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定款認証の事前確認で指摘される7つの箇所|公証役場に出す前に直しておくこと

定款の事前確認は一度で通ることのほうが少なく、二往復三往復するのが普通です。指摘される箇所は決まっているので、出す前に直しておけば日程が延びません。

公開 2026年9月12日 確認日 2026年9月16日 約10分で読めます 本文 約5,900字

この記事は、定款を書き終えて公証役場に出す直前の人のためのものです

定款のテンプレートを埋め終えた。あとは公証役場に送るだけ。そう思って事前確認を依頼すると、修正の指摘が返ってきます。一度で通ることのほうが少ないのが実際のところです。

指摘される箇所は、ある程度決まっています。この記事では、株式会社の定款認証の事前確認でよく指摘される7つの箇所を挙げ、何をどう直せばよいのかを整理します。出す前に確認しておけば、往復が減り、会社設立の日程が延びません。内容は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。

事前確認は何のためにあるのか

事前確認は何のためにあるのか

株式会社の定款認証では、公証役場に定款の案を送って内容を確認してもらうのが通例です。これを事前確認といい、メールやFAXでやりとりします。

公証人が確認するのは、定款の内容が法令に適合しているかどうかです。絶対的記載事項が揃っているか、条文に矛盾がないか、事業目的が適法で明確かといった点を見ます。

事前確認をせずに持ち込むと、不備があればその場では認証を受けられず、出直しになります。公証役場は平日の日中のみの対応が基本なので、往復が増えると会社設立の日程が大きく延びます。

やりとりには数日から1週間程度かかります。一度で通ることのほうが少なく、二往復三往復することも珍しくありません。ここが会社設立で最も時間を読みにくい工程です。

逆に言えば、指摘されやすい箇所を先に直しておけば、往復を減らせます。以下では、よく指摘される7つの箇所を順に見ていきます。

なお、事前確認で指摘されるのは形式的な不備だけではありません。事業目的の表現や機関設計の整合性など、後の登記や許認可に関わる点も含まれます。無償で内容を見てもらえる機会だと考えるとよいでしょう。

事前確認から認証までの流れ
株式会社の会社設立で、この工程を短縮するには事前の作り込みしかありません。

出典このセクションの出典:丸の内公証役場|会社・法人等の定款認証(丸の内公証役場/2026年9月16日 確認)

指摘1|事業目的の表現が抽象的すぎる

指摘1|事業目的の表現が抽象的すぎる

株式会社の定款で最もよく指摘されるのが事業目的です。適法性と明確性が求められ、何をする会社なのかが第三者に読み取れる表現でなければなりません。

「コンサルティング業」だけでは、何のコンサルティングなのかが分かりません。「経営コンサルティング業」「ITシステムに関するコンサルティング業」のように、分野を示す語を加えるよう求められることがあります。

逆に、具体的すぎて事業の幅が狭くなるのも困ります。株式会社の会社設立では、今やる事業を明確に書きつつ、将来の展開も少し含める程度のバランスが求められます。

許認可が必要な事業では、所定の文言が必要です。建設業、宅地建物取引業、人材派遣、古物商、飲食業などが該当します。所管官庁が指定する表現があるため、事前に確認してください。

末尾には「前各号に附帯関連する一切の事業」という条項を入れるのが一般的です。これがあると、目的に書いていない付随的な業務も行いやすくなります。

目的の数が多すぎるのも避けたほうがよいでしょう。何の会社か分かりにくくなり、金融機関の審査で不利に働くことがあります。会社設立の後に変更登記で追加することもできます。

出典このセクションの出典:アイシア法律事務所|定款とは|絶対的・相対的・任意的記載事項(アイシア法律事務所/2026年9月16日 確認)

指摘2|資本金欄に最低額を書いている

指摘2|資本金欄に最低額を書いている

定款の絶対的記載事項には「設立に際して出資される財産の価額またはその最低額」があります。つまり「金100万円」でも「金100万円以上」でも法律上は有効です。

ただし、最低額で書くと定款認証の手数料が一律5万円になります。実際の資本金がいくらになるかが定款の時点で確定しないため、手数料の区分が判定できないという扱いです。

株式会社の会社設立では、資本金の額を確定させて具体的な額を書くのが一般的です。発起人が複数いて出資額の調整が残っている場合を除き、最低額で書く必要はありません。

テンプレートによっては最低額の書き方になっていることがあります。借り物の文言をそのまま使うと、ここで数万円の差がつきます。事前確認で指摘されることもありますが、されないまま認証されると5万円を支払うことになります。

