顧問料という継続的な費用が発生することです。設立時の費用が抑えられても、毎年の顧問料が積み上がります。依頼範囲と月額を確認し、自分の事業規模に合っているかを判断してください。
会計ソフト事業者が提供する設立支援サービスもあります。画面の案内に沿って情報を入力すると書類が作成され、電子定款にも対応しているものがあります。費用を抑えつつ書類作成の負担を減らしたい場合の選択肢です。
出典このセクションの出典:明治通り税理士法人|会社設立に税理士は必要?顧問料の相場(明治通り税理士法人/2026年9月16日 確認)
SECTION 06費用と時間で四つの組み合わせを比べる

株式会社を作る四つの組み合わせを、総額と自分が使う時間で比べます。いずれも資本金100万円未満、取締役会を置かない、発起人1人という前提です。
| 組み合わせ | 法定費用 | 報酬 | 自分の時間 |
|---|---|---|---|
| 全部自分(電子定款) | 16万7千円 | 0円(機材代は別) | 10〜20時間 |
| 全部自分(紙の定款) | 20万7千円 | 0円 | 10〜20時間 |
| 定款だけ依頼 | 16万7千円 | 3万〜5万円程度 | 5〜10時間 |
| 登記まで依頼 | 16万7千円 | 6万〜10万円程度 | 2〜5時間 |
| 会計事務所の設立支援 | 16万7千円 | 低額〜0円(顧問料は別) | 2〜5時間 |
表を見ると、紙の定款で全部自分でやるのが最も割に合わない選択だと分かります。印紙代4万円を払ったうえに自分の時間も使うためです。電子定款にできないなら、定款だけでも依頼したほうが合理的です。
報酬の額は事務所によって幅があります。安いところを選ぶだけでなく、含まれる範囲を確認してください。設立後の届出の案内が含まれるか、登記事項証明書の取得まで行うかで実質的な価値が変わります。
時間の価値も人によって違います。本業の時間単価が高い人ほど、依頼したほうが合理的になります。逆に、時間に余裕があり手続を理解したい人は、自分でやる価値があります。
会社設立の後も、役員の重任登記や本店移転の登記が発生します。一度自分で経験しておくと、その後の手続を自分で処理できるようになる、という長期的な視点もあります。
出典このセクションの出典:弥生|会社設立費用はいくら?株式会社・合同会社の法人設立費用を比較解説(弥生株式会社/2026年9月16日 確認)
SECTION 07依頼するときに確認しておくこと

部分的に依頼する場合、範囲が曖昧だと後から追加費用が発生します。株式会社の設立は一度きりの手続なので、最初の確認が効きます。株式会社の会社設立を依頼するときは、次の点を最初に確認してください。
- 定款の作成だけか、公証役場での認証代理まで含むか
- 登記申請の代理を含むか、書類のチェックだけか
- 資本金の額や事業目的の相談に乗ってもらえるか
- 許認可の要件確認は誰が行うか
- 登記完了後の登記事項証明書の取得・印鑑カードの交付申請が含まれるか
- 設立後の税務・社会保険の届出は含まれるか
特に確認したいのが、誰が何をするのかです。登記申請の代理は司法書士、税務の相談は税理士、社会保険の手続は社会保険労務士の業務です。設立支援を名乗るサービスでも、業務範囲は資格で決まっています。
見積もりは複数から取ることをおすすめします。報酬の額だけでなく、含まれる範囲と、連絡の取りやすさも比べてください。会社設立は短期間に集中してやりとりが発生するため、レスポンスの速さは実務上重要です。
顧問契約とセットで設立費用が安くなる形の場合、顧問料の月額と最低契約期間を確認してください。設立時に安く見えても、継続的な費用を含めると総額が変わります。
なお、当サイトは特定の依頼先を推奨するものではありません。資本金の額や事業の内容によって適した依頼先は変わります。複数の選択肢を比べたうえでご判断ください。
出典このセクションの出典:日本司法書士会連合会(日本司法書士会連合会/2026年9月16日 確認)
SECTION 08自分でやるか頼むかでよく聞かれること

