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株式会社設立の教科書 条件・費用・資本金から機関設計まで
株式会社設立費用 内訳 総額

株式会社の設立費用をケース別に計算する|資本金と定款の形で総額はこう変わる

株式会社の設立費用は「約25万円」と一口に言えません。資本金の額と定款の形で総額が変わります。6つのケースで実際に計算してみます。

公開 2026年8月31日 確認日 2026年9月16日 約11分で読めます 本文 約6,300字

この記事は、自分の条件での設立費用を正確に知りたい人のためのものです

株式会社の設立費用を調べると、「約25万円」「約20万円」「約18万円」と、記事によって数字が違います。どれも間違いではなく、前提にしている資本金と定款の形が違うだけです。

この記事では、資本金の額と定款の形を変えた六つのケースで、株式会社の会社設立費用を実際に計算します。自分の条件に近いケースを見れば、総額がそのまま分かるようにしました。金額は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。

株式会社の設立費用を決める二つの変数

株式会社の設立費用を決める二つの変数

株式会社の会社設立にかかる法定費用は、四つの項目でできています。登録免許税、定款認証の公証人手数料、定款の謄本手数料、収入印紙。このうち変動するのは前の二つと収入印紙です。

登録免許税は資本金の額で決まります。資本金の0.7%と15万円の高いほうで、資本金が約2,143万円未満なら一律15万円です。それを超えると、資本金に比例して上がっていきます。

定款認証の公証人手数料も資本金の額で変わります。資本金100万円未満で3万円、100万円以上300万円未満で4万円、それ以外で5万円。さらに一定の要件を満たすと1万5,000円になります。

収入印紙は定款の形で決まります。紙の定款なら4万円、電子定款なら0円です。資本金の額とは無関係に、この4万円が動きます。

定款の謄本手数料は1ページあたりの単価で計算され、おおむね2,000円前後です。枚数で多少変わりますが、大きな差にはなりません。

つまり、株式会社の設立費用は資本金の額と定款の形という二つの変数で決まります。以下では、この二つを変えた六つのケースを計算します。

費用を決める二つの変数
株式会社の会社設立費用の記事で数字が違うのは、この変数の前提が違うためです。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

ケース1|資本金100万円未満・電子定款・自分でやる

ケース1|資本金100万円未満・電子定款・自分でやる

株式会社の会社設立で最も費用が抑えられるのが、この組み合わせです。資本金を100万円未満にし、電子定款を使い、専門家に依頼せず自分で手続をします。

登録免許税は15万円です。資本金の0.7%が15万円を下回るため、下限が適用されます。資本金を1円にしても100万円にしても、この額は変わりません。

定款認証の公証人手数料は、要件を満たせば1万5,000円です。要件は、発起人の全員が自然人で3人以下であること、設立時発行株式の全部を発起人が引き受ける旨が定款に記載されていること、取締役会を置く旨の記載がないこと。ひとりで株式会社を作るなら自然に満たせます

収入印紙は電子定款なので0円です。定款の謄本手数料が2,000円前後かかります。

合計すると、16万7,000円程度になります。ここに会社実印の作成代、印鑑証明書の交付手数料、登記完了後の証明書の手数料が加わりますが、いずれも数千円の範囲です。

ケース1の内訳(資本金100万円未満・電子定款・自分でやる)
株式会社の会社設立費用の下限がこの16万7千円です。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|会社の定款手数料の改定(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

ケース2|資本金100万円未満・紙の定款・自分でやる

ケース2|資本金100万円未満・紙の定款・自分でやる

電子定款を作る機材がない場合、紙の定款で株式会社の会社設立を進めることになります。内容はまったく同じですが、収入印紙4万円が必要です。

登録免許税15万円、定款認証手数料1万5,000円、謄本手数料2,000円は同じです。ここに収入印紙4万円が加わって、合計は20万7,000円程度になります。

ケース1との差は4万円です。この4万円を避けるために電子証明書とICカードリーダー、署名対応のPDFソフトを揃えると、数千円から数万円かかり、設定にも時間がかかります。

一度きりの会社設立のために機材を揃えるのは割に合わないことが多いのが実情です。行政書士や司法書士に定款の作成と電子定款での認証だけを依頼し、報酬が4万円を下回れば、そのほうが安くなります。

会計ソフト事業者が提供する設立支援サービスのなかにも、電子定款に対応しているものがあります。費用を抑えたい場合は、こうしたサービスの利用も選択肢になります。

紙の定款を選ぶ場合、印紙は定款の原本に貼り、消印をします。貼り忘れたまま公証役場に持ち込むと、その場で指摘されます。過怠税の対象になることもあるため、株式会社の会社設立で紙の定款を使うなら、印紙の購入と貼付を忘れないでください。

なお、印紙税がかかるのは設立時の定款の原本だけです。会社が保管する謄本や、登記に添える謄本には印紙を貼る必要はありません。

出典このセクションの出典:freee|定款認証の費用はいくらかかる?紙・電子別(freee株式会社/2026年9月16日 確認)