資本金の額は、定款・払込証明書・登記申請書の三箇所に出てきます。すべて一致していないと登記が差し戻されるため、定款の段階で確定させておくのが確実です。

なお、払い込まれた額の2分の1を超えない額を資本準備金とすることもできます。その場合、資本金の額は払込額より小さくなります。会社設立の設計で選ぶ場合は、定款や設立時の書面での扱いを公証役場と確認してください。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|会社の定款手数料の改定(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

指摘3|発行可能株式総数の定めがない

指摘3|発行可能株式総数の定めがない

発行可能株式総数は、会社が将来発行できる株式の上限です。絶対的記載事項として条文に並んでいるわけではありませんが、株式会社の設立時までに定款で定める必要があります

定めがないまま持ち込むと指摘されます。登記事項でもあるため、定めがなければ株式会社の会社設立の手続を進められません。

決め方は、まず資本金の額を1株の金額で割って設立時発行株式数を出します。資本金100万円で1株1万円なら100株です。発行可能株式総数は、この数の何倍かに設定します。

全株式に譲渡制限がある非公開会社では、発行可能株式総数に上限の定めがありません。公開会社では設立時発行株式数の4倍までという制限があります。会社設立で非公開会社にするなら、自由に決められます。

実務では、設立時発行株式数の4倍から10倍程度に設定することが多いようです。将来の増資や株式分割を見越して余裕を持たせつつ、大きすぎない数にします。

後から変更することもできますが、定款変更と変更登記が必要で登録免許税がかかります。会社設立の時点である程度の余裕を持たせておくほうが、後の手間が減ります。

出典このセクションの出典:GVA法人登記|発行可能株式総数とは?変更方法(GVA TECH/2026年9月16日 確認)

指摘4|機関設計と条文が食い違っている

指摘4|機関設計と条文が食い違っている

テンプレートを流用したときに起きやすいのが、機関設計と条文の食い違いです。取締役会を置かない設計なのに、取締役会に関する条文が残っているといった例です。

株式会社の会社設立で取締役1名の設計を選んだ場合、取締役会、代表取締役の選定方法、監査役に関する条文は不要になります。これらが残っていると指摘されます。

逆に、取締役会を置く設計なのに、取締役の員数を「1名以上」と書いているといった食い違いもあります。取締役会設置会社では取締役3名以上が必要です。

代表取締役の定め方も確認が必要です。取締役が1名の場合、その取締役が当然に代表取締役になるため、選定の条文は不要です。複数いる場合は、選定方法を定めます。

定款に取締役会を置く旨の記載があると、定款認証の1万5,000円の軽減区分から外れます。手数料の面でも、機関設計と条文を一致させておく意味があります。

公証役場の事前確認では、こうした整合性も見てもらえます。自分で株式会社の会社設立を進める場合、第三者に条文を通して見てもらえる貴重な機会です。

出典このセクションの出典:行政書士かんべ法務事務所|株式会社の機関設計とルール(かんべ法務事務所/2026年9月16日 確認)

指摘5〜7|本店の表記、任期、公告方法

指摘5〜7|本店の表記、任期、公告方法

株式会社の定款で残る三つの指摘箇所を、まとめて見ていきます。いずれも細かい点ですが、指摘されると往復が増え、株式会社の会社設立の日程が延びます。

本店の表記です。定款には市区町村(東京23区なら区)までの記載でも、番地まで書いても構いません。ただし表記が正式なものになっているかを確認されます。「◯◯市」を省略している、旧町名を使っているといった例が指摘されます。

市区町村までにしておけば、同一市区町村内の移転で定款変更が不要になります。一方、番地まで書けば、本店所在場所を決めた決議書を省略できます。どちらを取るかは設計の選択です。

役員の任期です。原則は取締役2年、監査役4年ですが、全株式に譲渡制限がある非公開会社では定款で最長10年まで伸ばせます。譲渡制限の定めがないのに任期を10年としていると、指摘されます。

公告方法です。定款で定めなければ官報になります。電子公告を選ぶ場合は、掲載するウェブサイトのURLも登記事項になるため、サイトが用意できているかを確認してください。

このほか、事業年度の定めも確認されます。設立日が事業年度の途中になる場合の1期目の扱いを明記しておくと、後から迷いません。会社設立の定款では、附則で最初の事業年度を定めるのが一般的です。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|Q2. 株式会社の定款の記載事項(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

出す前に自分で確認できること

出す前に自分で確認できること

事前確認に出す前に、自分で点検できる箇所があります。株式会社の会社設立で往復を減らすために、次の項目を確認してから送ってください。

  • 絶対的記載事項の五つがすべて書かれているか(目的・商号・本店・出資される財産の価額・発起人)
  • 発行可能株式総数を定めているか
  • 資本金欄に具体的な額を書いているか(最低額なら手数料が5万円に)
  • 事業目的に許認可の文言が入っているか
  • 機関設計と条文が一致しているか(置かない機関の条文が残っていないか)
  • 役員の任期を伸ばすなら、全株式に譲渡制限の定めがあるか
  • 附則で最初の事業年度を定めているか

