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株式会社設立の教科書 条件・費用・資本金から機関設計まで
株式会社の資本金 決め方 いくらにするか

株式会社の資本金をいくらにするか|運転資金・許認可・税の三つから決める手順

資本金は自由に決められるからこそ迷います。運転資金・許認可・税という三つの軸で順に絞り込めば、自分の場合の額が出てきます。

公開 2026年8月22日 確認日 2026年9月16日 約11分で読めます 本文 約6,000字

この記事は、資本金の額だけが決まらずに止まっている人のためのものです

商号も事業目的も決まった。あとは資本金の額だけ。ところがこれが決まらない。下限がなく上限もないので、基準がないからです。株式会社の会社設立で最後まで残る決めごとが、たいていこれです。

この記事では、資本金の額を決める手順を三つの軸に分けて示します。運転資金から必要額を出し、許認可の要件を確認し、税の境目を踏まえて調整する。この順で絞り込めば、自分の場合の額が出てきます。金額は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。

資本金は自由に決められるが、三つの制約がある

資本金は自由に決められるが、三つの制約がある

株式会社の資本金には法律上の下限も上限もありません。1円でも1億円でも設立できます。自由だからこそ決まらないというのが、会社設立で資本金が最後まで残る理由です。

ただし、完全に自由というわけではありません。実務上、三つの制約があります。運転資金、許認可の要件、そして税の扱いです。

運転資金は下からの制約です。会社の口座は資本金から始まるため、当面の支出を賄える額が必要になります。これを下回ると、代表者の立替が続きます。

許認可は、業種によっては絶対的な制約です。業法が資本金の額を要件にしている場合、その額を満たさなければ事業を始められません。

税の扱いは上からの制約です。資本金1,000万円以上で株式会社の会社設立をすると、設立1期目から消費税の納税義務が生じます。法人住民税の均等割の区分も上がります。

つまり、運転資金と許認可で下限が決まり、税で上限が決まるという構造です。以下では、この三つを順に見ていきます。

資本金を挟む三つの制約
株式会社の会社設立では、この三つに挟まれた範囲で額を決めます。

出典このセクションの出典:辻・本郷 税理士法人|会社設立の資本金の決め方とは?(辻・本郷 税理士法人/2026年9月16日 確認)

軸1|運転資金から下限を出す

軸1|運転資金から下限を出す

資本金の額を決める最初の作業は、当面の運転資金を計算することです。株式会社の会社設立の後、会社の口座から出ていくお金を洗い出します。

固定費として挙がるのは、家賃、通信費、サーバー代、会計ソフトの利用料、保険料、リース料などです。変動費としては、仕入れ、外注費、広告費があります。

これらの合計が月いくらになるかを出します。そのうえで、売上の入金が始まるまでの期間を見積もります。請求から入金まで1、2か月かかるのが通常です。

よく示される目安は、固定費の3か月から6か月分です。固定費が月20万円なら60万円から120万円、月50万円なら150万円から300万円ということになります。

立ち上がりに時間がかかる事業では、多めに見る必要があります。逆に、既存の顧客がいて設立直後から売上が立つ事業なら、少なめでも回ります。

設備投資が必要な事業では、その分も見込みます。厨房設備、工作機械、什器。株式会社の会社設立の直後にまとまった支出があるなら、固定費の月数だけでは足りません。購入予定の金額を加えて下限を出してください。

なお、代表者自身の生活費は資本金とは別に考えます。会社から受け取れるのは役員報酬で、会社に資金がなければ払えません。生活費は個人の貯蓄で持つのが基本です。

出典このセクションの出典:GMOあおぞらネット銀行|会社設立に必要な要件は?(GMOあおぞらネット銀行/2026年9月16日 確認)

軸2|許認可の要件を確認する

軸2|許認可の要件を確認する

許認可が必要な事業では、業法が資本金の額を要件にしていることがあります。この場合、運転資金の計算より優先されます。

たとえば一般建設業の許可では、自己資本の額や資金調達能力が要件に含まれます。旅行業では業務の範囲に応じた基準資産額が定められています。有料職業紹介事業にも資産の要件があります。

要件の内容は業種と法令によって異なり、資本金そのものではなく純資産や自己資本で判定されることもあります。必ず所管官庁に確認してください

確認の順番が重要です。株式会社の会社設立の後に要件を知ると、増資の登記が必要になり、増加額の0.7%(最低3万円)の登録免許税がかかります。

事業目的の文言も同時に確認してください。許認可の申請には、定款の事業目的に所定の文言が入っている必要があります。後から追加すると変更登記で3万円かかります。

将来その事業を始める予定がある場合も、確認しておく価値があります。株式会社の会社設立の時点で要件を満たす資本金にしておけば、後から増資する必要がありません。事業計画のなかに許認可が絡む事業が入っているなら、先に調べておいてください。

