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株式会社設立の教科書 条件・費用・資本金から機関設計まで
株式会社を設立するには 条件 要件

株式会社を設立するための条件|法律が求める5つと、実務で必要になる5つ

株式会社を設立するのに免許や試験は要りません。法律が求めるのは5つだけです。ただし実務上そろえないと止まる条件が別にあり、その多くはお金と住所と印鑑にまつわるものです。

公開 2026年8月24日 確認日 2026年9月16日 約11分で読めます 本文 約6,000字

この記事は「自分に株式会社が作れるのか」を先に確かめたい人のためのものです

会社設立の準備を始める前に、そもそも自分に資格があるのかを知りたい。学生でも作れるのか、会社員のままでもよいのか、外国籍でも大丈夫なのか。この記事はそうした確認から入りたい人に向けて書いています。

結論を先に言えば、株式会社の会社設立に資格試験も免許も必要ありません。会社法が求める条件は5つだけで、そのどれもが手続上のものです。ただし法律の条件をすべて満たしていても、実務上そろっていないと止まる条件が別にあります。ここでは両方を分けて並べます。金額や要件は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。

会社法が求める条件は、突き詰めると5つしかない

会社法が求める条件は、突き詰めると5つしかない

株式会社の会社設立にあたって会社法が求めているのは、手続上の条件だけです。学歴、職歴、資格、年収といった人に関する条件はありません。順に並べると次の5つになります。

  • 発起人が1人以上いること会社に出資し、定款に署名する人。法人でも構いません。
  • 定款を作り、公証人の認証を受けること絶対的記載事項が欠けていると無効になります。
  • 設立時取締役が1人以上いること欠格事由に当たらない人であることが必要です。
  • 資本金の払込みがあること金額の下限はありませんが、払込みの事実が要ります。
  • 本店所在地を管轄する法務局に登記すること登記によって会社が成立します。

逆に言えば、これ以外は条件ではありません。事務所を借りている必要も、従業員がいる必要も、事業計画書を出す必要もありません。株式会社の会社設立で審査のようなものがあると思われがちですが、登記官が見るのは書類が形式的に整っているかどうかです。

ここでいう「形式的に整っている」は決して緩い意味ではありません。押印が抜けている、日付の前後が逆、金額が定款と一致しないといった理由で、実際に差し戻しは起きます。条件が軽いことと、手続が雑でよいことは別の話です。

会社法が求める5つの条件
条件はこれだけです。会社設立が難しく感じるのは、条件ではなく決めごとの多さが原因です。

出典このセクションの出典:e-Gov法令検索|会社法(デジタル庁/2026年9月16日 確認)

資本金に下限はない。ただし業種によっては業法が決めている

資本金に下限はない。ただし業種によっては業法が決めている

2006年に施行された会社法で最低資本金制度は廃止されました。それ以前は株式会社の設立に1,000万円、有限会社に300万円が必要でしたが、現在は資本金1円でも株式会社の会社設立ができます。これは条件としてはっきりしています。

ただし、許認可が必要な業種では、業法が資本金の額を要件にしていることがあります。たとえば一般労働者派遣事業や旅行業、建設業の一部などがこれにあたります。この場合、会社法の条件を満たしていても、許認可が下りないため事業を始められません。

許認可の要件は会社設立より先に調べる資本金の額を決めてから許認可の要件を知ると、増資の登記をやり直すことになります。許認可が要る事業を考えているなら、所管の官庁の窓口に会社設立の前に要件を確認してください。

1円で作れることと、1円で始められることは違う

資本金1円で株式会社の会社設立をしても、設立にかかる法定費用そのものは16万7千円ほど必要です。このお金は発起人が個人として負担することになり、会社の財産からは出せません。条件として資本金の下限がないことと、手元資金がゼロでよいことはまったく別の話です。

許認可が関係しない事業であれば、資本金の額は自分で決められます。判断の材料になるのは、当面の運転資金、消費税の扱い(1,000万円未満なら原則として設立2期は免税)、そして対外的な見え方です。登記簿に載る数字なので、取引先が見る可能性も考えておく必要があります。

資本金の条件まわりで押さえること
会社設立そのものの条件と、事業を始めるための条件は別物です。

出典このセクションの出典:小谷野税理士法人|株式会社の資本金、最低額はいくら?(小谷野税理士法人/2026年9月16日 確認)

発起人と取締役|人数の条件と、なれない人の条件

発起人と取締役|人数の条件と、なれない人の条件

発起人は1人でも構いません。法人が発起人になることもできます。取締役も、取締役会を置かない株式会社なら1人で足ります。つまり発起人と取締役を1人が兼ねる形で、株式会社の会社設立は成立します

人数の条件よりも注意が必要なのは、取締役になれない人の条件です。会社法は取締役の欠格事由を定めており、会社法や商法などの特定の罪で刑に処せられ、その執行を終えてから2年を経過しない人などが挙げられています。

