発起人とは何をする人か|役割・人数・責任と、株主になるまでの流れ
発起人は会社を作ろうと決めた人です。定款に署名し、資本金を出し、設立時の役員を決める。会社ができれば株主になります。

この記事は、発起人という言葉でつまずいた人のためのものです
会社設立の解説を読むと、発起人という言葉が繰り返し出てきます。定款に署名するのは発起人、資本金を出すのも発起人、設立時取締役を決めるのも発起人。結局この人は何者なのか。
発起人は、株式会社を作ろうと決めて動く人です。会社ができる前の段階で存在し、会社ができると株主になります。この記事では、役割・人数・責任を整理し、株主になるまでの流れを追います。内容は2026年9月16日時点の一次情報にもとづきます。
SECTION 01発起人は会社ができる前の段階で動く人

発起人は、株式会社を作ろうと決めて設立の手続を進める人です。会社がまだ存在しない段階で動く立場であり、会社が成立すると株主になります。
会社法は発起人の資格に制限を設けていません。個人でも法人でも、年齢や国籍の制限もありません。
ただし、意思表示ができることは前提です。未成年者が発起人になる場合、法定代理人の同意が必要になることがあります。
発起人の仕事は三つです。定款を作って署名すること、資本金を出資すること、設立時の役員を決めること。この三つで会社の骨格ができます。
株式会社の会社設立では、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける方式を発起設立といいます。小規模な会社ではほぼすべてがこの方式です。
一部を引き受けて残りの引受人を募集する方式は募集設立といいます。創立総会の開催が必要になるなど、手続が重くなります。
会社が成立すると、発起人という立場は終わります。引き受けた株式の株主として、以後は株主総会で議決権を行使することになります。
以下では、三つの仕事を一つずつ見ていきます。あわせて、人数と責任についても整理します。

出典このセクションの出典:契約ウォッチ|株式会社の設立とは?発起人・資本金や手続きの流れ(契約ウォッチ/2026年9月16日 確認)
SECTION 02仕事1|定款を作って署名する

発起人の最初の仕事は、定款を作ることです。株式会社の会社設立で、会社のルールを定める作業です。
定款には絶対的記載事項として、目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、そして発起人の氏名または名称および住所を書きます。
つまり、発起人が誰であるかは定款に必ず記載されます。会社の記録として残り続けます。
作った定款には、発起人が署名または記名押印します。紙の定款であれば実印を押し、電子定款であれば電子署名を付けます。
発起人が複数いる場合は、全員が署名します。住所は印鑑証明書の記載と一致させてください。一致していないと定款認証で指摘されます。
定款は公証役場で認証を受けます。認証の際には、発起人全員の印鑑証明書(発行から3か月以内)が必要です。
認証の当日は、発起人全員が出向くのが原則です。委任状があれば代理人でも可能で、会社設立を士業事務所に依頼した場合は代理で行ってもらえます。
定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨を記載することも、その軽減要件のひとつです。発起設立であればこの記載を入れるのが自然なので、株式会社の会社設立で一人または少人数なら、意識しなくても要件に当てはまることが多くあります。
なお、発起人が全員自然人で3人以下という条件は、資本金100万円未満の場合の定款認証手数料が1万5,000円になる要件のひとつです。
出典このセクションの出典:日本公証人連合会|Q2. 株式会社の定款の記載事項(日本公証人連合会/2026年9月16日 確認)
SECTION 03仕事2|資本金を出資する

発起人の二つめの仕事は、資本金を出資することです。株式会社の会社設立で、会社の財産を作る作業です。
発起設立では、発起人が設立時発行株式の全部を引き受けます。引き受けた株式の数に応じて、払込金額を払い込みます。
払込先は、発起人個人の口座です。会社はまだ存在しないため、会社名義の口座は作れません。
払込みの日付は、定款の認証日より後でなければなりません。認証より前に入金してしまうと、払込みとして認められない可能性があります。
発起人が複数いる場合は、それぞれが自分の名義で払い込みます。誰がいくら入れたかが通帳で分かる形にしてください。
出資額の比率は、そのまま持株比率になります。会社設立の後の議決権の比率を決めるため、慎重に決める必要があります。
金銭以外の財産を出資することもできます。これを現物出資といい、価額の相当性を示す書類が必要になります。手続が重くなるため、実務では避けられることが多くあります。
払込みが済んだら、通帳をコピーして払込みを証する書面を作ります。作成するのは設立時代表取締役ですが、払い込んだのは発起人です。株式会社の会社設立では、この二つの立場が同じ人であることが多いため混同しやすいところです。
なお、資本金の額は定款に記載した価額と一致させます。1円でも違うと登記が差し戻されるため、払い込む前に定款を確認してください。
出典このセクションの出典:起業応援ナビ|会社設立時の資本金の払込方法(GMOあおぞらネット銀行/2026年9月16日 確認)
SECTION 04仕事3|設立時の役員を決める