許認可が不要な事業であれば、この軸は無視して構いません。運転資金と税の二つで決めることになります。

出典このセクションの出典:中小企業庁(中小企業庁/2026年9月16日 確認)

軸3|税の境目で上限を決める

軸3|税の境目で上限を決める

資本金の額は税の扱いに影響します。株式会社の会社設立で意識すべき境目は三つあります。

最も重いのが1,000万円です。資本金1,000万円以上で設立すると、設立1期目から消費税の納税義務が生じます。1,000万円未満なら、原則として1期目と2期目は免税事業者になれます。

売上規模によっては、この2期分の差が数十万円から数百万円になります。運転資金として1,000万円が必要な事業でない限り、この線は越えないのが一般的です。

法人住民税の均等割も、資本金等の額が1,000万円を超えると区分が上がります。赤字でもかかる税なので、毎年の負担が増えます。

ふたつめの境目は100万円です。資本金100万円未満であれば、定款認証の公証人手数料が3万円(軽減要件を満たせば1万5,000円)になります。100万円以上300万円未満では4万円です。

なお、資本金1,000万円未満であっても、特定期間の課税売上高と給与等支払額がいずれも1,000万円を超えると、2期目から消費税の課税事業者になります。株式会社の会社設立で免税期間を最大限使いたい場合は、この点も税理士に確認してください。

みっつめは約2,143万円です。これを超えると登録免許税が15万円を上回り、資本金に比例して増えていきます。株式会社の会社設立で意識することは多くない水準です。

出典このセクションの出典:さきがけ税理士法人|消費税の納税義務~資本金1000万円未満・超(さきがけ税理士法人/2026年9月16日 確認)

三つの軸を当てはめて額を出す

三つの軸を当てはめて額を出す

三つの軸を順に当てはめて、株式会社の会社設立の資本金を決めます。手順は次のとおりです。

  1. 固定費を洗い出す家賃・通信費・ソフト利用料・保険料など。月いくらかを出す。
  2. 必要な月数を掛ける売上の入金が始まるまでの期間。3〜6か月が目安。
  3. 許認可の要件を確認する所管官庁に問い合わせる。要件があればそちらを優先。
  4. 1,000万円未満に収まるか確認する超える場合は消費税と均等割の影響を試算する。
  5. 100万円の境目を確認する未満なら定款認証の手数料が下がる可能性がある。
  6. きりのよい額に丸める定款に具体的な数字を書く。

たとえば、固定費が月15万円で、入金まで2か月かかる事業。4か月分として60万円が下限になります。許認可は不要。1,000万円未満なので問題なし。

100万円未満にすれば定款認証の手数料が下がりますが、60万円では運転資金としてぎりぎりです。余裕を見て90万円にすれば、100万円未満の区分に収まりつつ運転資金にも余裕が出ます。

逆に、固定費が月40万円で6か月分の240万円が必要なら、100万円未満は無理です。この場合は定款認証4万円を受け入れて、300万円未満の区分に収めることになります。

業種によっては、取引先が資本金の額を見る場面もあります。大手企業との取引や官公庁の入札では、資本金が要件や評価項目に含まれていることがあります。株式会社の会社設立で狙っている取引があるなら、その要件も下限に加えてください。

このように、運転資金で下限を出し、税と手数料の境目で微調整するという順番で決めると、納得のいく額になります。

出典このセクションの出典:辻・本郷 税理士法人|会社設立時の資本金はいくらが適切か(辻・本郷 税理士法人/2026年9月16日 確認)

決めるときによくある迷い方

決めるときによくある迷い方

資本金の額で迷うとき、多くは「信用のために多くしたい」と「税負担のために少なくしたい」の板挟みになっています。

信用の観点では、資本金は登記簿に載る数字です。取引先や金融機関、求職者が見ることができます。極端に少ないと説明を求められることがあります。

ただし、資本金の額だけで取引の可否が決まることは多くありません。事業の実態、代表者の経歴、過去の実績のほうが重く見られます。資本金は判断材料のひとつにすぎません。

税負担の観点では、1,000万円を超えなければ大きな差は出ません。100万円と500万円で消費税の扱いは変わらず、均等割も同じ区分です。定款認証の手数料が1万円から3万5,000円違うだけです。

つまり、1,000万円未満の範囲であれば、税の観点で神経質になる必要はありません。運転資金として必要な額を入れておけば足ります。

逆に、多く入れておいて後から減らすのはさらに難しくなります。減資には債権者保護の手続と官報への公告が必要で、増資より手間がかかります。株式会社の会社設立では、増やすほうが減らすより簡単だという点も覚えておいてください。

もうひとつの迷い方が、後から増やせばよいという考え方です。増資はできますが、変更登記に増加額の0.7%(最低3万円)がかかります。会社設立の時点で見込んでおくほうが安く済みます。

