発起人が複数いる場合の決め方|出資額・持株比率・役割分担をどう設計するか
二人で半分ずつ出すと、意見が割れたときに何も決められなくなります。複数人で始めるときの設計を、比率の意味から考えます。

この記事は、共同創業者と会社を作ろうとしている人のためのものです
仲間と一緒に株式会社を作る。資本金は折半でいいだろう。持株比率も半分ずつ。それが公平だと思えるうちは、まだ問題が見えていません。
出資額の比率は、そのまま議決権の比率になります。つまり、会社の意思決定を誰が握るかを決めます。この記事では、複数人で会社設立をする場合の設計を、四つの観点から整理します。後から変えるのが難しい部分なので、先に考えておく価値があります。内容は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。
出資額の比率が、そのまま議決権の比率になる

複数人で株式会社の会社設立をする場合、最も重要な決定は出資額の配分です。この比率が、そのまま持株比率になり、議決権の比率になります。
発起設立では、発起人が設立時発行株式の全部を引き受けます。引き受けた株式の数に応じて払い込み、会社が成立すればその株式の株主になります。
株主総会の議決権は、持株数に応じて配分されます。50万円出した人と100万円出した人では、後者が2倍の議決権を持ちます。
つまり、資本金をいくら負担するかという話が、会社の意思決定を誰が握るかという話に直結します。お金の話ではなく、権限の話です。
この点を理解せずに「公平に半分ずつ」と決めてしまうと、後から動けなくなることがあります。
後から比率を変えるには、株式の譲渡か新株の発行が必要です。どちらも当事者の合意が要り、税務上の評価の問題もつきまといます。
会社設立の時点で、誰が主導権を持つのかを決めておいてください。曖昧なまま始めると、意見が割れたときに解決できません。
以下では、比率が持つ意味と、設計の考え方を整理します。

出典このセクションの出典:ベリーベスト法律事務所|持株比率とは?注意すべき持株比率ライン(ベリーベスト法律事務所/2026年9月16日 確認)
50対50を避けるべき理由

二人で株式会社の会社設立をするとき、最もよく選ばれる配分が50対50です。公平に見えるためです。しかし実務では最も避けるべき配分とされます。
持株比率が50対50だと、どちらも過半数を持ちません。意見が一致している間は問題ありませんが、割れた瞬間に何も決められなくなります。
取締役の選任も解任もできません。計算書類の承認もできません。定款変更もできません。会社の意思決定が完全に止まります。
この状態を解消するには、どちらかが株式を譲るしかありません。しかし対立している当事者間で譲渡の合意ができるとは限りません。
裁判所に解散を請求するという手段もありますが、事業は止まり、時間も費用もかかります。
したがって、どちらかが過半数を持つ形にしておくのが基本です。51対49でも、意思決定は止まりません。
できれば3分の2以上を持つ形が望ましくなります。定款変更などの特別決議も単独で通せるためです。会社設立の後の機動力が変わります。
三人以上で株式会社を作る場合も考え方は同じです。誰か一人が過半数を持つか、少なくとも二人の合意で過半数になる構成にしておくと、意思決定が止まりません。全員が均等だと、全員の合意がなければ何も決められない会社になります。
公平さを重視するなら、出資額を同じにしつつ議決権を調整する方法もありますが、種類株式の設計が必要で定款が複雑になります。
出典このセクションの出典:ベリーベスト法律事務所|持株比率とは?注意すべき持株比率ライン(ベリーベスト法律事務所/2026年9月16日 確認)
出資と経営を分けて設計する

株式会社という形では、出資する人と経営する人が制度として分かれています。この性質を使えば、複数人で会社設立をする場合の設計の幅が広がります。
出資はするが経営には関わらない人は、株主にはなりますが取締役にはなりません。議決権は持ちますが、日常の業務執行には関与しません。
逆に、出資はしないが経営を担う人は、取締役になりますが株主にはなりません。役員報酬を受け取りますが、議決権は持ちません。
つまり、貢献の形に応じて立場を分けられるということです。資金を出す人、労力を出す人、それぞれに合った立場があります。
よくあるのが、一人が資本金の大部分を出し、もう一人が実務を担うという形です。この場合、出資者が過半数の株式を持ち、実務担当者は取締役として役員報酬を受け取ります。
ただし、実務担当者に何も持たせないと、長期的な動機づけが弱くなります。少数でも株式を渡す、あるいは将来の譲渡を約束するといった設計もあります。
株式は渡すと本人の同意なしには取り戻せません。渡す前に、関係が変わった場合の扱いを決めておくべきです。
株式会社では、こうした設計の自由度が高いことが特徴です。合同会社では出資と経営が一体になっているため、同じような分け方はしにくくなります。共同創業を前提にするなら、この点も会社形態を選ぶ材料になります。
会社設立の時点では株式を渡さず、一定期間の貢献を見てから渡すという段階的な設計も考えられます。
出典このセクションの出典:小谷野税理士法人|出資比率とは?(小谷野税理士法人/2026年9月16日 確認)
役割分担を決める