発起人の三つめの仕事は、設立時の役員を決めることです。株式会社の会社設立で、会社を動かす人を選ぶ作業です。
設立時取締役を選任します。発起人が複数いる場合は、議決権の過半数で決めます。議決権は引き受けた株式の数によります。
発起人が自分を設立時取締役に選ぶこともできます。ひとりで会社設立をする場合は、自分で自分を選任することになります。
選任したことを証する書面を作ります。ただし、定款で設立時取締役を直接定めておけば、この書面は不要になります。
選ばれた人は、就任を承諾する書面を作ります。発起人と設立時取締役が同じ人であっても、書面としては作成します。
取締役が1名の株式会社では、その人が当然に代表取締役になります。複数いる場合は、代表取締役を選定する手続が必要です。
監査役を置く場合は、設立時監査役も選任します。取締役会を置く場合は、取締役3名以上と監査役が必要になります。
設立時代表取締役の選定も、この段階で行います。取締役が1名なら自動的に代表取締役になりますが、複数いる場合は定款で定めるか、設立時取締役の過半数で選定します。株式会社の会社設立では、誰が会社を代表するのかを明確にしておく必要があります。
設立時取締役は、出資の履行が完了しているかなどを調査する義務も負います。調査報告書を作る場面もあるため、会社設立の書類として確認してください。
出典このセクションの出典:法務局|株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない会社の発起設立)(法務局/2026年9月16日 確認)
SECTION 05発起人の人数と、誰を選ぶか

発起人の人数に制限はありません。1人でも10人でも構いません。株式会社の会社設立では、1人であることが最も多くあります。
法人が発起人になることもできます。親会社が子会社を作る場合などです。ただし法人が発起人に含まれると、定款認証の手数料の軽減区分から外れます。
人数が増えると、手続が重くなります。定款への署名、印鑑証明書、払込み。すべて人数分必要になります。
また、出資額の比率が持株比率になるため、誰がいくら出すかを決める必要があります。ここが複数人で始める場合の最大の論点です。
二人で半分ずつ出すと、持株比率が50対50になります。意見が割れたときに普通決議も通らず、何も決められなくなります。
どちらか一方が過半数、できれば3分の2以上を持つ形にしておくと、意思決定が止まりません。会社設立の時点で決めておくべき設計です。
出資はしないが働く人がいる場合、その人を発起人にする必要はありません。出資と経営は別に設計できます。役員報酬で報いる方法もあります。
なお、発起人が全員自然人で3人以下であれば、資本金100万円未満の場合の定款認証手数料が1万5,000円になります。費用の面でも人数は影響します。
出典このセクションの出典:ベリーベスト法律事務所|持株比率とは?注意すべき持株比率ライン(ベリーベスト法律事務所/2026年9月16日 確認)
SECTION 06発起人が負う責任

発起人には責任も伴います。株式会社の会社設立で、単に名前を貸すだけの立場ではありません。
まず、引き受けた株式について出資を履行する義務があります。払込みをしなければ、株主となる権利を失います。
次に、設立に関する任務を怠って会社に損害を与えた場合、会社に対して損害賠償責任を負います。
現物出資をした財産の価額が定款に記載した価額に著しく不足する場合、発起人は不足額を支払う義務を負うことがあります。
会社が成立しなかった場合、設立に関して支出した費用は発起人が負担します。会社が存在しない以上、会社に請求できないためです。
こうした責任があるため、発起人は形式的に名前を並べるものではありません。実際に出資し、設立を進める人を発起人にしてください。
なお、株主としての責任は出資額を限度とする有限責任です。会社設立の後、株主として負う責任と、発起人として負った責任は別のものです。
ひとりで株式会社の会社設立をする場合、これらの責任もすべて自分が負います。ただし実務上、問題になることは多くありません。
出典このセクションの出典:e-Gov法令検索|会社法(デジタル庁/2026年9月16日 確認)
SECTION 07発起人から株主へ