出典このセクションの出典:小谷野税理士法人|株式会社の資本金、最低額はいくら?(小谷野税理士法人/2026年9月16日 確認)

決めた額を定款にどう書くか

決めた額を定款にどう書くか

資本金の額が決まったら、定款に書きます。会社法は絶対的記載事項として「設立に際して出資される財産の価額またはその最低額」を定めているため、どちらの書き方も可能です。

ただし、最低額で書くと定款認証の手数料が一律5万円になります。実際の資本金がいくらになるかが定款の時点で確定しないためです。

額が決まっているなら、具体的な数字を書いてください。「設立に際して出資される財産の価額は金90万円とする」という形です。これで手数料の区分が正しく判定されます。

定款のテンプレートによっては、最低額の書き方になっていることがあります。株式会社の会社設立で借り物の文言をそのまま使うと、ここで数万円の差がつきます。

資本金の額は、定款・払込証明書・登記申請書の三箇所に出てきます。すべて一致していないと登記が差し戻されるため、定款の段階で確定させておくのが確実です。

なお、払い込まれた額の2分の1を超えない額を資本準備金とすることもできます。資本金として登記される額を抑えつつ、会社には同じだけの財産を入れる設計です。使う場合は公証役場と法務局に確認してください。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|会社の定款手数料の改定(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

資本金の決め方でよく聞かれること

資本金の決め方でよく聞かれること
資本金は設立後すぐ使ってよいですか?
使えます。資本金は株式会社の財産なので、事業のための支出に充てて構いません。ただし個人の生活費に使うと役員貸付金になります。会社設立の後は、会社と個人の口座を分けてください。
きりの悪い額でもよいですか?
構いません。87万3,000円のような額でも登記できます。ただし定款・払込証明書・登記申請書の三箇所で一致させる必要があるため、きりのよい額のほうが管理は楽です。
複数人で出す場合はどう決めますか?
合計額を先に決めてから、各人の出資額を配分します。出資額の比率がそのまま持株比率になり、議決権の比率になります。株式会社の会社設立では、この配分が後から変えにくいため慎重に決めてください。
資本準備金を使うと何が変わりますか?
登記される資本金の額が小さくなるため、定款認証の手数料や登録免許税の区分に影響することがあります。また、後から資本金に組み入れることもできます。ただし手続が増えるため、使うかどうかは税理士に相談してください。

質問に共通しているのは、資本金が登記される数字であるという点です。株式会社の会社設立で決めた額は登記簿に載り、変えるには登記が必要です。だからこそ、最初に時間をかけて決める価値があります。

出典このセクションの出典:弥生|資本金の平均額はどれくらい?(弥生株式会社/2026年9月16日 確認)

まとめ|運転資金で下限、税で上限。その間で決める

まとめ|運転資金で下限、税で上限。その間で決める

株式会社の資本金は、運転資金・許認可の要件・税の扱いという三つの軸で決めます。運転資金と許認可で下限が決まり、税で上限が決まる構造です。

  • 運転資金固定費の3〜6か月分。会社の口座はここから始まる。
  • 許認可業法が額を定めている場合は最優先。所管官庁に確認する。
  • 1,000万円未満に収める。消費税と均等割の扱いが変わる。
  • 手数料100万円未満なら定款認証が下がる可能性がある。

1,000万円未満の範囲であれば、税の観点で神経質になる必要はありません。100万円と500万円で消費税の扱いは変わらず、均等割も同じ区分です。運転資金として必要な額を入れておけば足ります

定款には具体的な額を書いてください。「◯◯万円以上」という最低額の書き方をすると、定款認証の手数料が一律5万円になります。会社設立のテンプレートを使う場合は、この点を確認してください。

後から増やすこともできますが、変更登記に増加額の0.7%(最低3万円)がかかります。会社設立の時点で必要額を見込んでおくほうが安く済みます。

なお、この記事の金額と要件は2026年9月16日時点の公開情報にもとづきます。税制は改正されることがあり、許認可の要件は業種と自治体によって異なります。実際に決める前に、国税庁と所管官庁の最新情報をご確認ください。税務の判断は税理士など、その業務を扱える専門家にご相談ください。

出典このセクションの出典:辻・本郷 税理士法人|会社設立の資本金の決め方とは?(辻・本郷 税理士法人/2026年9月16日 確認)

額が決まったら、定款の資本金欄に具体的な数字を書いてください

資本金の額が決まれば、株式会社の会社設立の準備はほぼ終わりです。登録免許税も定款認証の手数料も、この額から自動的に決まります。

定款には、具体的な額を書いてください。「◯◯万円以上」という最低額の書き方をすると、定款認証の手数料が一律5万円になります。額が決まっているなら、そのまま書けば済みます。税務の観点で迷いが残るなら、税理士に相談してから確定させることをおすすめします。

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