- 初めてでも自分で登記できますか?
- できます。法務局が様式と記載例を公開しており、窓口相談も受け付けています。株式会社の会社設立で差し戻される理由は、日付の前後関係や綴じ方といった事務的なものがほとんどです。記載例を確認しながら進めれば通ります。
- 途中まで自分でやって、行き詰まったら頼めますか?
- 頼めます。定款まで作ったが認証で止まっている、登記申請書が書けないといった段階からの依頼も受けてもらえます。ただし作った書類を作り直すことになると、費用が変わる場合があります。
- 報酬の相場はどれくらいですか?
- 司法書士に登記まで依頼した場合で6万〜10万円程度とされることが多いようです。定款作成のみなら3万〜5万円程度が目安です。事務所や地域によって幅があるため、複数から見積もりを取ってください。
- 資本金の額も相談できますか?
- 税理士であれば、消費税や法人住民税の均等割を踏まえた助言を受けられます。司法書士は登記の観点から、登録免許税や定款認証手数料への影響を説明できます。会社設立の前に相談しておくと、後からの増資を避けられます。
質問に共通しているのは、途中で方針を変えられるかという点です。答えは「変えられる」です。工程が分かれている以上、途中から依頼することも、逆に途中から自分でやることもできます。最初にすべてを決める必要はありません。
出典このセクションの出典:司法書士法人まちたま|自分でやる場合と依頼した場合の費用の比較(司法書士法人まちたま/2026年9月16日 確認)
SECTION 09まとめ|五つの工程を、自分で持つか任せるかで組み合わせる

株式会社の会社設立は、決めごと・定款・払込み・登記・設立後の届出という五つの工程に分かれます。このうち必ず自分でやるのは決めごとと払込みだけで、残りは依頼できます。
- 全部自分でやる報酬0円。電子定款の機材があれば最も安い。時間は10〜20時間。
- 定款だけ依頼印紙代4万円を回避。報酬3万〜5万円程度。折衷案として合理的。
- 登記まで依頼報酬6万〜10万円程度。確実さと速さを買う。
- 会計事務所の設立支援顧問契約とセット。設立後の税務まで一貫して見てもらえる。
株式会社の設立で最も割に合わないのは、紙の定款で全部自分でやる形です。印紙代4万円を払ったうえに自分の時間も使います。電子定款にできないなら、定款だけでも依頼したほうが合理的です。
依頼する場合は、範囲を最初にはっきりさせてください。登記申請の代理は司法書士、税務は税理士というように、業務範囲は資格で決まっています。誰が何をするのかを見積もりの段階で確認してください。
資本金の額や事業目的は、誰に頼んでも自分で決める部分です。判断材料が足りないと感じたら、当サイトの個別記事や、税理士・司法書士への相談も使ってみてください。
なお、この記事の金額は2026年9月16日時点の目安です。報酬の相場は事務所や地域によって幅があり、法定費用も改定されることがあります。実際に依頼する前に、見積もりと法務局・日本公証人連合会の公式情報をご確認ください。
出典このセクションの出典:ベンチャーサポート|司法書士に依頼すべき人・自分で進めてよい人(ベンチャーサポート/2026年9月16日 確認)
組み合わせが決まったら、依頼する範囲を明確に伝えてください
部分的に依頼する場合、どこからどこまでを任せるのかを最初にはっきりさせることが大切です。定款の作成だけなのか、認証の代理まで含むのか。登記申請の代理なのか、書類のチェックだけなのか。範囲が曖昧だと、後から追加の費用が発生します。
見積もりを取るときは、含まれるものと含まれないものを一覧で示してもらってください。資本金の額や事業目的の決定は自分で行う前提なのか、相談に乗ってもらえるのかも確認しておくとよいでしょう。株式会社の会社設立は一度きりの手続なので、遠慮せず確認することをおすすめします。
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