株式会社の出資の配分と並行して、役割分担も決めます。株式会社の会社設立で、誰が何を担うのかを明確にする作業です。
まず、代表取締役を誰にするかです。取締役が1名なら自動的に代表取締役になりますが、複数いる場合は選定が必要です。
代表取締役は、会社を代表して契約を結ぶ権限を持ちます。登記簿に住所と氏名が載り、対外的な顔になります。
代表取締役を複数置くこともできます。ただし、どちらも単独で会社を代表できるため、意思疎通ができていないとトラブルの元になります。
業務の分担も決めておきます。営業は誰が、開発は誰が、経理は誰が。法律上の定めではありませんが、実務では重要です。
取締役会を置くかどうかも検討します。ただし取締役3名以上と監査役が必要になり、手続も重くなります。会社設立の時点では置かない選択が一般的です。
報酬の配分も決めてください。役員報酬は株主総会で決議しますが、複数の取締役がいる場合は総額を決めて配分する形が取られることもあります。
業務の分担を決めたら、対外的な肩書も整理しておくと混乱がありません。登記されるのは取締役と代表取締役という会社法上の地位だけで、部長やCTOといった呼称は自由に付けられます。株式会社の会社設立では、この二つを分けて考えてください。
なお、役員報酬は会社設立から3か月以内に決める必要があります。以後は毎月同額を支払うことになるため、事業の見通しを踏まえて決めてください。
出典このセクションの出典:行政書士かんべ法務事務所|株式会社の機関設計とルール(かんべ法務事務所/2026年9月16日 確認)
関係が変わったときに備える

株式会社を共同で創業する場合、関係が変わることを前提に設計しておくと、いざというときに困りません。株式会社の会社設立で、先に考えておく価値がある論点です。
まず、全株式に譲渡制限を付けてください。定款に定めれば、株主が第三者に株式を売ろうとしても会社の承認が必要になります。
これにより、意図しない相手が株主になることを防げます。共同創業者が抜けるときに、知らない人に株式が渡るという事態を避けられます。
次に、株主間の取り決めを検討します。定款とは別に、株主同士で契約を結ぶ方法です。誰かが退任した場合の株式の扱いなどを定めます。
たとえば、取締役を退任したら株式を会社または他の株主に譲渡する、といった取り決めです。価格の決め方も定めておくと、後から揉めにくくなります。
こうした契約は法的な検討が必要です。会社設立の段階で弁護士に相談する価値があります。
また、相続の備えも必要です。株主が亡くなると、株式は相続人に承継されます。事業に関わらない相続人が株主になると、意思決定が難しくなることがあります。
定款に相続人等に対する売渡請求の定めを置くという方法もあります。会社設立の時点で検討しておくと、後から定款変更をする手間が省けます。
出典このセクションの出典:GVA法人登記|株式譲渡制限会社とは?(GVA TECH/2026年9月16日 確認)
資本金の総額と配分を決める

出資額の配分を決めるには、まず株式会社の資本金の総額を決めます。株式会社の会社設立では、運転資金・許認可の要件・税の扱いの三つで決めます。
総額が決まったら、誰がいくら出すかを配分します。この比率が持株比率になるため、議決権の設計と同時に考えることになります。
たとえば資本金300万円で、主導する人が200万円、もう一人が100万円出すとします。持株比率は約67対33で、主導する人が3分の2を持ちます。
この配分なら、主導する人が特別決議も単独で通せます。もう一人は3分の1を持つため、拒否権はありませんが、一定の発言力は保てます。
逆に、資金を出せる人と主導したい人が違う場合は、設計が難しくなります。出資額を抑えて議決権を確保するには、種類株式などの工夫が必要です。
1株の金額も決めます。資本金300万円で1株1万円なら300株、1株1,000円なら3,000株です。配分しやすい株数になるよう設計してください。
なお、資本金1,000万円未満にすれば、設立2期は原則として消費税の免税事業者になれます。会社設立の総額を決めるときに意識してください。
端数が出ないように設計するのも実務上のコツです。株式会社の資本金を300万円、1株1万円として300株にすれば、2対1の配分は200株と100株できれいに割り切れます。配分しにくい株数にすると、後の譲渡でも扱いにくくなります。
各発起人が引き受ける株式の数と払込金額は、定款に記載するのが一般的です。払込みも各自の名義で行い、通帳で分かる形にします。
出典このセクションの出典:辻・本郷 税理士法人|会社設立の資本金の決め方とは?(辻・本郷 税理士法人/2026年9月16日 確認)
決めたことを書面にする

