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株式会社の定款認証の手数料|1万5千円になる三つの要件と、5万円になる書き方

定款認証の手数料は資本金の額で3万円から5万円。ただし三つの要件を満たすと1万5千円になります。一方、書き方ひとつで5万円に跳ね上がることもあります。

公開 2026年9月10日 確認日 2026年9月16日 約11分で読めます 本文 約6,200字

この記事は、定款認証にいくらかかるかを正確に知りたい人のためのものです

株式会社の会社設立で、合同会社にはない工程が定款認証です。公証役場で公証人の認証を受けなければ、定款は効力を持ちません。この手数料が、記事によって「3万円」「5万円」「1万5千円」と違う数字で書かれています。

違うのは前提です。資本金の額と、発起人の構成と、機関設計で区分が変わります。この記事では、自分の条件でいくらになるのかが分かるように整理しました。あわせて、書き方ひとつで5万円に跳ね上がる落とし穴も書いています。金額は2026年9月16日時点の日本公証人連合会の公表内容にもとづきます。

SECTION 01定款認証は株式会社だけに課された工程

定款認証は株式会社だけに課された工程

株式会社の定款は、公証役場で公証人の認証を受けなければ効力を持ちません。認証を受けていない定款では登記が通りません。合同会社にはこの工程がなく、株式会社の会社設立に費用と日数が余分にかかる理由のひとつになっています。

認証の目的は、定款の内容が法令に適合していることと、成立の真正を公証人が確認することです。第三者が内容を確認する仕組みがあることで、後の紛争を防ぐという考え方です。

認証を受ける公証役場は、本店所在地と同じ都道府県内であれば、どこでも構いません。近い役場を選べばよく、管轄の法務局のように厳密に決まっているわけではありません。

手数料は日本公証人連合会が公表しています。資本金の額で三段階に分かれており、さらに2024年12月1日からは一定の要件を満たす場合の区分が加わりました。

このほか、定款の謄本手数料がかかります。認証を受けた定款の写しを受け取るための費用で、1ページあたりの単価で計算されます。

認証を受けた定款は、公証役場に原本が保存されます。会社が定款を紛失しても、原本は残っているので謄本を請求できます。株式会社の会社設立では定款を10年単位で保管することになるため、この仕組みは後々役に立ちます。

会社設立の費用のうち、登録免許税の次に大きいのがこの定款認証の手数料です。資本金の額と定款の書き方で最大3万5,000円の差が出るため、確認する価値があります。

株式会社と合同会社の定款の扱い
会社設立の費用と日数の差は、この一行目から生まれています。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

SECTION 02資本金の額による三つの区分

資本金の額による三つの区分

定款認証の公証人手数料は、2022年1月1日から資本金の額等に応じて三段階になっています。株式会社の会社設立では、この区分がそのまま費用に反映されます。

資本金の額等による公証人手数料(2026年9月16日確認)
資本金の額等 手数料
100万円未満 3万円
100万円以上300万円未満 4万円
300万円以上 5万円

ここでいう「資本金の額等」は、定款に記載した設立に際して出資される財産の価額を指します。実際に払い込まれた額と一致させるのが通常です。

資本金を100万円にするか99万円にするかで、手数料が1万円変わります。わずかな差で区分が変わるため、100万円ちょうどを予定している場合は意識しておく価値があります。

ただし、資本金の額は運転資金や許認可の要件で決めるものです。1万円の差で必要な運転資金を削るのは合理的ではありません。区分を知ったうえで、事業の必要額を優先してください。

区分の判定に使われるのは定款に書いた価額です。実際に払い込む額と定款の記載が食い違うと、認証や登記の段階で指摘されます。株式会社の会社設立では、定款・払込証明書・登記申請書の三箇所に同じ資本金の額が出てくるので、必ず一致させてください。

なお、登録免許税は資本金が約2,143万円未満なら一律15万円です。資本金を増やしても登録免許税は変わりませんが、定款認証の手数料は上がります。株式会社の会社設立では、この違いを押さえておいてください。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|会社の定款手数料の改定(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

SECTION 031万5千円になる三つの要件

1万5千円になる三つの要件

2024年12月1日から、定款認証の公証人手数料に1万5,000円という区分が加わりました。資本金の額等が100万円未満であることに加えて、次の三つをすべて満たす場合に適用されます。

  1. 発起人の全員が自然人であり、かつ、その数が3人以下であること
  2. 定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載または記録があること
  3. 定款に取締役会を置く旨の記載または記録がないこと

ひとりで株式会社の会社設立をする場合、この三つは自然と満たせます。発起人は自分ひとり、設立時発行株式は全部自分が引き受け、取締役会は置かない。よくある設計がそのまま要件に当てはまります。