年齢・国籍・住所に条件はあるか

取締役の年齢に法律上の下限はありません。ただし未成年者が取締役に就任する場合、印鑑証明書を用意できるか、法定代理人の同意をどう証明するかといった実務上の問題が出ます。成年年齢が18歳に引き下げられたため、18歳以上であれば単独で手続を進められます。

国籍の条件もありません。外国籍の人が発起人や取締役になることも、代表取締役が国内に住所を持たないことも、現在は登記上の障害になりません。ただし印鑑証明書に代わる署名証明書が必要になるなど、添付書類の準備は日本国籍の場合と変わります。

人に関する条件のまとめ
項目 条件 備考
発起人の人数 1人以上 法人でもよい
取締役の人数 1人以上 取締役会を置くなら3人以上
年齢 下限の定めなし 印鑑証明書が取れるかが実務上の壁
国籍・住所 制限なし 添付書類の種類が変わる
欠格事由 会社法が定める 該当すると取締役になれない

出典このセクションの出典:辻・本郷 税理士法人|株式会社設立の条件13点(辻・本郷 税理士法人/2026年9月16日 確認)

定款の条件|5つの絶対的記載事項が欠けると無効になる

定款の条件|5つの絶対的記載事項が欠けると無効になる

株式会社の定款には、必ず書かなければならない事項があります。これを絶対的記載事項といい、ひとつでも欠けると定款そのものが無効になります。会社設立の条件のうち、最も具体的に決まっている部分です。

  1. 目的(会社が行う事業)
  2. 商号(会社の名前)
  3. 本店の所在地
  4. 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  5. 発起人の氏名または名称および住所

このほか、発行可能株式総数も株式会社の設立時までに定款で定める必要があります。絶対的記載事項として条文に並んでいるわけではありませんが、登記事項であり、定款に定めがなければ設立の手続を進められません。

公証役場では、認証の前に定款の内容を事前確認してもらえます。文言の直しはこの段階でやりとりするのが通例で、その場で持ち込んで即認証というケースはむしろ少数です。会社設立の日程を組むときは、このやりとりに数日を見込んでおいてください。

定款が認証されるまでの条件確認
定款の条件は形式的ですが、抜けがあると会社設立の工程がそこで止まります。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|Q2. 株式会社の定款の記載事項(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

実務上そろわないと止まる条件|住所・印鑑・証明書

実務上そろわないと止まる条件|住所・印鑑・証明書

会社法の条件をすべて満たしていても、実務上そろえないと株式会社の会社設立が進まないものがあります。多くは事務的なものですが、準備に日数がかかるため、早めに着手しておく必要があります。

  • 登記できる住所賃貸契約や管理規約で法人登記が禁じられていないか。契約の問題であり、法律の問題ではありません。
  • 会社実印法務局に届け出る印鑑。作成に数日かかることがあります。
  • 発起人・取締役の印鑑証明書発行から3か月以内。市区町村で取得します。
  • 払込先の個人口座会社名義の口座はまだ作れないため、発起人個人の口座を使います。
  • 資本金の現金払込の記録を残す必要があるため、口座に動かせる形で用意します。

資本金の現金についても補足しておきます。払込みは通帳に記録が残る形で行う必要があるため、タンス預金のまま持っていても証明になりません。いったん自分の口座に入れ、そこから振り込むか入金するという動きを作ります。株式会社の会社設立の日程を組むとき、この入金作業は定款認証の後にしか行えない点に注意してください。

このうち見落とされやすいのが印鑑証明書の有効期間です。定款認証と登記申請の両方で必要になり、いずれも発行から3か月以内であることが求められます。会社設立の準備を早くから始めた人ほど、期限切れで取り直しになりやすい部分です。

印鑑についても、実印・銀行印・角印のセットを買う必要はありません。登記で必ず要るのは実印だけです。条件として要求されているものと、あると便利なものを分けて考えると、準備の負担は軽くなります。

オンライン申請なら印鑑届は任意登記をオンラインで申請する場合、印鑑届書の提出は任意とされています。ただし会社の印鑑証明書は実印を登録していないと取得できません。契約や口座開設で求められる場面があるため、実務では登録しておくのが一般的です。

出典このセクションの出典:GMOあおぞらネット銀行|会社設立に必要な要件は?(GMOあおぞらネット銀行/2026年9月16日 確認)

会社員のまま設立できるか、学生でも設立できるか

会社員のまま設立できるか、学生でも設立できるか

会社員が在職したまま株式会社の会社設立をすることは、法律上まったく問題ありません。発起人にも取締役にもなれます。登記簿に勤務先が載ることもありません。制限があるとすれば、それは勤務先の就業規則です。

副業を禁止している会社では、就業規則違反を問われる可能性があります。禁止されていなくても、代表取締役に就任すると、勤務先の社会保険と新会社の社会保険の両方に加入対象となり、二以上事業所勤務届の提出が必要になる場合があります。役員報酬をゼロにするなら加入義務は生じませんが、扱いは個別の事情によります。

