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株式会社設立の教科書 条件・費用・資本金から機関設計まで
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株式会社の取締役は何人必要か|取締役会を置くと3人以上になる仕組み

取締役は1人でよい。ただし取締役会を置くと3人以上になり、監査役も必要になります。人数は機関設計から決まります。

公開 2026年9月11日 確認日 2026年9月16日 約10分で読めます 本文 約5,900字

この記事は、役員を何人立てるか迷っている人のためのものです

株式会社の会社設立で、取締役を何人にするか。ひとりで足りるのか、複数いたほうがよいのか。人数の条件がどこから来るのかが分からないと決められません。

答えは機関設計にあります。会社法は取締役の人数を直接定めているのではなく、どの機関を置くとどんな人員が必要になるかを定めています。この記事では、その仕組みを整理します。内容は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。

01人数は機関設計から決まる

人数は機関設計から決まる

株式会社の会社設立で必要な取締役の人数は、どの機関を置くかで決まります。会社法が人数を直接定めているわけではありません。

株式会社が必ず置かなければならないのは、株主総会と取締役だけです。取締役は1人以上いれば足ります。

取締役会、監査役、会計参与、会計監査人などは、定款で定めたときに置かれる任意の機関です。置けば、それぞれ要件が加わります。

取締役会を置くと、取締役は3人以上必要になります。取締役会という合議体を成立させるための要件です。

さらに、取締役会設置会社は原則として監査役を置かなければなりません。結果として、役員が4人以上必要になります。

逆に、取締役会を置かずに監査役だけを置くこともできます。この場合は取締役1名と監査役1名で2人です。

つまり、人数の選択肢は実質的に1人・2人・4人の三つになります。株式会社の会社設立では、このどれを選ぶかという話です。

なお、資本金の額によって必要な役員の人数が変わることはありません。資本金5億円以上または負債総額200億円以上の大会社では会計監査人が必要になりますが、株式会社の会社設立でこの規模になることはまずありません。資本金と人数は切り離して考えてください。

以下では、それぞれの構成で何が変わるのかを見ていきます。

機関設計と必要人数
株式会社の会社設立では、この三つから選ぶことになります。

出典このセクションの出典:日本監査役協会|機関設計の図解(日本監査役協会/2026年9月16日 確認)

02取締役1名|最小構成

取締役1名|最小構成

取締役1名・監査役なしが、株式会社の会社設立で最もよく選ばれる構成です。手続も費用も最小になります。

この場合、その取締役が当然に代表取締役になります。代表取締役を選定する手続も書面も不要です。

添付書類も最小です。就任承諾書も印鑑証明書も1通ずつで足ります。登記申請書の役員欄も1名分だけです。

定款認証の手数料でも有利になります。取締役会を置かないことが、1万5,000円の軽減区分の要件のひとつです。

設立後の負担も軽くなります。役員が1名なら、任期満了ごとの重任登記も1名分で済みます。

業務執行は取締役が単独で行います。重要な財産の処分や多額の借財も、取締役会がなければ取締役が決定します。

欠点は、代わりがいないことです。代表取締役が動けなくなると、会社の意思決定が止まります。会社設立の時点では受け入れざるを得ない構造的なリスクです。

登記簿には、取締役の氏名と代表取締役の住所・氏名が載ります。取締役1名の株式会社では、同じ人の名前が両方に出てくる形です。資本金の額と並んで、取引先が確認する情報になります。

なお、資本金の額と取締役の人数は独立した判断です。資本金が多くても取締役1名で構いませんし、少なくても複数置けます。

出典このセクションの出典:マネーフォワード|株式会社設立に必要な人数や、1人社長のメリット・デメリット(マネーフォワード/2026年9月16日 確認)

03取締役が複数いる場合

取締役が複数いる場合

取締役会を置かずに、取締役を複数置くこともできます。株式会社の会社設立で、共同創業の場合に選ばれる形です。

この場合、各取締役が業務を執行します。会社の業務の決定は、取締役の過半数で行うのが原則です。

代表取締役は、定款で定めるか、定款の定めにもとづく取締役の互選か、株主総会の決議で選定します。選定しなければ各取締役が代表権を持ちます。

代表取締役を複数置くこともできます。ただし、どちらも単独で会社を代表できるため、意思疎通ができていないとトラブルの元になります。

添付書類は人数分必要です。就任承諾書も印鑑証明書も全員分そろえます。会社設立の準備の手間が増えます。

代表取締役を選定する場合は、選定を証する書面も必要になります。定款で直接定めておけば省略できます。

設立後は、役員の人数分だけ重任登記の手続が発生します。任期満了のたびに全員分の手続をすることになります。

取締役が複数いる場合、会社設立の定款で代表取締役を直接定めておく方法もあります。そうすれば選定を証する書面が不要になり、添付書類が一枚減ります。株式会社の会社設立では、定款に書き込むほど手続が軽くなる関係があります。