逆に、発起人に法人が入っている場合、発起人が4人以上いる場合、取締役会を置く場合は、この区分を使えません。資本金100万円未満でも3万円になります。

削減額は1万5,000円です。登録免許税の半額(7万5,000円)や電子定款(4万円)ほど大きくはありませんが、追加の手間なしで得られるという点で価値があります。

この要件は、小規模な株式会社の会社設立を後押しする趣旨で設けられたものです。発起人が3人以下という条件からも、家族や少人数で始める会社が想定されていることが読み取れます。資本金を大きくする予定がないなら、まずこの区分に当てはまるかを確認してください。

なお、2024年11月30日以前に嘱託された案件には改正前の料金が適用されます。認証日が12月1日以降でも、嘱託が11月30日以前であれば従前の額になるという経過措置です。現在はこの経過措置は問題になりません。

出典このセクションの出典:RSM汐留パートナーズ|株式会社の定款認証に係る公証人手数料の一部改定(RSM汐留パートナーズ司法書士法人/2026年9月16日 確認)

SECTION 04書き方ひとつで5万円になる落とし穴

書き方ひとつで5万円になる落とし穴

定款認証の手数料で最も注意すべきなのが、資本金欄の書き方です。定款に具体的な額ではなく最低額を書くと、手数料は一律5万円になります。

会社法は、定款の絶対的記載事項として「設立に際して出資される財産の価額またはその最低額」を挙げています。つまり「金100万円」と書くこともできますし、「金100万円以上」と書くこともできます。

最低額で書くと、実際の資本金がいくらになるかが定款の時点では確定しません。そのため手数料の区分が判定できず、最も高い5万円が適用されるという扱いです。

株式会社の会社設立で定款のひな形をそのまま使うと、この最低額の書き方になっていることがあります。借り物の文言で済ませると、ここで数万円の差がつきます

実務では、資本金の額を確定させて具体的な額を書くのが一般的です。発起人が複数いて出資額の調整が残っている場合を除き、最低額で書く必要はありません。

公証役場の事前確認の段階で指摘されることもありますが、指摘されないまま認証されると5万円を支払うことになります。定款を作る段階で、資本金欄の書き方を確認してください。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|会社の定款手数料の改定(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

SECTION 05謄本手数料とその他の費用

謄本手数料とその他の費用

定款認証の際には、公証人手数料のほかに定款の謄本手数料がかかります。認証を受けた定款の写しを受け取るための費用です。

謄本手数料は1ページあたりの単価で計算されます。定款の枚数によって変わりますが、おおむね2,000円前後を見込んでおけば足ります。

謄本は通常、2通受け取ります。1通は登記申請に添付し、もう1通は会社で保管します。株式会社の会社設立では、この2通が必要になります。

電子定款の場合も謄本手数料はかかります。電子データで認証を受けた後、書面の謄本を交付してもらう形になります。登記申請に電子定款のデータを使う場合の扱いは、法務局と公証役場に確認してください。

このほか、実質的支配者となるべき者の申告が必要です。誰が会社を実質的に支配するのかを申告する書面で、公証役場が様式を用意しています。手数料はかかりません。

謄本を何通受け取るかは、認証の申込みのときに伝えます。後から追加で請求することもできますが、そのつど手数料がかかります。株式会社の会社設立では登記用と保管用の2通が基本で、金融機関に提出する予定があるならもう1通を検討してください。

持ち物としては、定款、発起人全員の印鑑証明書(発行から3か月以内)、実印、手数料、本人確認書類が必要です。代理人が行く場合は委任状も要ります。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

SECTION 06事前確認のやりとりと、当日の流れ

事前確認のやりとりと、当日の流れ

定款ができたら、いきなり公証役場に持ち込むのではなく、事前に内容を確認してもらうのが通例です。メールやFAXで案を送り、修正のやりとりをします。

指摘されるのは、事業目的の表現、条文の抜け、機関設計の整合性、資本金欄の書き方などです。株式会社の会社設立で定款の不備を早く見つけられる機会でもあります。

やりとりには数日かかることがあります。一度で通ることのほうが少なく、二往復三往復することも珍しくありません。会社設立の日程はここに余裕を持たせてください。

内容が固まったら、認証の日を予約します。公証役場は平日の日中のみの対応が基本なので、勤務先を休む必要がある場合は日程の調整が要ります。

当日は、発起人全員が出向くのが原則です。委任状があれば代理人でも可能で、士業事務所に依頼した場合は代理で行ってもらえます。

近年はオンラインでの定款認証にも対応しています。テレビ電話を使った認証で、公証役場に出向かずに手続ができます。電子定款とあわせて使えば、株式会社の会社設立をより早く進められます。

出典このセクションの出典:丸の内公証役場|会社・法人等の定款認証(丸の内公証役場/2026年9月16日 確認)