ケース3|資本金300万円・電子定款・自分でやる

ケース3|資本金300万円・電子定款・自分でやる

資本金を300万円にした場合の株式会社の会社設立費用を見ます。運転資金を厚めに持ちたい、あるいは許認可の要件を満たしたい場合に選ばれる水準です。

登録免許税は15万円のままです。資本金300万円の0.7%は2万1,000円で、下限の15万円を下回るためです。資本金を増やしても、約2,143万円までは登録免許税は変わりません。

変わるのは定款認証の公証人手数料です。資本金300万円は「その他」の区分に入るため、5万円になります。1万5,000円の軽減区分は資本金100万円未満が要件なので、使えません。

合計すると、15万円+5万円+2,000円で20万2,000円程度です。ケース1との差は3万5,000円になります。資本金を100万円未満に抑えるかどうかで、この差が出るということです。

ただし、資本金の額は費用だけで決めるものではありません。運転資金として必要な額、許認可の要件、対外的な見え方を踏まえて決めてください。3万5,000円の差より、資金繰りのほうが事業に効きます。

資本金300万円という水準は、運転資金の目安としてもよく挙げられます。月々の固定費の3か月から6か月分を入れておくという考え方に当てはめると、この程度になる事業は少なくありません。株式会社の会社設立で費用だけを見て100万円未満に抑えると、設立直後に代表者の立替が増えることがあります。

なお、資本金100万円以上300万円未満であれば公証人手数料は4万円です。300万円という数字がひとつの境目になっている点は覚えておくと役に立ちます。

出典このセクションの出典:日本公証人連合会|Q7. 認証の手数料(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)

ケース4|資本金3,000万円・電子定款・自分でやる

ケース4|資本金3,000万円・電子定款・自分でやる

資本金を3,000万円にした場合の株式会社の会社設立費用を見ます。設備投資が必要な事業や、許認可の要件が高い業種で選ばれる水準です。

登録免許税は、資本金3,000万円の0.7%で21万円です。下限の15万円を上回るため、こちらが適用されます。資本金が約2,143万円を超えると、こうして税額が上がっていきます。

定款認証の公証人手数料は5万円です。謄本手数料2,000円を加えると、合計は26万2,000円程度になります。ケース1との差は9万5,000円です。

さらに、資本金1,000万円以上で株式会社を設立すると、設立1期目から消費税の納税義務が生じます。1,000万円未満なら原則として1期目と2期目は免税なので、この差は設立費用の差より大きくなることがあります。

法人住民税の均等割も、資本金等の額が1,000万円を超えると区分が上がります。毎年かかる税なので、長期で見れば影響が積み上がります。

登録免許税の計算では、資本金の額に1000分の7を掛けた額の100円未満を切り捨てます。資本金3,000万円なら21万円ちょうどですが、端数が出る資本金の場合は切り捨て後の額になります。株式会社の設立登記では、この計算を申請書に書くことになります。

資本金を大きくする理由が許認可の要件であれば選択の余地はありませんが、信用のためという理由であれば、税負担とのバランスを考えてください。

出典このセクションの出典:ベンチャーサポート|会社設立時の登録免許税とは?半額制度や納付方法(ベンチャーサポート/2026年9月16日 確認)

ケース5|特定創業支援等事業の証明を使う

ケース5|特定創業支援等事業の証明を使う

市区町村が実施する特定創業支援等事業の支援を受け、その証明書を取得してから登記を申請すると、株式会社の登録免許税は半額の7万5,000円になります。中小企業庁が制度の案内を出しています。

ケース1の条件(資本金100万円未満・電子定款・自分でやる)にこの軽減を組み合わせると、登録免許税7万5,000円+定款認証1万5,000円+謄本手数料2,000円で、合計9万2,000円程度になります。

これが株式会社の会社設立にかかる費用の実質的な下限です。ケース1と比べて7万5,000円安くなり、削減率としては最も大きくなります。

対象は、創業前の人または創業後5年未満の個人で、会社の発起人かつ代表者となる人です。支援の内容は市区町村によって異なり、複数回のセミナー受講や個別相談が要件になっていることがあります。

注意すべきは順番です。証明書は設立登記の申請より前に取得する必要があります。申請してから気づいても遡って適用されません。支援事業の期間は数か月に及ぶこともあるため、会社設立の日程を決める前に自治体の窓口に問い合わせてください。

なお、この軽減は資本金の額にかかわらず登録免許税の2分の1になります。資本金が大きい場合は削減額も大きくなりますが、その場合は消費税や均等割の影響も考慮する必要があります。

出典このセクションの出典:中小企業庁|会社設立時の登録免許税の軽減について(中小企業庁/2026年9月16日 確認)

ケース6|司法書士に登記まで依頼する

ケース6|司法書士に登記まで依頼する

株式会社の会社設立を司法書士に一括で依頼した場合を見ます。資本金100万円未満、電子定款という条件は同じです。

法定費用は16万7,000円程度で変わりません。ここに報酬が加わります。目安は6万円から10万円程度とされることが多く、事務所によって幅があります。

合計すると、22万7,000円から26万7,000円程度になります。ケース1との差は報酬分だけです。ただし、電子定款の機材を自分で用意する必要がないという点も含めて比べる必要があります。