なお、取締役が3人以上になっても、定款で定めなければ取締役会設置会社にはなりません。人数と機関は別の話です。

出典このセクションの出典:行政書士かんべ法務事務所|株式会社の機関設計とルール(かんべ法務事務所/2026年9月16日 確認)

04取締役会を置く場合

取締役会を置く場合

取締役会を置くと、取締役は3人以上必要になります。株式会社の会社設立で、人数の条件が生まれる唯一の場面です。

さらに、取締役会設置会社は原則として監査役を置かなければなりません。結果として役員が4人以上必要になります。

取締役会を置くと、一定の業務執行の決定を取締役会の決議で行えるようになります。株主総会の権限は法定事項と定款に定めた事項に限られます。

株主が多数いる会社では、これが意味を持ちます。日常の意思決定を取締役会に委ねられるためです。

一方、株主が自分ひとりの会社では、株主総会は自分の意思決定そのものです。簡略化する価値がありません。

取締役会は原則として3か月に1回以上開催し、議事録を作ります。設立後の運営の手間が増えます。

また、定款に取締役会を置く旨の記載があると、定款認証の1万5,000円の軽減区分から外れます。会社設立の費用にも影響します。

取締役会を置くと、監査役の任期も管理することになります。監査役の任期は原則4年で、非公開会社なら定款で最長10年まで伸ばせます。株式会社の会社設立で役員を増やすほど、任期の管理も複雑になります。

したがって、小規模な株式会社の会社設立で取締役会を置く実益はほとんどありません。必要になったら定款変更で置けます。

出典このセクションの出典:日本監査役協会|機関設計の図解(日本監査役協会/2026年9月16日 確認)

05取締役になれない人

取締役になれない人

取締役には資格の制限があります。株式会社の会社設立で、誰を取締役にするかを決めるときに確認してください。

会社法は取締役の欠格事由を定めています。法人は取締役になれません。会社法や商法などの特定の罪で刑に処せられ、その執行を終えてから2年を経過しない人も該当します。

それ以外の罪で禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終えていない人も欠格事由に当たります。

年齢に法律上の下限はありません。ただし未成年者の場合、印鑑証明書を用意できるか、法定代理人の同意をどう証明するかという実務上の問題が出ます。

成年年齢が18歳に引き下げられたため、18歳以上であれば単独で手続を進められます

国籍の制限もありません。外国籍の人が取締役になることも、代表取締役が国内に住所を持たないことも、登記上の障害にはなりません。

ただし印鑑証明書に代えて署名証明書が必要になるなど、添付書類の準備は変わります。会社設立の日程に余裕を見てください。

欠格事由に当たる人を取締役として登記してしまうと、後から問題になります。株式会社の会社設立で共同創業者や家族を役員にする場合は、本人に確認しておいてください。就任承諾書に署名する時点で、本人の意思と資格の両方が前提になります。

なお、破産手続開始の決定を受けたことは、現在では欠格事由ではありません。ただし取締役との委任契約は終了するため、改めて選任する必要があります。

出典このセクションの出典:e-Gov法令検索|会社法(デジタル庁/2026年9月16日 確認)

06人数が増えると何が増えるか

人数が増えると何が増えるか

役員の人数が増えると、株式会社の会社設立の手続も設立後の運営も重くなります。増えるものを整理します。

まず添付書類です。就任承諾書、印鑑証明書は全員分必要になります。遠方にいる人がいれば、集めるのに時間がかかります。

次に登記事項です。取締役の氏名は全員分が登記されます。代表取締役については住所も登記されます。

設立後は、任期満了ごとに重任登記が必要です。人数が多いほど手続の対象も増えます。登録免許税は資本金1億円以下の会社で1回1万円です。

役員が辞任したり死亡したりすれば、そのたびに変更登記が必要になります。2週間以内という期限もあります。

取締役会を置いている場合は、3か月に1回以上の開催と議事録の作成も加わります。

役員報酬は資本金の額とは関係なく、会社の利益の見込みから決めます。ただし人数が増えれば総額も増えるため、資本金として用意した運転資金が早く減ることになります。株式会社の会社設立では、体制と資金計画をあわせて考えてください。

報酬の決定も必要です。役員報酬は株主総会で決議し、複数の取締役がいる場合は総額を決めて配分する形が取られることもあります。

つまり、人数を増やすことには継続的なコストが伴います。会社設立の時点で必要性を確かめてから決めてください。

出典このセクションの出典:マネーフォワード|役員(取締役や監査役)の任期は10年?(マネーフォワード/2026年9月16日 確認)