学生でも株式会社は設立できます。成年年齢の引き下げにより、18歳以上であれば単独で契約でき、印鑑登録もできます。18歳未満の場合は法定代理人の同意を証する書面が必要になり、添付書類が増えます。

扶養や失業給付との関係に注意する

親や配偶者の扶養に入っている人が役員報酬を受け取ると、扶養から外れることがあります。また、雇用保険の失業給付を受けている期間中に会社設立をして代表取締役に就任すると、給付の対象外になる可能性があります。会社法の条件とは別の問題ですが、実際に困りやすい部分です。

公務員の場合は事情が異なります。国家公務員法や地方公務員法で営利企業の役員兼業が制限されており、任命権者の許可が必要です。株式会社の会社設立そのものは会社法の条件を満たせばできますが、代表取締役に就任できるかどうかは所属先の判断になります。家族を代表取締役にして自分は株主にとどまる、という設計が取られることもあります。

こうした点は制度の運用と個別の事情で結論が変わります。会社設立そのものは自由にできるという前提のうえで、勤務先の規則や年金事務所・ハローワークの取扱いを事前に確認しておくと安心です。

出典このセクションの出典:GVA法人登記|一人会社とは?(GVA TECH/2026年9月16日 確認)

条件を満たしていても、事業ができるとは限らない

条件を満たしていても、事業ができるとは限らない

ここまで見てきたのは、株式会社という器を作るための条件です。器ができたからといって、どんな事業でも始められるわけではありません。事業ごとに、それを行うための許認可や登録が別の法律で定められています。

許認可が必要な事業を行う場合、定款の事業目的に所定の文言が入っていることが前提になります。目的に書いていない事業について許認可を申請しても受け付けられません。会社設立の後に目的を追加すると、変更登記に登録免許税3万円がかかります。

許認可が必要な事業の例(詳細は所管官庁で確認)
事業 許認可の例 窓口の例
建設工事 建設業許可 都道府県・国土交通省
不動産の売買・仲介 宅地建物取引業免許 都道府県・国土交通省
飲食店 飲食店営業許可 保健所
中古品の売買 古物商許可 警察署(公安委員会)
人材紹介 有料職業紹介事業許可 厚生労働省(労働局)

許認可のほかに、届出や登録で足りる事業もあります。たとえば一般的な物販や受託開発、コンサルティングは、株式会社の会社設立だけで始められることが多く、追加の手続は要りません。自分の事業がどちらなのかは、業種名と「許可」「登録」「届出」を組み合わせて所管官庁のページを調べると早く分かります。

許認可には、資本金の額、事務所の要件、有資格者の配置といった条件が付くことがあります。株式会社の会社設立を先に済ませてから条件を知ると、増資や本店移転のやり直しになりかねません。順番としては、許認可の要件を調べる → 資本金と目的を決める → 会社設立、が安全です。

出典このセクションの出典:中小企業庁(中小企業庁/2026年9月16日 確認)

まとめ|条件は軽い。重いのは、決めることの多さ

まとめ|条件は軽い。重いのは、決めることの多さ

株式会社を設立するための条件を整理すると、会社法が求めるのは発起人・定款・取締役・払込み・登記の5つだけです。資格も免許も学歴も要りません。資本金にも会社法上の下限はありません。

一方で、実務上そろえないと進まない条件が別にあります。登記できる住所、会社実印、3か月以内の印鑑証明書、払込先の個人口座。どれも事務的ですが、準備に日数がかかります。そして事業によっては、許認可という第三の条件が加わります。

3種類の条件を並べる
会社設立の条件を調べるときは、この3種類を分けて考えると混乱しません。

条件そのものは軽いぶん、株式会社の会社設立で本当に時間がかかるのは、商号・事業目的・資本金の額・機関設計といった決めごとです。条件のクリアが確認できたら、そちらに時間を配分してください。

なお、この記事の金額・要件はすべて2026年9月16日時点の公開情報にもとづきます。会社法の規定も許認可の要件も改正されることがあるため、実際に手続を進める前に、法務局・公証役場および所管の官庁の公式ページで最新の内容をご確認ください。個別の事情に当てはめた判断が必要なときは、司法書士・行政書士・税理士など、その業務を扱える専門家にご相談ください。

出典このセクションの出典:小谷野税理士法人|株式会社を設立する条件とは?(小谷野税理士法人/2026年9月16日 確認)

条件を満たしているなら、次は費用と日程の話です

株式会社を設立するための条件は、法律上はきわめて軽いものです。詰まるとすれば、資本金をいくら用意するか、本店をどこに置くか、印鑑証明書をいつ取るかといった実務のほうです。条件のハードルが低いぶん、決めごとの多さがハードルになっているというのが実際のところです。

条件のクリアが確認できたら、次は費用と日程を確定させる段階に進んでください。許認可が必要な事業を考えている場合は、会社設立の前に所管の官庁へ要件を確認しておくことを強くおすすめします。資本金の額や事業目的の書き方が、許認可の可否をそのまま左右することがあるためです。

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