ケース2(紙の定款で自分でやる)の20万7,000円と比べると、差は2万円から6万円程度です。機材がない人にとっては、依頼と自力の差は思ったほど大きくないということになります。

報酬に何が含まれるかは事務所によって異なります。定款の作成、認証の代理、登記申請の代理、登記完了後の証明書の取得。見積もりの段階で範囲を確認してください。

依頼した場合でも、資本金の払込みは自分で行います。発起人個人の口座に入金し、通帳をコピーする作業は代行できません。株式会社の会社設立を全部任せたつもりでも、この工程だけは自分の手が必要になります。

設立後の設計について相談できる点も、依頼する場合の価値です。役員の任期、譲渡制限、公告方法といった、後の手間に効いてくる項目を経験にもとづいて提案してもらえます。

出典このセクションの出典:ベンチャーサポート|司法書士に依頼すべき人・自分で進めてよい人(ベンチャーサポート/2026年9月16日 確認)

設立費用の計算でよく聞かれること

設立費用の計算でよく聞かれること
資本金も設立費用に含めますか?
含めません。資本金は株式会社の財産になるお金で、支払って消えるものではありません。ただし登録免許税と定款認証手数料の計算に影響するため、費用を出す前に額を決めておく必要があります。
設立費用は会社の経費にできますか?
会社設立のために支出した費用のうち一定のものは、創立費・開業費として会社の費用に計上できます。ただし領収書の宛名や日付が要件になることがあるため、準備段階から保管しておいてください。詳しくは税理士にご確認ください。
謄本手数料はいくら見ておけばよいですか?
1ページあたりの単価で計算されるため、定款の枚数によって変わります。おおむね2,000円前後を見込んでおけば足ります。謄本を複数取る場合はその分増えます。
法定費用以外に何が必要ですか?
会社実印の作成代が数千円から2万円程度、印鑑証明書の交付手数料が1通300円前後、登記完了後の登記事項証明書と会社の印鑑証明書の交付手数料がかかります。合計で1万円程度を見込んでおくと安心です。

質問に共通しているのは、何を費用に含めるかという点です。株式会社の会社設立の見積もりでは、法定費用・実費・報酬・資本金の四つを分けて考えると混乱しません。資本金だけは性質が違うので、別枠で扱ってください。

出典このセクションの出典:弥生|会社設立費用はいくら?株式会社・合同会社の法人設立費用を比較解説(弥生株式会社/2026年9月16日 確認)

まとめ|六つのケースで総額を並べる

まとめ|六つのケースで総額を並べる

株式会社の会社設立費用を、六つのケースで計算しました。資本金の額と定款の形、そして依頼するかどうかで総額が決まります。

ケース別の法定費用(2026年9月16日確認)
ケース 登録免許税 定款認証 収入印紙 合計の目安
資本金100万円未満・電子・自分 15万円 1万5千円 0円 約16万7千円
資本金100万円未満・紙・自分 15万円 1万5千円 4万円 約20万7千円
資本金300万円・電子・自分 15万円 5万円 0円 約20万2千円
資本金3,000万円・電子・自分 21万円 5万円 0円 約26万2千円
創業支援の証明あり・電子・自分 7万5千円 1万5千円 0円 約9万2千円
資本金100万円未満・電子・依頼 15万円 1万5千円 0円 約22万7千円〜(報酬込み)

最も安いのは、特定創業支援等事業の証明を使うケースで約9万2千円です。証明の取得に数か月かかることがあるため、会社設立を急がないなら検討する価値があります。

資本金を100万円未満にするかどうかで3万5,000円、定款を電子にするかどうかで4万円が動きます。この二つの選択で7万5,000円の差が生まれる計算です。

ただし資本金の額は、運転資金・許認可の要件・消費税で決めるものです。設立費用を数万円削るために資本金を薄くして、運転資金が足りなくなっては本末転倒になります。

なお、この記事の金額は2026年9月16日時点の公開情報にもとづきます。登録免許税も公証人手数料も改定されることがあるため、実際に支払う前に法務局・日本公証人連合会・中小企業庁の公式ページで最新の内容をご確認ください。資本金の額の決定は税務にも影響します。税理士など、その業務を扱える専門家にもご相談ください。

出典このセクションの出典:三菱UFJ銀行|会社設立の費用はどれくらい?(三菱UFJ銀行/2026年9月16日 確認)

自分のケースが分かったら、削れる部分を確認してください

株式会社の会社設立費用は、資本金の額と定款の形という二つの変数でほぼ決まります。資本金は事業の必要額から決まるので動かしにくい一方、定款を電子にするかどうかは選べます。

削れる部分を全部削ったうえで残る金額が、あなたの場合の下限です。そこに専門家への報酬を足すかどうかを最後に決めてください。金額は改定されるため、実際に支払う直前には法務局・日本公証人連合会・中小企業庁の公式ページで確認することをおすすめします。

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