SECTION 07自分の条件で手数料を計算する

自分の条件で手数料を計算する

ここまでの内容をもとに、自分の場合の定款認証の手数料を出してみます。株式会社の会社設立で確認すべきは三つです。

  • 資本金の額を定款に具体的な数字で書いているか(最低額なら5万円)
  • 資本金の額等が100万円未満か、300万円未満か、それ以上か
  • 発起人は全員自然人で3人以下か
  • 定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨を書いたか
  • 定款に取締役会を置く旨の記載がないか
条件別の公証人手数料(2026年9月16日確認)
条件 手数料
資本金100万円未満+三要件をすべて満たす 1万5千円
資本金100万円未満(三要件のいずれかを欠く) 3万円
資本金100万円以上300万円未満 4万円
資本金300万円以上 5万円
定款に最低額を記載 5万円

ひとりで株式会社を作り、資本金を100万円未満にし、取締役会を置かない設計であれば1万5,000円です。会社設立でよく選ばれる形が、そのまま最も安い区分になります。

共同創業者がいて発起人が4人になる場合や、取締役会を置く場合は3万円です。1万5,000円の差で体制を変えるべきではありませんが、知っておくと見積もりが正確になります。

資本金を300万円にする場合は5万円です。100万円未満との差は3万5,000円になります。運転資金として300万円が必要なら、この差は受け入れるべきコストです。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|Q7. 認証の手数料(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

SECTION 08定款認証の手数料についてよく聞かれること

定款認証の手数料についてよく聞かれること
手数料はいつ支払いますか?
認証を受ける当日に、公証役場で支払います。現金のほかクレジットカードに対応している役場もありますが、対応状況は役場によって異なります。株式会社の会社設立で公証役場に行く際は、現金を用意しておくと確実です。
電子定款でも手数料は同じですか?
公証人手数料は同じです。電子定款で変わるのは収入印紙4万円の有無だけで、認証手数料の区分は資本金の額と定款の記載で決まります。
定款を修正したら手数料は増えますか?
認証前の事前確認での修正であれば、手数料は変わりません。認証を受けた後に内容を変える場合は、定款変更の手続が必要になり、設立前であれば再度の認証が必要になることもあります。
公証役場はどこを選べばよいですか?
本店所在地と同じ都道府県内であれば、どの公証役場でも構いません。通いやすさや、オンライン認証への対応状況で選んでください。株式会社の会社設立では、事前確認のやりとりがしやすい役場を選ぶと進めやすくなります。

質問に共通しているのは、いつ・いくら・どこでという実務的な点です。定款認証は株式会社の会社設立で唯一、公証役場という外部機関に出向く工程です。事前に持ち物と支払い方法を確認しておくと、当日つまずきません。

出典このセクションの出典:弥生|定款認証とは?費用や手数料、公証役場に提出する必要書類(弥生株式会社/2026年9月16日 確認)

SECTION 09まとめ|1万5千円から5万円。書き方でも変わる

まとめ|1万5千円から5万円。書き方でも変わる

株式会社の定款認証の公証人手数料は、資本金の額等で三段階に分かれます。100万円未満で3万円、100万円以上300万円未満で4万円、300万円以上で5万円です。

2024年12月1日からは、資本金100万円未満に加えて、発起人が全員自然人で3人以下、設立時発行株式の全部を発起人が引き受ける旨の記載があり、取締役会を置く旨の記載がない場合に1万5,000円になります。

一方で、定款の資本金欄に具体的な額ではなく「◯◯万円以上」という最低額を書くと、一律5万円になります。借り物のひな形をそのまま使うと、ここで数万円の差がつきます

ひとりで株式会社の会社設立をする場合、資本金を100万円未満にして取締役会を置かない設計であれば、自然と1万5,000円の区分に当てはまります。追加の手間なく得られる軽減です。

このほか、定款の謄本手数料が2,000円前後かかります。認証の当日は、定款、発起人全員の印鑑証明書、実印、手数料、本人確認書類を持参してください。

なお、この記事の金額は2026年9月16日時点の日本公証人連合会の公表内容にもとづきます。手数料は改定されることがあるため、実際に支払う前に公証役場の公表内容をご確認ください。定款の内容については、認証を受ける予定の公証役場に事前確認を依頼するのが確実です。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|会社の定款手数料の改定(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

手数料が分かったら、事前確認の日程を組んでください

定款認証の手数料は、資本金の額と定款の書き方でほぼ決まります。金額が分かったら、次は公証役場に事前確認を依頼する段階です。いきなり持ち込むより、案を送って修正のやりとりをするほうが確実です。

やりとりには数日かかることがあります。株式会社の会社設立の日程を組むときは、ここに余裕を持たせてください。手数料は改定されることがあるため、実際に支払う前には日本公証人連合会と管轄の公証役場の公表内容をご確認ください。

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