会社が成立すると、発起人という立場は終わります。引き受けた設立時発行株式の株主になります。
株主は、株主総会で議決権を行使します。議決権の数は持株数によります。出資額の比率が、そのまま議決権の比率になります。
過半数を持てば、取締役の選任などの普通決議を単独で可決できます。3分の2以上なら、定款変更などの特別決議も可決できます。
3分の1を超える議決権を持てば、特別決議を単独で阻止できます。拒否権を持つということです。
ひとりで株式会社の会社設立をした場合、すべての株式を自分が持ちます。株主総会は自分ひとりの意思決定になります。
それでも株主総会の手続は存在します。役員報酬の決定、計算書類の承認、定款の変更。議事録を作って残してください。
株式を譲渡すれば、株主の地位は移ります。会社設立の時点で全株式に譲渡制限を付けておけば、会社の承認なしには譲渡できなくなります。
なお、株主としての地位と取締役としての地位は別です。株式を譲渡しても取締役を続けられますし、取締役を辞めても株主のままでいられます。
出典このセクションの出典:ベリーベスト法律事務所|持株比率とは?注意すべき持株比率ライン(ベリーベスト法律事務所/2026年9月16日 確認)
SECTION 08発起人についてよく聞かれること

- 発起人を途中で変更できますか?
- 定款の認証前であれば変更できます。認証後は定款変更が必要になり、再度の認証が必要になることもあります。株式会社の会社設立では、発起人を確定させてから定款を作ってください。
- 会社員でも発起人になれますか?
- なれます。法律上の制限はありません。ただし勤務先の就業規則で副業が制限されている場合は、規則違反を問われる可能性があります。発起人であるだけなら役員ではないため、社会保険の扱いも変わりません。
- 未成年者は発起人になれますか?
- なれます。ただし法定代理人の同意が必要になることがあり、同意を証する書面を添付します。成年年齢が18歳に引き下げられたため、18歳以上であれば単独で手続を進められます。
- 発起人が資本金を出せない場合は?
- 出資の履行ができなければ、株主となる権利を失います。他の発起人が引き受けるか、資本金の額を見直すことになります。株式会社の会社設立では、払込みができることを確認してから発起人を確定させてください。
質問に共通しているのは、発起人という立場の重さです。株式会社の会社設立では、発起人は出資し、定款に署名し、責任も負います。形式的に名前を並べる立場ではないという点を押さえておいてください。
出典このセクションの出典:契約ウォッチ|株式会社の設立とは?発起人・資本金や手続きの流れ(契約ウォッチ/2026年9月16日 確認)
SECTION 09まとめ|発起人は出資者であり、将来の株主

発起人は、株式会社を作ろうと決めて設立の手続を進める人です。会社が成立すると株主になります。
- 定款を作って署名する氏名と住所が絶対的記載事項として記載される。
- 資本金を出資する設立時発行株式を引き受け、認証日より後に払い込む。
- 設立時の役員を決める自分が就任することもできる。
- 責任を負う出資の履行義務、任務懈怠による損害賠償責任など。
人数は1人以上で、上限はありません。ただし人数が増えると手続が重くなり、出資額の比率という論点も生まれます。
発起設立では、発起人がそのまま株主になります。出資額の比率が持株比率になり、議決権の比率になります。会社設立の後に変えるのは難しい部分です。
複数人で始める場合、50対50は避けてください。意見が割れたときに何も決められなくなります。どちらかが過半数、できれば3分の2以上を持つ形が無難です。
出資はしないが働く人を発起人にする必要はありません。出資と経営は別に設計でき、役員報酬で報いる方法もあります。
なお、この記事の内容は2026年9月16日時点の会社法および法務局・日本公証人連合会の公開情報にもとづきます。条文や取扱いは改正されることがあるため、実際の手続の前に公式ページでご確認ください。持株比率の設計は影響が長く残ります。司法書士や弁護士など、その業務を扱える専門家にもご相談ください。
出典このセクションの出典:松尾会計事務所|発起設立と募集設立の違いや選び方の基準(松尾会計事務所/2026年9月16日 確認)
発起人を誰にするかは、株主を誰にするかと同じ問いです
発起設立では、発起人がそのまま株主になります。つまり発起人を誰にするかは、株主を誰にするかという問いです。出資額の比率が持株比率になり、議決権の比率になります。
ひとりで株式会社の会社設立をするなら悩む必要はありません。複数人で始める場合は、誰がいくら出すかを慎重に決めてください。後から変えるには株式の譲渡か新株の発行が必要になります。判断に迷う場合は、司法書士や弁護士への相談も検討してください。
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