これらを確認してから送れば、指摘の多くは避けられます。残るのは事業目的の表現のように、公証人の判断が入る部分です。

テンプレートを使う場合は、自社の設計に合わない条文を消す作業が必要です。追加するより削るほうが忘れやすいので、条文を一つずつ読んで、自分の会社に必要かを確認してください。

発起人が複数いる場合は、出資額の配分も確定させておきます。定款に各発起人が引き受ける設立時発行株式の数と払込金額を記載するため、調整が残っていると書けません。

なお、事前確認は無償で行われるのが通例です。何度も往復すること自体が問題になるわけではありませんが、日程が延びる分だけ会社設立が遅れます。

出典このセクションの出典:アイシア法律事務所|【会社法27条】定款の記載又は記録事項(アイシア法律事務所/2026年9月16日 確認)

定款の事前確認でよく聞かれること

定款の事前確認でよく聞かれること
どの公証役場に出せばよいですか?
本店所在地と同じ都道府県内であれば、どの公証役場でも構いません。通いやすさや、オンライン認証への対応状況で選んでください。株式会社の会社設立では、事前確認のやりとりがしやすい役場を選ぶと進めやすくなります。
事前確認の依頼はどうやってしますか?
公証役場のウェブサイトにメールアドレスやFAX番号が掲載されていることが多く、そこに定款の案を送ります。電話で先に相談してから送る形もあります。
修正はどこまで自分でやりますか?
公証人が修正案を示してくれることもありますが、原則として自分で直します。表現の候補を示してもらえることが多いので、それに沿って書き換えます。
オンラインで認証を受けられますか?
テレビ電話を使った認証に対応している公証役場があります。電子定款とあわせて使えば、株式会社の会社設立で公証役場に出向く必要がなくなります。対応状況は役場によって異なるため、事前に確認してください。

質問に共通しているのは、やりとりの進め方に関するものです。定款認証は株式会社の会社設立で唯一、外部の専門家と内容を詰める工程です。分からないことは事前確認の段階で聞いてしまうのが早道です。

出典このセクションの出典:丸の内公証役場|定款認証/必要書類(丸の内公証役場/2026年9月16日 確認)

まとめ|7つの箇所を直してから送れば、往復が減る

まとめ|7つの箇所を直してから送れば、往復が減る

株式会社の定款認証の事前確認で指摘されやすいのは、事業目的の表現、資本金欄の書き方、発行可能株式総数の定め、機関設計と条文の整合性、本店の表記、役員の任期、公告方法の七つです。

指摘されやすい箇所と直し方
箇所 よくある指摘 直し方
事業目的 抽象的で何の会社か分からない 分野を示す語を加える。許認可の文言を確認
資本金欄 「◯◯万円以上」と最低額を記載 具体的な額を書く(手数料が5万円になるため)
発行可能株式総数 定めがない 設立時発行株式数の4〜10倍程度に設定
機関設計 置かない機関の条文が残っている 自社の設計に合わない条文を削除
本店の表記 正式な表記でない 市区町村までか番地まで、どちらかに統一
役員の任期 譲渡制限がないのに10年 譲渡制限の定めを入れるか、任期を戻す
公告方法 定めがない/URLが未定 官報か電子公告を定款で定める

これらを出す前に直しておけば、往復が減ります。事前確認は数日から1週間かかる工程なので、一往復減らせるだけでも会社設立の日程が縮まります。

テンプレートを使う場合は、自社の設計に合わない条文を削る作業を丁寧にやってください。追加するより削るほうが忘れやすく、機関設計の食い違いはここから生まれます。

認証が終わったら、資本金の払込みに進みます。払込の日付は認証日より後でなければならないため、認証を待ってから入金してください。

なお、この記事の内容は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。定款の取扱いや手数料は改定されることがあるため、実際の手続の前に日本公証人連合会と管轄の公証役場の公表内容をご確認ください。事業目的の表現や機関設計で迷う場合は、司法書士・行政書士など、その業務を扱える専門家にご相談ください。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|Q2. 株式会社の定款の記載事項(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

直し終えたら、資本金の払込みの準備に進んでください

定款が認証されれば、株式会社の会社設立の工程は半分を超えます。次は資本金の払込みです。払込の日付は認証日より後でなければならないため、認証が終わってから入金してください。

定款の内容で判断に迷う部分が残っているなら、公証役場の事前確認で相談することもできます。事業目的の表現や機関設計については、司法書士や行政書士に相談する方法もあります。手数料や取扱いは改定されることがあるため、実際の手続の前には公証役場の公表内容をご確認ください。

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