07迷ったときの決め方

迷ったときの決め方

人数で迷ったときの原則は、小さく始めて必要になったら足すです。株式会社の会社設立では、後から増やすほうが減らすより簡単だからです。

役員を増やすのは、株主総会の決議と変更登記でできます。減らすのは、辞任か解任という人間関係の問題になります。

特に取締役会は、いったん置くと3人体制を維持し続ける必要があります。誰かが辞任して2人になると、法律上の要件を欠いた状態になります。

共同創業者がいても、必ずしも全員を取締役にする必要はありません。出資してもらって株主になってもらい、取締役は代表者一人という形も取れます。

役員を増やす理由として対外的な信用が挙げられることがありますが、取引先が見るのは登記簿の役員欄より事業の実態であることが多いようです。

人数を増やす前に、その人数が何を解決するのかを言葉にしてみてください。説明できないなら、まだ必要ないということです。

資本金の額と人数は独立して決められます。資本金が多いから役員を増やさなければならない、という関係はありません。

なお、会社設立の後で役員を増やす場合、登録免許税は1万円です。最初から置くのと比べても、大きな差ではありません。

出典このセクションの出典:行政書士かんべ法務事務所|株式会社の機関設計とルール(かんべ法務事務所/2026年9月16日 確認)

08取締役の人数についてよく聞かれること

取締役の人数についてよく聞かれること
家族を取締役にするメリットはありますか?
役員報酬を分散でき、所得税の面で有利になる場合があります。ただし実態のない役員に報酬を出すと税務上否認されることがあります。また役員が増えれば重任登記の手間も増えます。株式会社の会社設立では、資本金の額とあわせて税理士に相談してください。
取締役が3人になったら取締役会になりますか?
なりません。取締役会は定款で置く旨を定めたときに設置される機関です。取締役が3人になっただけでは取締役会設置会社にはならず、引き続き各取締役が業務を執行します。
代表取締役は複数置けますか?
置けます。ただしどちらも単独で会社を代表できるため、意思疎通が必要です。登記簿には全員の住所と氏名が載ります。株式会社の会社設立では、まず1人にしておくほうが単純です。
従業員を取締役にできますか?
できます。ただし取締役になると労働者ではなくなるため、雇用保険の被保険者資格を失うことがあります。使用人兼務役員という扱いもあるため、社会保険労務士や税理士に確認してください。

質問に共通しているのは、人数と機関と立場の関係です。株式会社の会社設立では、取締役が何人いるかと、取締役会を置くかどうかは別の話です。この区別を押さえておいてください。

出典このセクションの出典:弥生|株式会社設立の人数は何人から?(弥生株式会社/2026年9月16日 確認)

09まとめ|1人で足りる。3人になるのは取締役会を置いたとき

まとめ|1人で足りる。3人になるのは取締役会を置いたとき

株式会社の会社設立で必要な取締役は1人です。取締役会を置かなければ、取締役1名・監査役なしで成立します。

  • 取締役1名最もよく選ばれる。当然に代表取締役になる。書類も登記も最小。
  • 取締役複数(取締役会なし)各取締役が業務を執行。代表取締役を選定しないと全員が代表権を持つ。
  • 取締役会を置く取締役3名以上+原則として監査役。役員4人以上になる。
  • 定款認証の手数料取締役会を置かないことが1万5,000円の軽減要件のひとつ。

人数の条件が生まれるのは、取締役会という任意の機関を置いたときだけです。人数と機関は別の話で、取締役が3人になっただけでは取締役会にはなりません。

役員が増えると、添付書類も登記も任期の管理も増えます。設立後に継続的なコストが発生するという点を踏まえて決めてください。

迷ったら最小構成から始めてください。役員は後から増やせますし、取締役会も定款変更で置けます。逆に減らすほうが難しくなります。

資本金の額と人数は独立した判断です。会社設立では、資金の話と体制の話を分けて考えてください。

なお、この記事の内容は2026年9月16日時点の会社法にもとづきます。条文や取扱いは改正されることがあるため、実際の手続の前に法務局の公式情報でご確認ください。機関設計で迷う場合は、司法書士など、その業務を扱える専門家にご相談ください。

出典このセクションの出典:日本監査役協会|機関設計の図解(日本監査役協会/2026年9月16日 確認)

最小構成から始めて、必要になったら足してください

株式会社の会社設立では、取締役1名・監査役なしという最小構成が最もよく選ばれます。手続も費用も最小になり、定款認証の手数料の軽減要件にも当てはまります。

役員は後から増やせます。取締役会も定款変更で置けます。逆に、置いた機関を外したり役員を減らしたりするほうが難しくなります。迷ったら最小構成から始めてください。機関設計で判断に迷う場合は、司法書士への相談も検討してください。

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