決めたことは書面にして残してください。株式会社では記録が根拠になります。株式会社の会社設立では、口頭の合意は後から確認できません。
定款に書くのは、発起人の氏名と住所、各発起人が引き受ける設立時発行株式の数と払込金額、株式の譲渡制限、役員の任期などです。
定款は公証役場で認証を受け、会社と公証役場の両方に保存されます。公的な記録として残るため、後から内容を確認できます。
定款に書けない取り決めは、株主間契約として別に定めます。退任時の株式の扱い、価格の決め方、競業避止など。
株主間契約は当事者間の契約なので、公証役場に出す必要はありません。ただし内容が法的に有効かどうかは確認が必要です。
役割分担や報酬の配分も、書面にしておくと後で揉めにくくなります。会社設立の後、株主総会議事録や取締役の決定書として残す形になります。
関係が良好なうちに決めるのが鉄則です。問題が起きてから決めようとしても、合意できません。
なお、こうした設計は事業の内容と当事者の関係によって最適解が変わります。会社設立の前に、司法書士や弁護士に相談する価値があります。
出典このセクションの出典:契約ウォッチ|株式会社の設立とは?発起人・資本金や手続きの流れ(契約ウォッチ/2026年9月16日 確認)
複数人での設立でよく聞かれること

- あとから持株比率を変えられますか?
- 株式の譲渡か新株の発行で変えられます。ただし当事者の合意が必要で、税務上の評価の問題も生じます。株式会社の会社設立の時点で決めておくほうが、はるかに簡単です。
- 出資額を同じにして議決権だけ差をつけられますか?
- 議決権制限株式などの種類株式を使えば可能です。ただし定款の設計が複雑になり、登記事項も増えます。小規模な会社設立では、出資額で差をつけるほうが単純です。
- 共同創業者が抜けたらどうなりますか?
- 株式はその人が持ったままです。譲渡制限を付けていれば第三者への譲渡は防げますが、株主であり続けることは止められません。株主間契約で退任時の扱いを決めておくのが備えになります。
- 資本金を出さずに発起人になれますか?
- なれません。発起人は設立時発行株式を引き受けて出資する立場です。出資せずに経営だけ担うなら、発起人ではなく設立時取締役になる形です。株式会社の会社設立では、この二つの立場を分けて考えてください。
質問に共通しているのは、後から変えられるかという点です。株式会社の会社設立で決めた持株比率は、後から変えるのが最も難しい項目のひとつです。だからこそ、最初に時間をかける価値があります。
出典このセクションの出典:小谷野税理士法人|出資比率とは?(小谷野税理士法人/2026年9月16日 確認)
まとめ|比率を先に決め、備えを定款と契約に書く

複数人で株式会社の会社設立をする場合、出資額の配分が最も重要な決定です。この比率がそのまま持株比率になり、議決権の比率になります。
- 50対50を避ける意見が割れたときに何も決められなくなる。どちらかが過半数を。
- できれば3分の2以上特別決議も単独で通せる。会社設立後の機動力が変わる。
- 出資と経営を分けるお金を出す人と会社を動かす人は別に決められる。
- 備えを書面にする譲渡制限を定款に。退任時の扱いは株主間契約で。
資本金の総額を先に決め、それから配分します。総額は運転資金・許認可の要件・税の扱いで決め、1,000万円未満に収めるのが一般的です。
全株式に譲渡制限を付けてください。意図しない相手が株主になることを防げます。役員の任期を伸ばすためにも必要な定めです。
関係が変わったときの備えも、関係が良好なうちに決めてください。問題が起きてから決めようとしても合意できません。
なお、この記事の内容は2026年9月16日時点の会社法にもとづきます。持株比率の設計や株主間契約は、事業の内容と当事者の関係によって最適解が変わります。会社設立の前に、司法書士や弁護士など、その業務を扱える専門家にご相談ください。
出典このセクションの出典:ベリーベスト法律事務所|持株比率とは?注意すべき持株比率ライン(ベリーベスト法律事務所/2026年9月16日 確認)
決めたことは、書面にして残してください
持株比率と役割分担が決まったら、書面にして残すことをおすすめします。定款に書く部分と、株主間の取り決めとして別に定める部分があります。
共同創業では、関係が変わることを前提に設計しておくと、いざというときに困りません。株式の買い取りや、役員の退任の扱いをあらかじめ決めておく方法もあります。株式会社の会社設立の前に、司法書士や弁護士に相談する価値がある論点です。
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